アパート経営のノウハウ

失敗事例から学ぶ「高利回り物件」のリスク

2018.01.19

 不動産投資でアパート経営やマンション投資などを行う際、中古物件の場合は「利回り」が書かれていることが多いですよね? こういう物件があります! 利回りはこのくらいです! といったものです。

 でも、本当に良い物件というのは市場に出回る前、つまり未公開のまま売買が成立してしまうことも多いのです。逆に、市場に出てもなかなか売れない物件を不動産業界では「出回り物件」と呼ぶこともあります。あちこちでその物件が売られている状態ですね。こうした物件には、売れないだけの理由があります。

 今回は、そんな売れない物件を手にしてしまった失敗事例から学んでいきましょう。

高利回り中古木造物件の失敗事例

Q.Iさんは、物件総額が4000万円で利回りは16%、満室の中古木造物件を購入しました。当初のもくろみでは毎月50万円以上の家賃収入が入るはずでしたが、このあとAさんは1年も経たずに売却をしてしまいます。なぜでしょうか?

A.前回所有者が、転売用に入居条件を下げて(入居者属性や保証人の審査も十分に行わず)満室にしていました。

 利回り16%といえば、相当高いですよね? しかも満室です。不動産投資を少し学んだ人であれば「これは!」と思うでしょう。売る側もそれがわかっているから、今回のように満室をうたうためにあの手この手を使ってきます。

 しかし、その結果、Iさんがオーナーになった後、家賃の延滞が目立つようになります。管理会社は「賃貸物件なので、多少の遅れはあります」といい、当初はその言葉を鵜呑みにしていたIさん。延滞は2カ月、3カ月と続きます。家賃を延滞した入居者への回収は管理会社だけでは対応してくれません。結局回収できないまま、夜逃げ状態になる入居者まで現れ、Iさんは大きな損失を抱えることになってしまいました。

低い滞納率高い入居率を維持する必要がある

 こうした「高利回りお宝物件」は、ネット上でもよく見かけます。Iさんも「インターネットで良い物件を見つけたと喜んだ」と振り返るようにネットで見つけたそうです。なんとか売却はできましたが、200万円以上の損失が出てしまったそうです。

利回りはあくまで机上の計算

 利回りはあくまでも机上の計算です。収入を確保するためには当然、入居率が重要です。将来の計画をする上でも、指標としては重要です。しかし、アパート経営において利回りとは入居者が家賃を払っていることを前提に算出されています。

 しかし、相手は人間。家賃を払わないということも起きます。こうしたリスクを避けるためには、「高利回り」だけを重視しないことにつきます。その土地の過去であるとか、周辺環境であるとか、注目すべきポイントは無数にあります。

 こうしたポイントを無視して、利回りだけでアパート経営やマンション投資といった不動産投資をするのは、おすすめできません。

 専業大家として不動産賃貸業だけで生活をしている方であれば、そういった問題のある物件を購入し、手間と時間とお金をかけてリフォームするのも選択肢の一つですが、副業や兼業で不動産投資をするのであれば、これはおすすめできません。あえて火中の栗を拾う必要はないのですから。

 それよりは、利回りだけに注目するのではなく、自分がオーナーとして持つならこのエリアがいいという「思い」であるとか、実際に人が集まっているなどの情報を収集&分析した上で、適正な場所を選び投資をすべきではないでしょうか? そうした熱意や情報分析が、結果的に不動産投資を成功させる一因につながるのではないでしょうか?

参考記事
「利回りの良さ」だけに目を奪われてはいけない

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最終更新日:2018.01.19

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