日本のトップ地方都市・福岡の限りないポテンシャル | データで見る都市

2017.10.31

 九州の北部に位置する福岡県福岡市。立ち並ぶ屋台でも有名な「博多」を有する大都市で、全国第5位の人口を誇ります。一方で、この地方では“九州男児”とも呼ばれるように硬派で男性優位とする気質があり、近年まで女性の社会進出が他の地域よりも遅れていると言われていました。

 しかし、2013年5月には国内でも先行事例となる「女性の大活躍推進福岡県会議」が発足。女性管理職を増やす運動や子育てしながら働く女性のためのセミナーなどを開催し、女性の活躍する場を広げていきました。このように多様性に対しても寛容的な風土を持っているのは、古くから商人の街として様々な人々を迎え入れてきたからかもしれません。

成長可能性ランキング1位! 魅力ある都市として将来に期待

 野村総合研究所(NRI)が2017年7月5日に発表した調査「成長可能性都市ランキング」。この調査は人口規模などを基に日本の100都市を候補としたもので、「風土」「基盤」「環境」に基づく6つの視点を設け、それにひもづく131の指標によって評価したものです。

 福岡市は、産業創発力の現状と将来の可能性の差が大きい「ポテンシャルランキングでみた成長可能性の高い上位都市」として1位となりました。この背景には、冒頭で触れたような多様性に対する寛容度の高さに加え、新たなことに挑戦する気質があり、イノベーションが起こりやすい風土という評価があるようです。

 また、同調査では「リタイア世代が余生を楽しみながら仕事ができる」「起業スピリッツがあり、スモールビジネスにも適している」などライフスタイルに応じたランキングも作成しており、12のランキング全てで福岡市は10位以内に入るという、街への期待の高さが伺える結果となっています。

アジアと国内主要都市が同じ距離。大陸への玄関口

 博多は古くから商人の街として栄え、その立地から大陸との往来も多くありました。東アジアの主要都市(釜山、ソウル、上海、北京、台北)が1,500km圏内にあり、日本の中でもアジアに最も近い物流・人流の拠点都市と言えます。

 

 また、5km・10分圏内に博多駅(陸)、博多港(海)、福岡空港(空)とあらゆる交通手段の拠点が揃っており、コンパクトシティとしてとても利便性が高くなっています。これによって、東京・大阪・札幌への距離とアジア主要都市への距離が同じ範囲に入るという、まさに日本と海外の中継地点とも言える存在です。

 このため、世界的にも福岡市の評価は高くなっています。英国のグローバル情報誌『MONOCLE(モノクル)』が毎年発表する「世界で最も住みやすい都市ベスト25」において、東京、京都と並びランキングの常連となっています。

政令指定都市の中でも群を抜く人口増加

 福岡市の人口は1,538,681人で第5位ですが、全国に20ある政令指定都市の中でも人口増加率がダントツに多い街となっています。

 国勢調査(平成22年10月〜平成27年10月)を基に福岡市が公開する「データでわかるイイトコ福岡」によれば、人口増加数は74,938人で第2位の川崎市49,701人と大きく差をつけています。また、人口増加率で見ても政令指定都市平均が1.10%であるなか、川崎市の3.49%を大きく超えて福岡市は5.12%で第1位となっています。

 増え続ける人口を構成する若者の割合も全国1位。平成27年度の国勢調査によれば「若者(10代・20代)の割合」が22.05%で、学都として名高い仙台市の22.03%をわずかに上回る形です。

 「都市データパック2017年版」(東洋経済新報社)によれば、住民基本台帳を基にした世帯数は729,683と全国5位ながら持家世帯比率は37.50%で全国811位と低く、賃貸で暮らしている人が多くいることは不動産投資の視点でも魅力的です。

国家戦略特区で進む次世代産業のゆりかご機能

 福岡市にある事業所数は74,469で全国6位。労働力人口も703,779人で全国5位となっており、経済が活発な地域。さらに東京圏、関西圏などと並び国家戦略特区の第一次指定(雇用のための創業拠点)を受けており、産業の発展がますます期待されます。

 

 元々、次世代産業の育成にも積極的で、ベンチャー支援を行なうインキュベーション施設を2000年ごろから開設。そして2017年には官民協働型のスタートアップ支援施設「FUKUOKA Growth Next」がオープンしました。廃校になった小学校を再利用した施設で教育支援、官民連携、コミュニティ形成、ヒューマンリソース、資本の呼び込み、情報発信といった面でのバックアップを行ないます。

 また、「福岡クリエイティブキャンプ」という県外から市内のIT・クリエイティブ系企業への移住を伴う就職を支援する取り組みも行なわれています。

 こうしたことから、起業や就職を考える若い世代がこれからも集まり続け、賃貸物件の需要も継続していきそうです

 商人の街として古くから栄え、多様性を受け入れる寛容的な風土を育んできた福岡。さまざまな面で勢いづくこの街は可能性を膨らませながら、これからも国内外からの注目を集める街となりそうです。

 アパート経営や不動産投資をしていく上で、こうした都市の状況を観察するのはとても大切なことです。特に福岡市のように可能性が広がる土地は、立地の面で大変魅力的な投資先といえるでしょう。

Editor:
最終更新日:2017.10.31

おすすめ記事