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2年連続トップ3 ニューヨークを射程に捉えた「世界都市」東京の魅力

2018.05.23

 東京都23区の住宅地平均価格は、57万2,300円/平方メートル(国土交通省「平成30年地価公示」都道府県県庁所在地の住宅地「平均」価格 より)。東京都の住宅地平均価格の上昇は5年連続で、54万9,100円/平方メートルだった平成29年の土地価格と比べても、わずか1年で4.2%もの上昇率を誇っています。2位は大阪市の23万8,900円/平方メートルで、東京都23区が2.4倍近い差をつけており、東京都の地価が高騰していることは明らかです。

 東京の土地価格の上昇には、世界からも熱い視線が注がれています。米不動産情報大手のジョーンズラングラサール(JLL)は2018年の都市比較インデックスレポート内で、東京を魅力的な不動産投資先最上位の「ビッグ7」と評価しました。「ビッグ7」に並ぶのは、ロンドン、ニューヨーク、パリ、シンガポール、香港、ソウルと世界的に名だたる大都市ばかりです。今、世界中から注目される、不動産投資先としての東京の魅力について迫ります。

「人」の集中と流動性が、投資先としての東京の価値を上げる

 都市比較インデックスレポートで「ビック7」に数えられるのは、「最もグローバル化した都市で、企業・資本・人材の集中度が最も高く、競争力の優れた大都市」のみ。世界の商業用不動産に対する全投資額の4分の1が、「ビック7」に注がれています。

 東京は特に、人材の集中や流動性が高いという点が評価されており、森記念財団 都市戦略研究所が発表した「世界の都市総合力ランキング(GPCI)2017」では、東京はロンドン、ニューヨークに続き3位にランクインしました。ここでも高い評価を得たのが、「文化・交流」「交通・アクセス」の項目です。

 訪日客や留学生が年々増えているのに加え、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、一層の東京への「人」の流入が期待されています。そして、五輪や人の流入に備えて、交通網の整備が積極的に行われているのも評価を高くしている点です。

 すでに池袋駅や新宿駅、渋谷駅などターミナル駅やその周辺では大改築が行われ、今後は東京駅八重洲口側の再開発も計画されるなど、交通環境の改善はますます進んでいくでしょう。こうした交通面の整備は外から入ってくる人だけでなく、東京都心に住まいを持ったり、通勤、通学する人々の利便性をも高め、東京の都市としての魅力をより確固たるものにしています。

 人の流入と流動性、利便性の高さにより「世界の都市総合力ランキング(GPCI)2017」で東京のスコアは、2016年の1338.5から1354.7と16.2ポイントアップ。2位のニューヨークは、1384.7から1386.3と1.6ポイントの上昇に留まったためその差は縮まり、五輪に向けてさらに肉薄、追い越す可能性もあるかもしれません。

トップ4都市の総合スコアの変遷(GPCI-2008~GPCI-2017)
(出典:森記念財団 都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング(GPCI) 2017』プレスリリースより作成)

 人が集まるエリアには、食べ物、生活に必要な物資、仕事、エンターテイメントなども集まり、これらを提供する物理的な場所が必要になります。つまり、人が集まるエリアは、不動産投資をする上でも魅力的な場所とも言えるのです。

伸び悩む「経済」分野から見る、不動産投資成功のポイント

 人の流入や流動性の高さが評価される一方、「経済」分野は1位から4位に順位を落とすなど影を潜めています。東京エリアは人口が増えていますが、日本全体としては人口の減少が進み、すでに成熟した市場で、今後経済の爆発的な成長は期待できません。こうした社会背景を考慮すると、不動産投資を安定的に行なっていくには、たとえ東京都内でもより利便性や流動性の高いエリアを選ぶのが大切です。

 もう一つ、JLLの都市比較インデックスレポートで、京都が「インフルエンサー」、名古屋大阪が「国内成長エンジン」グループにランクインされていることからも、不動産投資のヒントを見つけることができます。

 東京、京都、名古屋、大阪の4都市の共通点は、互いが新幹線で繋がれおり都市間のアクセスが良いこと、それぞれの都市の中でも鉄道や地下鉄などの交通網が整備されていて都市内の利便性が高いことです。やはり、人の集まりやすさや動きやすさがポイントになっていることがわかります。

世界的に評価の高い東京・大阪・京都・名古屋の共通点は?

 現在の日本で、人口減少や経済成長鈍化の波を避けて通ることはできません。人が減れば、土地や住む場所を選べるようになり、生活するのに便利なエリアを選択する人が増えるでしょう。そうして住む人が減った街からは店がなくなり、仕事がなくなり、さらに人がいなくなっていく。今後こうした流れが加速していくことは想像に難くありません。

 一方で、店があり、仕事があり、そこにアクセスしやすい利便性の高いエリアにはより集中的に人が集まっていくでしょう。このような時代の流れと社会の変化に対応していくことが、これからの不動産投資に求められる視点ではないでしょうか。

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最終更新日:2018.05.23

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