アパート経営のノウハウ

「かぼちゃの馬車」問題に学ぶ、失敗しない投資物件の選び方

2018.03.29

 「かぼちゃの馬車」という女性向けシェアハウスをご存知ですか? 不動産投資について回る「空室リスク」を低くするための画期的なコンセプトを打ち出したことで話題を呼んだ投資物件です。

 タレントのベッキーさんが出演する、印象的なテレビコマーシャルを見たことがある方もいるかもしれませんね。

 最近、このシェアハウスを運営していた不動産会社が経営破綻し、出資したサラリーマン投資家たちが数億円規模の被害にあったことがニュースになっています。

 斬新なコンセプトで投資家たちからの注目を集めていた「かぼちゃの馬車」の破綻は、不動産投資界隈だけでなく世間に大きな衝撃を与えています。ニュース番組等でこの話題を知り、「やはり不動産投資は危ない」「欲を出してはいけない」と感じておられる方もいらっしゃるかもしれません。

 ですが、決してそんなことはないのです。先の見えない将来に備えて投資しようと考えるのは特別なことではありませんし、ましてや「欲深い」と咎められるような行為であるはずがありません。

 確かに、数ある他の投資と同じように、不動産投資にもリスクが存在します。しかし、事前にポイントをおさえておけば、トラブルに巻き込まれる危険性やリスクを最小限に抑えることもできるのです。

 今回は「かぼちゃの馬車」問題をひもときつつ、トラブルに巻き込まれないための注意点や、投資物件を選ぶ上で気を付けるべきポイントを学んでいきましょう。

「かぼちゃの馬車」問題って?

 まずは「かぼちゃの馬車」問題についての概要を押さえておきましょう。

 「かぼちゃの馬車」は、「スマートデイズ」という不動産会社が管理・運営する女性専用シェアハウスです。シェアハウスといっても共用リビングを設けていないのが特徴の一つです。都心の駅近に集中しており、キッチンやトイレ、シャワールームは共同で、一部屋は7平方メートルという非常にコンパクトな居住空間となっています。

 通常の賃貸物件のように、「同じ入居者に長く住んでもらう」のではなく、「入居者の回転率を上げる」ことで利益を得るという逆転の発想が注目されました。

 どういうことかというと、「かぼちゃの馬車」は、地方から首都圏へ出てきた若い女性(20代の非正規雇用者)をメインターゲットとし、入居者への就業斡旋も行なうというコンセプトを掲げていたのです。

 これにより、不動産経営で得られる家賃収入のほかに人材紹介料が得られることになります。収入の少ない若い女性に格安で住居を貸し出し、その女性が就職したら(人材あっせん料を得て)新しい入居者と入れ替わってもらうのです。

 確かに、このサイクルを上手く回すことができたなら、毎月の家賃収入のみに依存しない、画期的な不動産経営ができそうですね。

 このコンセプトに惹かれたオーナーはスマートデイズとサブリース契約を結び、銀行でローンを組んで新築のシェアハウスを建築。これをスマートデイズが一括で借り上げ、運営する仕組みとなっていました。

 30年間の家賃保証や高い入居率をアピールし、多くのサラリーマン投資家を集めていた「かぼちゃの馬車」ですが、報道によると実際の入居率は40%以下。中には、完成から1年以上経っても入居者ゼロの物件もあるといいます。加えて、空室率への対抗策として掲げられていた人材あっせん料による収益も、ほとんど得られていなかったそうです。

 この入居率では当然、十分な賃料を確保することができません。オーナーへ支払う賃料は、新規オーナーを確保して割高な物件を売りつけることで確保するという完全な「自転車操業」状態だったといいます。

 しかしとうとう昨年10月からオーナーへの賃料支払いが滞りはじめ、今年1月に支払いを停止しました。

 既存オーナーへの賃料支払いのためにどんどん増えていった「かぼちゃの馬車」のオーナーは700人を超え、1人あたり銀行から1~4億円という高額な融資を受けていると言われています。

 オーナーは当然、保証されているはずの家賃収入を加味してローンを組んでいますから、賃料が全く入ってこないとあっては収益どころか月々のローン返済もままならなくなってしまいます。

 現在スマートデイズだけでなく、ローンを組む際にオーナー達へ過剰な融資を行なったとされる銀行の責任も問われています。

「馬車」の車輪が回らなくなった理由

 不動産投資をする際、最も避けたいのは空室リスク。「かぼちゃの馬車」のような一見素晴らしいコンセプトの物件も、あまりにも空室率が高ければビジネスとして成り立ちません。

 2017年8月に日本法規情報株式会社が発表した「シェアハウスに関するアンケート調査」結果を見ると「あなたは現在、もしくは将来に、シェアハウスに住みたいと思いますか?」という質問に対し、84%の人が「住みたいと思わない」と回答しています。

 もちろん、シェアハウス自体のニーズが全くないわけではないでしょうが、少なくともシェアハウスは「建てさえすれば必ず入居者が集まる」タイプの物件ではなさそうですね。

 

 そのような中、運営会社は前述の通り資金繰りのため次々に新たなシェアハウスを建てていきました。これ以上のニーズはないと分かっていても、そうせざるを得なかったのです。

 最終的には「一年間で4000部屋作っているのに、入居者数は850人しか増えていない」という状態だったそうです。

 どんなに素晴らしいコンセプトでも、住みたいと思う人の数以上に箱を作ってしまっては、いずれ経営が立ち行かなくなってしまいます。

 極端な例に見えるかもしれませんが、「調査不足による市場の読み違い」による失敗は誰にでも起こり得ます。リスクを最小限に留めて“失敗知らずの投資家”を目指すのなら、「かぼちゃの馬車」問題から学ぶべきことは多いでしょう。

トラブルに巻き込まれないために、注意すべき点は?

 投資物件を決める際、多くの方がまず判断基準にするのが表面利回りだと思いますが、それよりも注目すべきは入居率。むしろ高利回り物件であればあるほど、実際の入居率を見定めることが肝となってきます。

 「かぼちゃの馬車」は家賃収入が得られなくとも他で収益が得られる点を売りにしていたわけですが、どちらにせよ入居者がいなければ意味がありませんよね。

 そして入居率(空室率)を調べる際、物件検索サイトに記載されている数字や不動産会社から聞いた数字をそのまま鵜呑みにするのは少し危険かもしれません。

 高利回り・高入居率の物件を見つけたときにこそ、果たして本当にその入居率を維持できそうな物件やエリアなのかどうか、必ず自分の手を動かして調査することが大切です。

 駅からの距離だけでなく、今回の場合のように既に同じような物件が乱立する「激戦区」内の物件ではないかなど、下調べは念入りに行ないましょう。

 また、投資物件の管理運営等を一手に引き受けてくれる不動産会社は、忙しいサラリーマン投資家にとって本来とても心強い味方です。特に不動産投資初心者は、こうした会社を利用すれば、より効率的な投資の仕方を一から学んでいくこともできるはずです。

 ですが、その場合も下調べは念入りに。見せかけの数字に惑わされず、歴史や実績があり、誠実で信頼できるパートナーを自分の目で見定めようとすることこそが、トラブル回避のための第一歩です。

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最終更新日:2018.03.29

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