資産運用

不動産投資ローン、地方銀行・メガバンクの違い

2022.06.30

 物件の購入資金をどこから調達するかは、投資家にとって切実な問題です。借り入れ先にはメガバンクや地方銀行などが考えられますが、金融機関の種類によってどのような違いがあるのでしょうか? 地方銀行とメガバンクの定義、不動産投資に適した借り入れ先、ローンを組む際の審査基準や金利といった条件の違いについて解説します。

地方銀行とは? メガバンクとは?

 自分がふだん取り引きしている金融機関がメガバンクなのか、地方銀行なのか、知らない人はいないでしょう。しかし、厳密にはどのように定義されているのでしょうか? まずは、言葉の意味から明らかにしていきます。

 地方銀行は、一般社団法人「全国地方銀行協会」の会員になっている銀行のことです。都道府県下でも最大規模の銀行のみで、後述する「第二地方銀行」と区別するために「第一地方銀行」と呼ばれることもあります。地域金融の担い手として全国の都道府県に分布し(愛知県を除く)、その数は2021年3月時点で62行となっています。「第二地方銀行」は一般社団法人「第二地方銀行協会」の会員になっている銀行のことです。もともと中小企業を対象に、相互扶助的な性質の強かった相互銀行に端を発する銀行がほとんどであり、地域に根ざした銀行の中でも第一地方銀行より規模の小さいところと理解すれば良いでしょう。2021年5月時点で37行が存在します。

 それに対して、「メガバンク」という呼称に明確な定めや法的根拠はなく、巨大な収益規模や資産を有する銀行・銀行グループの通称です。現在は、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」、「三井住友フィナンシャルグループ」、「みずほフィナンシャルグループ」および、その傘下銀行である「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」の3行が日本三大メガバンクと称されています。

 「地方銀行」に対するものとして、東京や大阪など大都市に本店を置き、全国展開する銀行を「都市銀行」と呼ぶこともあります。こちらも明確な定義はありませんが、上記の日本三大メガバンクと「りそな銀行」(場合によっては「埼玉りそな銀行」も)が都市銀行に該当すると言われています。

審査基準や融資の条件は銀行によって様々

 不動産投資向けローンの借り入れ先を選ぶとき、重視すべきポイントは何でしょうか? 収益性に大きく影響する金利はもちろん大切ですが、以下のようなポイントにも注目しましょう。

・融資を受けられる条件(居住地、勤務地、融資対象エリアなど)
・融資の対象(個人のみか、法人も可能か)
・審査基準の厳しさ
・審査に要する時間
・返済期間の長さ
・連帯保証人が必要か、団体信用生命保険(団信)の利用が可能か?
・団信を利用する場合の費用。金利には影響するか?
・アパートローンに積極的か?

 借り入れ先は、自分の住んでいる地域もしくは勤務地の近くに店舗のある銀行から選ぶのが一般的です。既に口座があり、給与の振り込みや公共料金の支払いなどに利用していれば(遅延履歴がなければ)、審査にも有利に働くことは言うまでもありません。居住地の近くに支店があったとしても、融資対象となる物件の場所が融資対象エリアから外れていると借りられないことがあるので注意しましょう。不動産投資家の中には法人を設立している人もいますが、銀行によっては個人向けローンのみで、法人向けローンは扱っていないこともあります。時間的ロスをなくすためにも、融資条件については入念に下調べておくことをお勧めします。

 審査基準や審査に要する時間は、銀行によってかなり異なります。審査基準は明らかにされていませんが、口コミやネット上の情報から、およその傾向を掴むことは可能。年収が低めでも勤務先の信用度が高ければ融資してくれるところ、個人の信用度よりも投資対象の収益性を重視するところなど、銀行によって、あるいは支店によっても審査基準は様々です。審査に要する時間も、不動産投資においては大切なポイント。せっかく目当ての投資物件を見つけたのに、銀行の審査に長い時間がかかったため、他の人に買われてしまった……という事例が少なくないからです。

 返済期間の長さは、元金回収までの期間、運用中の実質利回り等に大きく影響します。投資対象となる建物の法定耐用年数まで、とされることが一般的ですが、銀行によってはそれ以上の期間に設定できるところもあるようです。長ければ良い、というわけではありませんので、他の諸条件と合わせて考慮しましょう。

 個人で借り入れする場合、ほとんどの銀行では連帯保証人が必要ですが、団信への加入を条件としていることもあります。団信への加入費用を別途支払うケースと、金利に含まれるケースがあるので、どちらなのか必ず確認します。

 このように、銀行によってアパートローンへのスタンスは様々。中には専用のパッケージ商品を用意しているところもあります。アパートローンに積極的な銀行を選んだ方が有利といえるでしょう。

地方銀行の審査基準や融資の条件は?

 さて、それでは融資審査の基準や金利、返済期間の長さといった条件は、メガバンクと地銀でどのような違いあるのでしょうか?

 地銀については銀行ごとに様々な特色を出しており、一概に言うことは難しい状況です。ただ、「メガバンクに比べて審査基準は緩め」「金利は低めで、メガバンクと他の金融機関の中間程度(相場は1~3%台)」という傾向があります。

 地域密着型の銀行が多いため、既に口座があり、普段から取り引きがあれば審査や金利等の条件にも有利に働く可能性が高いと言えるでしょう。審査基準で大きなウェイトを占める年収については、都市部or郊外など店舗のある地域によっても異なります。地銀の場合、地域の平均水準に近い安定的な収入があれば、借りられるケースがほとんどです。

 返済期間(借り入れできる期間)については、建物の耐用年数を上限とするのが一般的。建物の構造(木造or鉄骨造、RC造)に条件を設けているところもあります。団信などの扱いは地銀によって異なり、連帯保証人の他に団信への加入が条件だったり、団信を利用すると金利が上がったりする場合があります。

 金利については1.0~3.0%台が相場ですが、信用度や融資額、返済期間によって大きく異なり、中にはメガバンクを下回るケースもあるようです。

 ひとくちに地銀と言っても地元に根ざした銀行もあれば、全国的に展開している銀行もあるなど千差万別。何かと融通してくれる余地が大きいのも、地銀の特長と言えるでしょう。

審査は厳しいが超低金利で借りられるメガバンク

 それに対してメガバンクの特長は、なんと言っても1%台の超低金利に尽きます。保有資産が圧倒的に多く、金融機関としての信用が高いメガバンクは資金の調達コストが安くて済むため、顧客に融資する際の金利を低く設定できるのです。

 また、全国展開しているため、居住地や勤務先を問わないのも利点のひとつ。ただし、審査基準はかなり高めです。年収、雇用形態、勤務先の事業規模といった要件も平均水準以上と考えておくべきでしょう。投資対象についても、築年数の新しい物件や都市部の物件など、価値が高いものに限定される傾向にあります。さらに審査に要する時間も一般的な地銀よりも長めで、1か月以上かかるケースも……。このように融資審査のハードルは極めて高めですが、超低金利で購入資金を借りられるメリットは絶大です。収益性が高まることで運用が楽になり、2棟目、3棟目を購入できる可能性も出てくることでしょう。

 まずは金利の低いメガバンクに融資を申し込み、審査に通らなかったら地銀に……とフレキシブルに考えるのが良さそうです。

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最終更新日:2022.06.30

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