
北区を中心に住宅需要が高まりを見せる大阪市|データで見る都市
日本最古の都市といわれ、「難波宮(なにわのみや)」が建設されてから1300年以上の歴史を持つ大阪市。町の原型は16世紀ごろに豊臣秀吉によってつくられ、以後は日本における金融商工業の中心地として発展してきた大阪府の中央に位置し、府庁所在地として文化・芸能など様々な分野で日本をリードしてきました。
中之島・御堂筋・難波周辺などで独自のブランド化が進展
大阪市の人口は平成27年国勢調査で見ると、前回調査から比較して1.00%増の2,691,742人です。市の人口は横浜市に次ぐ2位です。注目したいのは、事業所数の数については横浜市を超える1位で、190,932事業所があり、従業員数も1位。働き手が多く、同時に働き手にとって魅力ある街であるとも言えます。

参考記事
横浜市よりも、大阪市が都市化
大阪市では様々なエリアにおいて、それぞれの街を活かした独自のブランド化が進んでいます。
例えば中之島は、大阪駅から南へ約1kmの距離に立地しているエリア。東西約3km、面積約72haで、堂島川と土佐堀川に挟まれ、水都大阪を代表する景観を形成しています。古くから芸術・文化の発信拠点としての役割を担っており、国立国際美術館や大阪市立科学館が立地。アートスポットやアートイベントが多数あります。2010年に京阪中之島線が開通したことにより、さらなる発展が見込まれています。
御堂筋は、大阪の顔として昭和12年に整備された全6車線が南行き一方通行の大阪の基軸幹線。自動車3.5万台、歩行者1.9万人の交通量(平日昼間の12時間:本町付近)があり、沿道は日本を代表する企業が集積しています。とくに近年は本町への高級ホテルや、心斎橋への高級・新進ブランドの進出が相次ぎ、御堂筋ジョイふるなどの市民参加型のイベントが活況。『歩いて楽しめ、24時間稼動する多機能エリア』への転換を図り、御堂筋ブランドの向上を図っています。
難波は、難波駅(南海本線・高野線)、なんば駅(地下鉄御堂筋線・四つ橋線・千日前線)、大阪難波駅(近鉄難波線、阪神なんば線)、JR難波駅(JR関西本線)が乗り入れるなど、交通アクセスが至便なエリア。鉄道事業者によるターミナルの近代化をはじめ、道頓堀川のとんぼりリバーウォークの運営管理、放置自転車対策など、これまで民間が積極的にまちづくりに参加し、大阪を代表する商業・観光エリア「ミナミ」を形成してきました。現在は大阪の観光拠点として、近年、観光客、とくに外国人観光客数が急激に増えてきています。
全国屈指の繁華街「梅田」を有し、常に賑わいを見せる北区
街ごとに個性が際立つ大阪市において、賑わいとともに住まいの点でも注目されているのが北区です。その中心的な場所が梅田エリア。JR大阪駅、阪急梅田駅を含め、鉄道4社(JR・阪急・阪神・地下鉄)、7駅が集中しており、1日に約236万人の乗り降りがある西日本最大のターミナルでもあります。また、百貨店に代表される繁華街として発展し、大阪駅前ビルの再開発、ハービスOSAKAなどの西梅田再開発などによりオフィスビルの建設が続いており、近年も梅田阪急ビルやグランフロント大阪等の大型オフィスビルが順次完成。さらに阪急百貨店建替、大丸百貨店増床等により、新宿駅周辺の店舗面積(約21.7万㎡)を超え、約32.5万㎡の店舗面積を要する「日本一の百貨店の集積地」となっています。

人口は増加の一途を辿る北区。中でも世帯数・出生率に注目
そもそも北区は、独特な構造の梅田スカイビルを中心とする新梅田シティ、古い街並みを残していた茶屋町の再開発、大阪アメニティパーク(OAP)、オオサカ・ガーデン・シティ、大阪国際会議場など様々な都市開発が梅田の西・北方向にも進んできた地域。大阪大学跡地を中心とする中之島西部地区の開発、JR梅田貨物駅の跡地利用など北区の将来を大きく左右する構想・計画が目白押しです。
大阪市が発表している区別推計人口では、平成27年から平成28年までに増えた人口は2,316人と西区、中央区に続いて3位。さらに平成25年~26年では3,170人で1位、平成26年~27年では2,995人で2位と大阪市内でも人口増加が顕著な地域です。とくに世帯数は平成27年から平成28年にかけて1,574世帯増加しており増加率は2.1%。増加数は大阪市内で5位。また現在世帯人員数は1.66人とファミリーよりも独身者かDINKSが多いのが特徴です。そのため、単身者の賃貸需要が伺えるとも言える地域です。
北区では今後も続々と開発が進み住宅需要が顕著に
梅田エリアでは、「グランフロント大阪」に隣接する「うめきた2期」エリアの基盤整備事業がすでに着手されており、JR東海道線視線の地下化と新駅(仮称「北梅田」駅)設置工事が進められ2023年春に開業予定になっています。また「北梅田」駅から、なにわ筋の地下をとおり、なんば周辺で分離し、JR線と南海線との直通運転を行なう新線計画が発表されたことを受け、「新大阪」と「梅田」、「なんば」、また「関西空港」が直接結ばれることになりさらに多くの人が訪れることが期待されています。
梅田駅周辺ではさらなる再開発計画も進行中。2022年を目標に、大坂中央郵便局跡地に40階立ての高層ビルの建設、さらに徒歩圏内の中津駅にはタワーマンションが3棟建つ予定があります。
独自の教育無償化が先行しており人が集まる街に
ご紹介したように、以前は繁華街、ビジネス街というイメージが強く、人が住むというイメージからは離れていた北区ですが、現在は開発も進み住みやすい街としてのイメージを定着させつつあります。それに加え大阪市では、平成29年度からこれまでの5歳児に加え、4歳児の教育費無料化を実施。一定の条件を満たす認可外保育施設に通う子どもも対象となっています。さらに、すべての子どもたちが安心して医療を受けられるよう、平成29年11月診療分から対象年齢を15歳(中学修了)から18歳(18歳に達した日以降における最初の3月31日)まで拡充。これにより北区もさらにファミリー層が増えると期待でき、ファミリー層が増えるにつれ生活に関する制度や充実することで、単身者の住宅需要が高まることも予想されます。
単身者向けのアパート経営や不動産投資などを考える際にも、実は人口の増減率や出生率、ファミリー向けの市の施策、マンション建設なども影響を及ぼすことを覚えていてください。