安心・安全を確立することで人の輪を形成する足立区|東京大改造

2018.02.24

 日本ドラマ史における不朽の名作「3年B組金八先生」の舞台であり、ドラマ内に登場する荒川の土手に見覚えのある人も多いはず。東京都の北端に位置し、53.25平方キロメートルという23区内の中で3番目の広さを誇る足立区。全体的になだらかな平地が広がり、荒川や隅田川などの恵まれた水環境、緑にあふれた自然環境が区内に点在しています。まちとしての発展のきっかけは、千住に宿場が置かれた江戸時代。人々が往来するまちは活気が漂い、明治以降は軽工業や重化学工業が活況を見せました。

現代でも居住エリアとして根強い人気

 歴史あるものづくり産業のまちも、現在は北千住駅直結の「ルミネ北千住店」や北千住大橋駅前の「ポンテポルタ千住」などの商業ビル、区内最大の敷地面積を誇る新田さくら公園をはじめ、中川公園や舎人公園などの自然空間も多数点在しており、生活環境も充実しています。

 家賃相場でいえば23区内でも1・2位を争う低い価格帯が特徴で、東京芸術大学や帝京科学大学をはじめとしたいくつもの大学が集積しているという土地柄から、学生や若い年代の単身世帯が多く暮らしています。そのため、ワンルームや1K、1LDKなどの比較的コンパクトなアパート・マンション需要が高く、新築物件の建設も増えており、デザイナーズマンションやシェアハウスなど物件のバリエーションも豊富です。

 交通面では、「北千住駅」は5路線が乗り入れ、都内有数のオフィス街である赤坂駅まで電車1本で行けます。また、「西新井駅」は浅草駅・上野駅・渋谷駅・中目黒駅・恵比寿駅など主要駅に乗り換えなしで行けるアクセスの良さが好評であり、足立区は若者だけでなくビジネスパーソンにも人気の居住エリアとしても知られています。また、埼玉県と千葉県に隣接していることから、両県から都内に移り住む人にとっては、東京の中でも親しみやすいエリアとして人気を集めています。

 近年は2015年に始動した「足立区子ども・子育て支援事業計画」のもと、子育てファミリー向けの支援制度の拡充を図り幅広い人が快適に暮らせるまちづくりを進め、未来に向けたまちづくりにおいては大規模な区有地活用事案「エリアデザイン計画」が着々と進行しています。かつては、治安が悪いといったネガティブなイメージがついていた足立区も今は昔。安心して暮らせるまちへと発展し、今後さらに進化していく様相を見せています。

 今回は、未来の足立区を担う新たな制度・計画がまちの発展にどのようにつながっていくのかを紹介していきます。

治安が悪いイメージ払拭!ビューティフル・ウィンドウズ運動

 足立区は下町風情が残る人情味にあふれる地域である一方、2006年から2009年にかけて犯罪認知件数が都内ワースト1位となり「治安が悪い」「女性が住みにくい」といったネガティブな印象をもたれていました。そんな状況を打破しようと、足立区では2008年から女性区長の近藤弥生氏主導のもと、治安改善に着手。自治体、区民、 そして区内4つの警察署が連携し、地域一丸となって「ビューティフル・ウィンドウズ運動」を展開しています。まちの清掃活動などを通じて景観の美しいまちであることを印象づけることにより犯罪を抑止し、区民が安心して暮らせるすみよいまちの実現を目指しています。

 ビューティフル・ウィンドウズ運動では、パトロールカーの地域内巡回や区民による徒歩防犯パトロールなどを実施。さらに、防犯カメラをはじめとした防犯設備を各所に設置することで、治安改善だけでなく目に見えるかたちで区民に安心感を与えることに成功しています。その甲斐もあり、足立区の犯罪認知件数は大幅な減少を続け、2013年にはワースト1位を脱却し、犯罪認知件数はピーク時の半数以下になりました。区民アンケートでは、全体の約半数が居住地域の治安のよさを実感し、23区を対象とした「住んでみたら意外とよかったまちランキング」では1位を獲得したことも。ビューティフル・ウィンドウズ運動は、「治安が悪い」というイメージを覆し、快適な住環境づくりに大きく貢献しています。

子育て支援計画で、区の未来を支える人々を応援

 治安改善が進み、なおかつ家賃・物件価格相場が低いことから、子育て世帯やライフプランで子育てを想定している夫婦世帯からの注目度が高まっている足立区。より一層子育てしやすい環境へと整備することを目的に、2015年に「足立区子ども・子育て支援事業計画」を策定しました。本計画の実施施策は妊娠から出産、子育てまでをトータルでサポートする内容で、家族の憩いの場としての「子育てサロン」、各家庭のニーズに応じたサービスを提案する「保育コンシェルジュ」、育児に関する悩みを相談できる「きかせて子育て訪問」など多岐にわたっています。

 満足のいく暮らしに必要な生活インフラも充実しており、「ルミネ北千住店」「ポンテポルタ千住」などの複合施設は駅に近いため利便性が高く、また自然豊かな公園も区内に多数あり、「新田さくら公園」は春と秋には美しいバラ花壇が見頃を迎え、夏には水遊びを楽しめるじゃぶじゃぶ池が開催。さらに、「大谷田温泉 明神の湯」では23区内でありながら天然温泉を楽しめます。家族みんなで買い物、レジャー、リフレッシュできる点は、子育てと関わっていく若年層が安心して暮らせる環境といえます。

新田さくら公園をはじめ、公園が多く良好な住環境

区内7エリアの変革を進め、足立区の魅力を発信していく

 足立区では大規模な区有地活用事案「エリアデザイン計画」も進行しています。本計画は、千住エリアや西新井・梅島エリアなど区内7エリアを対象に、駅周辺の再開発や大型ショッピングモール開業、大学開設など、エリアごとの特徴と個性を生かしたまちづくりに取り組むことで区内全体の活性化を目的としています。実施プランは中長期的な魅力あるまちづくりを目的としているため今後具体的な内容が掲げられる予定ですが、2016年には大学誘致に成功し文教大学「東京あだちキャンパス(仮称)」が花畑エリアに設置されることが決定。2021年の開校に向けて準備が進められており、足立区の未来像は少しずつ形づくられています。

 区民意識というソフト面と居住環境というハード面の両方が発展することで、多様な人々が行き交う活気のあるまちへと成長している足立区は、「2017年版 SUUMO住みたい街ランキング 関東版」の『穴場だと思う街(駅)ランキング』で北千住が3年連続となる1位を獲得。知る人ぞ知る将来的な有望エリアとして注目度は高まっており、まちのこれからに目が離せません。今後も治安改善が進み「住みよい街」であることが一般認知として広まれば、不動産に対する賃貸・購入需要も年々高まっていくのではないでしょうか。

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最終更新日:2018.02.24

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