アパート経営のノウハウ

商業用不動産と住居用不動産、リスクの少ない投資はどちら?

2022.01.13

 不動産投資はアパートやマンションのようなレジデンス(住居用不動産)だけでなく、オフィスや店舗など商業用賃貸物件も選択肢のひとつになります。レジデンス用物件とオフィス用/店舗用物件では利回りやリスクにどのような違いがあるのでしょうか? この記事では商業用物件に投資するメリットとデメリットを住居用物件と比べてみます。

商業用不動産のメリット

 オフィスビルや店舗など商業用不動産への投資は、一般的な住居用不動産投資に比べてハードルが高く、ある程度経験を積んだ投資家向き……とよく言われます。その理由は何でしょうか? まずは商業用不動産投資のメリットを考えてみましょう。

 代表的なメリットは、比較的高いインカムゲイン(家賃収入)を期待できることです。住居用物件に比べ、商業用物件は面積あたりの家賃が高めになる傾向にあり、結果として表面利回りがアップする可能性があります。居住者にとって“住居”は単に消費するだけのものですが、会社にとっての“事務所”や“店舗”はそこで事業を営み、利益を生み出すための大切なツール。多少賃料が高かったとしても、相応のメリットがあれば賃貸ニーズはあるでしょう。

 参考記事:資産価値を高めるために。知っておきたい「表面利回り」と「実質利回り」の違い

 ただし、商業用物件の家賃相場は景気によって変動しやすく、常に高いとは限りません。安定的なインカムゲインが期待できる住居用物件との違いに注意が必要です。

 参考記事:不労所得を得るために。知っておきたい「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の違いとは?

 もうひとつ、商業用物件のメリットとして貸主側が負担する維持管理費用の少なさも挙げられます。住居用物件の場合、経年劣化等による修繕費用は貸主が負担することとガイドラインで定められていますが、商業用物件にはその定めがありません。店舗などの場合はスケルトンの状態で契約するのが通常であり、原状回復費用を借主側の負担とするのが一般的です。

 参考記事:税金から維持費まで、アパート経営にかかるコストを解説

 また、賃貸契約する際の保証金(住居の場合は敷金)についても、住居では1〜2か月分が一般的ですが、商業用物件では半年分、1年分というケースが少なくありません。預かった保証金の一部は償却費として返還しなくて良い場合もあります。これは貸主とってリスク軽減につながるでしょう。

■商業用物件に投資するメリット

・家賃相場が高い傾向にある。
・貸主側の原状回復費用が少ない、もしくはかからない。
・保証金を高く設定することができる。

商業用不動産のデメリット

 次に、商業用物件のデメリットについて考えてみましょう。景気によって家賃相場=インカムゲインが変動しやすいのは前述のとおり。加えて、空室となるリスクが高いことも大きなデメリットのひとつです。

 住居用物件の場合、居住者が退去するタイミングや確率は予想がつきやすい傾向にあります。しかし、商業用物件では事業者の経営判断により、現在の場所では採算性があわない、あるいはもっと採算性の良い場所があるとなれば、即座に転居、撤退してしまうことがあります。

 また、アパートは複数戸あるため、ひとりの居住者が退去したとしても入居戸数分の家賃収入を確保できますが、一棟貸しのオフィスビルや店舗では、退去により家賃収入がゼロになってしまいます。さらに住居用物件と違って貸し出す対象が事業者に限られるため、一度空室になると次の入居者を決めるのが大変困難となります。そもそも立地などの条件が良くなければ、商業用物件として成立しません。その他にも、都市計画法に定められた用途地域のひとつ「住居専用地域」には建てられないなどの制限もあります。このように、商業用物件は立地などの条件によって収益性が大きく変わり、景気など外的要因によって収入が変動しやすいことがリスクです。

 参考記事:不動産投資で気をつけるべきリスク

 支出についても注意したい点があります。先ほど商業用物件では原状回復費用の負担が少ない、という話をしましたが、その一方で支払う税金は高くなります。アパートなど住居用物件の場合、「小規模住宅用地の特例」によって固定資産税評価額は一戸につき200㎡以下の部分は1/6に、200㎡を超える部分は1/3にまで下がりますが、商業用物件には適用されません。その他、「新築住宅における固定資産税の減額」などの軽減措置も住居用物件にのみ適用されるものです。路線価の高い地域、オフィスビルなど建物価値の高い不動産では固定資産税額が高くなり、結果として実質利回りが悪化する可能性があります。

 参考記事:不動産特有の税金「固定資産税」「都市計画税」ってなに?

 もうひとつ、金融機関による融資審査が厳しいというデメリットもあります。一般的に商業用物件への投資に対する融資は、住居用物件よりも審査が厳しく、担保掛目(※)も低めに設定されやすくなります。審査にも時間がかかるのが通例です。貸主の信用だけでなく、借主となる会社の属性まで詳しく調査するためです。
※不動産などを担保にして融資を受ける際の評価率のこと。

■商業用物件に投資するデメリット

・空室リスクが高い。
・家賃相場の変動が大きい。
・固定資産税額が高い。
・金融機関の融資条件が厳しい。

不動産投資ビギナーは住居用物件が安心

 このように、商業用物件はリターンが大きくなる可能性があるものの、空室や家賃変動などのリスクが高く、立地などの条件も限定され、融資審査も厳しい……という特性があります。全般的にハイリスク・ハイリターンな投資となり、経験豊富な投資家向きと言えます。

 これらのことより、不動産投資の経験が少ない方は、アパートなど住居用物件を選んだ方が堅実でしょう。アパート経営にも当然リスクはありますが、信頼できるパートナーと組むことで、リスクを大きく減らすことが可能です。長年にわたってアパート経営に特化したサービスを提供してきたシノケンには、これまで蓄積してきた豊富なノウハウがあります。資金の相談から建築、法的手続きや入居者募集のフォローまで、あらゆる面でオーナー様をサポートするので、不動産投資初心者の方でも安心です。

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最終更新日:2022.01.13

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