アパート経営のノウハウ

経営破綻しないために知っておくべきリスクと、その回避方法について

2022.09.29

アパートやマンションなどの不動産経営は長期的に安定した収入が期待できる投資ですが、当然、リスクもあります。投資全体の中では比較的ローリスクと言われていますが、資産を確実に守るためには万一の事態に備えなければなりません。どのようなリスクがあるかを知り、対策を採ることで、多くのトラブルは回避できます。不動産経営のリスクについて考えてみます。

経営リスクはシミュレーションで回避

不動産経営を含めて、あらゆる投資にはリスクがあります。リスクがあるからこそ、リターンがあると言っても良いでしょう。ただ、アパート経営などの実物不動産投資は予想が立てやすく、比較的リスクが少ない投資と言われています。株式など金融投資の場合、変動によるリスクを完璧に予想するのは難しいものですが、不動産経営の場合はいつ、どのようなリスクがあるのか比較的予測しやすく、対処法もあるからです。今回は会社員が副業として実物不動産経営することを前提に、継続的にキャッシュフローを黒字化、健全経営する方法を考えます。

不動産経営におけるリスクは、「経営にまつわるリスク」と「不動産にまつわるリスク」に大別することができます。「経営にまつわるリスク」は以下のような原因で収益性が悪化することによって起こります。

①そもそもの不動産取得価格が高い、収益性が悪い
②融資返済額が多すぎる
③経年によって収入が減少する
④出口戦略で失敗する

①は不動産選定時の問題です。家賃収入に対して不動産の価格が高すぎ、毎月の返済額でキャッシュフローがマイナスになってしまう……といった事例です。そんな物件が存在するのか、と思われるかもしれませんが、実際には決して珍しくありません。具体的な例を挙げて考えてみましょう。取得価格が1億円、表面利回り4.0%の物件を銀行からの融資を得て購入する場合で、金利は1.5%、返済期間は35年とします。この表面利回り、金利なら一見、収益が出るように思われますが、実際には一年間の家賃収入が400万円であるのに対して、ローンの返済額は367万4208円。管理費等その他の支出を差し引くと、キャッシュフローがマイナスになってしまいます。不動産の収益性に対して、取得価格が高すぎることが原因。自己資金で購入するなら問題ありませんが、融資を借りて購入する場合は避けた方が無難でしょう。事前によくシミュレーションしてから購入することで、このような物件を買わずに済みます。

②は返済に起因するケースです。不動産取得額が適正であり、利回りがあるにもかかわらず、利益が出ない場合は支出が多すぎることが原因です。支出の中でも特に多いのは、融資の返済です。金利が高い、あるいは返済期間が短いと、必然的に毎月の返済額は増えてしまいます。物件の利回りが十分に高ければ問題ありませんが、表面利回りが極端に高い物件はリスクをはらんでいたり、管理費などの支出が多かったりすることも。リスク低減するには、低金利で貸してくれる融資先を探すのがベターです。

また中古物件では耐用年数が短いと金融機関に判断され、返済期間が短く設定されてしまうこともあります。同じ金額を借りるなら、中古よりも新築の方が返済面では有利です。

投資初期〜中期までのキャッシュフローは順調だったのに、後期になって収益性が悪化してしまうパターンもあります。③の場合です。建物はどうしても経年とともに価値が下がり、空室が増えたり、家賃を下げざるを得なかったりします。また減価償却費は建物の耐用年数までしか経費計上することができません。耐用年数を過ぎると減価償却費を計上できないために、それまでと同じ売り上げでも帳簿上は利益が増えたことになり、より多くの税金を納めることになります。キャッシュフローが経年とともに悪化してしまうのはある程度避けられないことなので、それまでに資産を蓄えておく、適切なタイミングで設備を入れ替えたり、リフォームしたりして空室&家賃低下をできるだけ防ぐ、といった対処法があります。

④は当初想定していた価格で物件を売却できないケースです。インカムゲイン(家賃収入)ではなく、キャピタルゲインを目的とした不動産投資は、必然的にリスクも高まります。極端な話、キャッシュフローが黒字の物件を長年所有していれば、例え売却価格がゼロ円でも最終的な収支が赤字になることはありません。インカムゲインで着実に収益が得られる物件を選びましょう。

「経営にまつわるリスク」には様々な原因がありますが、入念な経営プランを立てることでリスク回避できる場合がほとんどです。事前にしっかりシミュレーションしてから物件を購入する、財務管理を他人任せにせず、日々のキャッシュフローを把握することが大切です。

不動産リスクは保険などでリスクヘッジ

次に「不動産にまつわるリスク」を考えます。これは主に管理業務や家賃設定、入居者募集等、物件の運用、維持管理にかかわるものです。以下のようなリスクが考えられます。

・空室
・家賃下落
・家賃滞納
・入居者の死亡事故
・火災、地震などの災害
・手抜き工事

空室リスク

アパート経営と聞いて多くの人が思い浮かべるリスクといえば、空室リスクでしょう。やや古いデータになりますが、平成30年時点における長屋建住宅(主にアパート)の空室率は約12.5%でした(平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計)。ただし、これはあくまで極端に築年数の古い物件なども含めた平均であり、賃貸ニーズの高い地域にある物件を選び、家賃設定や管理業務、入居者募集をきちんと行えば、空室率を限りなくゼロに近づけることが可能です。中古物件を購入する場合は既に実績があるので、必ずこれまでの空室率を確認しましょう。

ニーズの高い間取りやインテリア、設備を導入することも大切ですが、コストとの兼ね合いも重要な視点です。また周辺住民とトラブルを起こさないような入居者の選定、入居者間トラブルの早期解決も、広い意味では空室対策の一環と言えるでしょう。

地域全体の賃貸ニーズが低下する、あるいは建物の老朽化等により、空室が増えてしまう状況も考えられます。その場合は家賃設定の見直しやリフォーム、新たな設備の導入といった対策を考えなければなりません。いずれにしても空室が増えてきたらスピーディに対応することが大切です。

どうしても空室リスクが心配なら、空室保証つきのプラン(いわゆるサブリース)を不動産会社と契約するのも一案です。ただし、一般的に収益性は下がるので、支出額との兼ね合いで判断しましょう。

家賃下落リスク

賃貸ニーズの低下など外的要因がなくても、不動産は建物の老朽化とともに価値が減少するため、少しずつ家賃を下げていくのが一般的です。新築当初の家賃を維持することもできますが、逆に空室が増えてしまっては元も子もありません。家賃は経年とともに下落するものと理解し、予めシミュレーションに組み入れることをお勧めします。家賃の下落率は一般的に年1%程度と言われています。家賃が少しずつ下がっていっても最終的に収益が残る経営プランを組むことで、投資期間中盤〜後半のリスクを回避できます。

家賃滞納リスク

入居者に家賃を滞納されてしまうと、空室と同じくその部屋からの収入がなくなってしまいます。契約の際に連帯保証人を付けてもらうのは一般的ですが、それだけでは不安が残る……という場合は、保証会社を利用することでリスクを大幅に低減できます。保証会社は入居者が過去に家賃滞納などの履歴がないか審査も行ってくれるので一石二鳥です。

入居者の死亡事故リスク

国交省によるガイドラインによると、その部屋で前入居者が「自然死や不慮の事故死以外の死」や「特殊清掃が必要になる死」を遂げた場合、おおむね3年間は入居希望者に事故物件であることを告知すること、となっています。入居者がその部屋で亡くなった場合でも、自然死や不慮の事故死なら告知の必要はありません。自殺や他殺、特殊清掃が必要となる死が発生する可能性はそれほど高くありませんが、死亡事故による損失をカバーしてくれる保険に加入しましょう。火災保険の特約などで用意され、空室期間の家賃収入や家賃値引き分の金額を補償してくれます。

災害リスク

災害によるリスクはどんなに注意しても防げない、不可抗力であることが少なくありません、特に気を付けなければいけないのは火災です。木造の場合、一戸で火災が発生すると他の戸に延焼し、物件全体に被害が及ぶ可能性もあるからです。火災保険への加入は必須。火災保険には地震や風水害による被害をカバーしてくれるもの(特約も用意されている場合も)があるので、加入を検討しましょう。ちなみに一般住戸も含めた住宅全体での火災保険加入率は7〜8割と言われています。

手抜き工事リスク

新築住宅の売主は、住宅の主要構造部分の瑕疵(不具合、欠陥のこと)について10年間の瑕疵担保責任を負う法的義務があります。そのため万一、購入した不動産で手抜き工事が見つかったとしても、新築から10年以内の物件であれば問題ありません。手抜き工事のリスクが心配なら、新築、築浅物件を選ぶ方が賢明です。中古の場合は、専門家によるホームインスペクション(住宅診断)が実施されている物件なら安心でしょう。

シノケンならリスクの少ない不動産投資が可能

多くのリスクが存在することに驚かれた人もいるかもしれません。しかし前述したように、ほぼ全てのリスクは事前にシミュレーションしたり、保険に加入するなどの対策を採ったりすることでリスクヘッジが可能です。

長年にわたってアパート経営をサポートしてきたシノケンでは、こうしたリスク対策を含めた不動産経営のポイントをオーナー様向けに分かりやすく解説するセミナーを開催しています。また「生活安心サポート総合保険」「空室保証プラン」などのリスクヘッジ商品も多数用意。初心者の方でも安心して不動産経営を始められます。

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最終更新日:2022.09.29

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