
若い世代を中心に、急速に注目度を上げる北区|データで見る都市
東京都の北部に位置することからその名がついたといわれる北区。人口は341,252人(2018年1月1日現在)、面積は20.61㎡とともに東京都23区の中で11位に位置し、あまり目立たない存在というイメージを持つ人も少なくないのではないでしょうか。しかし最近では、赤羽地区を題材としたエッセイ漫画『東京都北区赤羽』やテレビ番組『月曜から夜ふかし』で紹介されたことで、北区が持つ独特な雰囲気や面白さに注目が集まっています。

交通アクセスに優れ、多くの人が行き交うエリア
北区には王子駅や赤羽駅などJRの駅が都内最多の11駅が集結しています。JR王子駅から東京駅までは約15分、赤羽駅から新宿駅までは約14分で移動することができ、都内への交通の利便性が魅力です。総務省が行った「国勢調査」によると、東京都千代田区へは11,742人、東京都港区へは9,116人など、日々多くの人が東京都内への通勤に利用しているようです。そのほか街中を走る昔ながらの路面電車・都電荒川線や東京メトロ、上野東京ラインなどさまざまな交通手段があり、都内に勤務地があるビジネスマンにとっても人気のエリアといえます。

ひそかに人気が高まる「赤羽」の魅力
前述でも紹介した赤羽地区は、リクルート住まいカンパニーが発表した「2017年版SUUMO住みたい街ランキング 関東版」の「穴場だと思う街ランキング」で第2位になるなど、北区の中でも人気が高まりつつあるエリア。都心からのアクセスが良いにも関わらず家賃が比較的低めということが理由にあげられていましたが、それ以外にも注目すべき点があります。
JR赤羽駅の周辺には、居酒屋が密集し夜中まで営業している「OK横丁」や「赤羽一番街商店街」、飲食店から日用品まで幅広いジャンルの店が並ぶ「ラ・ラ・ガーデン」など商店街が集まっており、買い物を楽しむことができます。ほかにも駅周辺には、駅直結のショッピング施設「エキュート赤羽」や「ビーンズ赤羽」などショッピングセンターがあり、日常で使うものはほぼ揃えることができるなど、生活する上でも大変便利なエリアとなっています。
また、2000年には1962年に赤羽に建設された総戸数3,373戸からなる大規模な団地「赤羽台団地」の建替工事をUR都市機構が着手。「ヌーヴェル赤羽台」として新しく生まれ変わりました。ガラスパネルやスクリーンを利用した開放感あふれる棟やオープンテラスを配置し住民がくつろげる共有スペースを設けるなど、洗練さと温もりが感じられる「ヌーヴェル赤羽台」の誕生は、古びた住宅地というイメージを払拭し、若い世代がこの地域へと集まるきっかけになるのではないでしょうか。
人口増加に向けたさまざまな取り組みを実施
北区の人口は現在341,252人ですが、そのうち65歳以上の人口が88,025人で全体の25.29%と東京都23区の中で唯一25%を上回っており、あわせて出生率も1.20人と全国平均より低い水準にあります。そこで北区は若い世代を中心とした人口増加を目指し、さまざまな取り組みを積極的に実施しています。
北区の個性と魅力を発掘・創造し、効果的に発信していくことを目指す「北区イメージ戦略ビジョン(KISS)」をスタート。北区の若手職人を中心とし構成される“O-KISS”と大学生協力員の“U-KISS”が協働し、それぞれの視点から見た北区の魅力発信を行っています。
そのひとつが、東京家政大学の学生と北区の職員が企画から取材、編集、紙面デザインまで一貫して行い、制作した情報誌「北区でくらす」です。3つの特集から構成され、北区が住環境として快適なまちであることをアピールするだけでなく、北区にゆかりのある著名人にインタビューし、多くの人からも注目が集まるよう工夫されています。また若い世代を対象にした「北区知っ得情報誌KISS」も制作。さくらの名所飛鳥山やレジャーが楽しめる荒川河川敷など観光地としての魅力を発信し、北区の認知度をあげるとともに、若い世代が北区へ足を運ぶきっかけづくりとして活用しています。
また2017年4月には旧赤羽台中学校跡地に学校法人東洋大学情報連携学部が開設されました。さらに北区は東洋大学と協議を進め、2021年4月に現在埼玉県朝露市の朝露キャンパスにあるライフデザイン学部を移転することが決定。この移転により北区と東洋大学の産学連携が強化されることで、北区が抱える高齢化問題への取り組みや魅力あるまちづくりへの施策が加速していくと予想されます。またこの移転で学生の賃貸需要も増えることが見込めるのではないでしょうか。
さらに2018年6月からは、新日鉄興和不動産株式会社によるJR埼京線「十条駅」西側の再開発が着工されます。駅前に40階建ての高層タワーマンションを建築し、下層部には駅前広場へとつながるオープンスペースを設け、駅前広場に面して商業施設や公共施設が整備されます。もともと十条駅には加盟店約200店舗を誇る北区最大規模の商店街「十条銀座商店街」があり、活気あふれる地区ですが、この再開発により一層の賑わいを見せることが期待できるでしょう。
今までは特に目立つ存在でもなく、注目度も高くなかった北区。しかし最新のデータや都市の状況を見直してみると、優れた交通アクセスや行政による施策などさまざまな方面からアプローチしており、今後若い世代を中心に関心を持つ人が増加すると予想されます。
今後も若い世代に向けて働きかけを続ける北区は、アパート経営や不動産投資を考える上で、大変魅力的な都市といえるのではないでしょうか。