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人口減少局面でも高まる不動産ニーズ

2022.04.14

 日本が人口減少局面に入ってから、既に10年以上が経過しました。2022年3月時点での総人口は1億2526万人で、10年前よりも約25万人少なくなっています。将来的な予測では、人口減は今後さらに加速し、2050年頃には1億人を割り込むともいわれています。単純に考えると、人口が減った分だけ住宅の数も減っていきそうなものですが、そう単純ではありません。実は、人口減少局面に入ってからも住宅数自体は微増、特に単身者世帯、少人数世帯が増えています。今回は、人口増減と不動産ニーズの関係について解説します。

人口が減っても住宅が増える不思議

 総務省統計局が5年おきに公表している「住宅・土地統計調査」という統計データがあります。その最新版「平成30年住宅・土地統計調査(2019年公表)」によると、2018年10月1日時点での総住宅数は、約6240 万7000戸。10年前の2008年時点に比べて、480万戸ほど増えています。日本では、戦後から継続的に住宅数が増え続けてきました。増加ペースは2000年代に入ってから少しずつ落ちてきましたが、2018年時点でもプラス3%程度の微増をキープ。人口が減り始めたにもかかわらず、住宅数は増えています。この現象には、世帯数と住宅一戸あたりに暮らす人数が関係しています。

 日本では戦後、人口とともに世帯数も増え続けてきました。増加率は徐々に緩やかになっていますが、人口減少局面となった現在でも世帯数増加の傾向は続いています。また、1963年までは総世帯数が総住宅数を上回っている(一戸に2世帯以上で暮らす住宅が多い)状態でしたが、高度経済成長期を経て1968年に逆転。その後は総住宅数が総世帯数を上回る状態となり、1世帯当たりの住宅数が上昇していきました。近年はその傾向が緩やかになり、2018 年時点では1世帯当たり 1.16 戸という数字になっています。

単身者向け住宅ニーズは今後も高まると予想

 ここでいう住宅数は、持ち家と借家、暮らしている世帯のない住宅(空き家、別荘など)まで全て含めたものです。住宅数増加の理由については様々な要素があるので単純ではありませんが、世帯数の増加と、一住戸あたりに暮らす世帯数および人数が、少なくなっていることが大きく影響していると考えられます。持ち家の比率については1983年の62.4%をピークとして、その後あまり大きな変化はありませんが、住宅数全体が増えている分、賃貸住宅数も増加。2008〜2018年の10年間で賃貸住宅数は約3.8%伸びました。

 ちなみに、総務省による別の統計データでは、世帯数自体は2023年ごろをピークとして減少に転じるものの、単身者世帯は増え続け、2032年以後からようやく減少に転じるだろう、と報告されています。つまり、少なくとも今後10年は、単身者向け住宅ニーズの高まりが期待できると思って良いでしょう。

 「住宅・土地統計調査」の中でも、特に注目したいのが「高齢者がいる世帯が増えていること」です。高齢者がいる世帯は、この10年間で約24%も増加。高齢者単身の世帯、高齢者夫婦のみの世帯、高齢者のいるその他の世帯(家族等と高齢者がともに暮らしている世帯)、いずれも増え続けています。シニア向けバリアフリー住宅、バリアフリー化リフォームへの需要は、今後ますます高まっていくでしょう。。高齢者がいる世帯の借家率に注目してみると、「家族等と高齢者がともに暮らす世帯」では借家率が増えていますが、「高齢者単身世帯」「高齢者のいる夫婦のみの世帯」では逆に減っています。賃貸住宅においては、単身、夫婦の高齢者向けよりも、家族と高齢者が一緒に暮らす住宅を想定した方が良いかもしれません。

賃貸住宅にも広さが求められるように

 共同住宅において、一住戸あたりの面積が年々、広くなっているのも注目したいポイントです。今から約30年前の1993年では一住戸あたりの延べ床面積が平均44.17㎡でしたが、2018年では51.14㎡にまで増えています。同時に、一室あたりに暮らす人数(居住人数を部屋数で割った数字)は減少。共同住宅一室あたりの面積、人ひとりが必要とする面積がより広くなっている傾向が見てとれます。

 このように人口が減少する局面にあっても、不動産需要は未だに減っておらず、賃貸住宅についても引き続き高いニーズがあると予測されます。特に、都市部や駅からのアクセスが良い立地の賃貸住宅、単身世帯向けの賃貸住宅は、今後ますます人気が集中していくことでしょう。不動産経営においては、こうした情勢を見極める情報分析が欠かせません。シノケンでは、これまでに培ってきた豊富な経験、収集してきた情報をもとに、賃貸住宅ニーズの特に高い土地を選定。その上で適切なアパート経営のプランをご提案いたします。

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最終更新日:2022.04.14

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