
“危なそうな街”から“住みやすい街”へと変貌を遂げる川崎市|データで見る都市
神奈川県の北東部に位置し、多摩川を挟んで東京都と隣接する川崎市。1924年7月に川崎町・御幸村・大師町が合併して誕生し、今年で93年目を迎える歴史ある地域です。全国的に人口が減少する中、川崎市の人口は増加を続け2017年4月24日には市の人口が150万人を突破し、全国第8位の人口数を誇ります。
国内外の主要都市へとつながる抜群の交通アクセス
市内を縦断する形でJR南武線が通り、南武線と交差する形で京急線、東急東横線、東急田園都市線、小田急線、京王相模原線と5つの私鉄が走っている川崎市。JR川崎駅から東京駅までは18分、品川駅までは9分でアクセスができるなど、交通の利便性が魅力です。さらに、羽田空港まではわずか15分、成田空港からも市内の武蔵小杉駅まで電車で直接接続しており、横浜市よりも都心に近く、国内外の主要都市へすぐに移動できるためグローバルに活躍するビジネスパーソンからも注目を集めています。

また既存の道路・鉄道網に加え、東京湾アクアラインや首都圏近郊都市との接続生を高める主要幹線として川崎縦貫道路の整備も進行中。今後もより一層交通網の発展が期待できそうです。
治安イメージがよくない川崎市。しかし近年はイメージ向上中
川崎市は犯罪発生率が高いのも事実。神奈川県の犯罪発生率(人口100人あたりの犯罪件数)ランキングでは、横浜市の中区、西区、寒川町に続いて川崎市川崎区が1.074%で第4位です。昔から京浜工場地帯の要として発展してきた川崎区は、工場が多く立ち並び、空気が汚染されているという良くないイメージを持つ人が多い地域。しかし2008年から始まった工場夜景ツアーがヒットし、今では平日・休日を問わず工場夜景の撮影を楽しむ人で賑わう美しい街へと発展してきました。

また川崎市中原区にある武蔵小杉が、ここ10年ほどでブランド化され、「SUUMO住みたい街ランキング 関東版」の<総合>で2015年は5位、2016年は4位、2017年は6位と毎年上位にランクインするほど高い人気を誇り、人口が増え続けています。
街の整備も急ピッチで進行中しています。ここ数年で「三井ショッピングパークららテラス武蔵小杉」「武蔵小杉東急スクエア」「グランツリー武蔵小杉」などの大型商業施設が続々とオープン。今後も再開発が進められる予定です。
人気に後押しされて家賃は賃貸、分譲ともに価格が年々上昇しつつあります。単身住居者はもちろん、ファミリー層にも人気の武蔵小杉エリアがブランド化したことにより、最近では周辺の各駅にも注目が集まるようになってきました。武蔵小杉を中心に今後も魅力ある地域として定着する見込みがあるので、アパート経営を考えた際に安定した家賃収入が期待できそうです。
整備が進む川崎駅周辺。若者が集まり活気にあふれる川崎市
首都・東京に隣接し、首都圏の中央部に位置する川崎市。特にJR川崎駅周辺には、「ラゾーナ川崎プラザ」や「川崎アゼリア」などの商業施設が並び、多くの若者で賑わっています。現に、平成27年の国勢調査に基づき川崎市がまとめた「平成27年国勢調査結果(確定値)概要」によると、他の大都市(※)との比較では、15歳〜64歳までの生産年齢人口構成比が最も高く、67.7%となっています。また平均年齢は川崎市が最も低く、42.8歳。こうしたデータからも若者が多くいる地域といえます。
またJR川崎駅では、大規模な拡張整備が進行中です。2017年6月には新たな改札口「中央北改札」が開業。これは整備工事のうち一部が先行開業となったもので、現在も「北口通路」、「北改札」や駅ナカ商業施設、改札内のバリアフリー設備等の整備が進められています。駅ナカ商業施設は延床面積約8,600㎡を予定。「ラゾーナ川崎プラザ」や「川崎アゼリア」と繋がる自由連絡通路も開発され、さらに便利な駅へと進化していくことでしょう。
国内6位を誇る労働力が支える先端産業と研究開発機関
川崎市には、グローバルな事業展開を行う企業が多数あります。特に、臨海部にはICT・エレクトロニクス・機械・バイオテクノロジーなどさまざまな分野の研究開発機関が200以上立地しています。また川崎市では、人類共通の課題解決と国際貢献に資する先端産業の創出と集積を促進するため、先端産業創出支援制度「イノベーション川崎」を創設。環境やエネルギー、ライフサイエンス分野の先端技術の事業化を支援しています。
実際に大型リチウムイオン電池及び蓄電システムの開発・製造を手がける企業がその制度を活用し、2010年4月に臨海部に量産工場を竣工。世界トップレベルの安全性を誇る大型リチウムイオン電池を全自動化ラインで量産しています。また川崎市は「新川崎・創造のもり」地区の「NANOBIC」において、ナノメートルサイズからマイクロメートルサイズの超微小、超微細な領域での加工、計測技術などを活用した研究開発の支援に取り組んでいます。
「都市データパック2017年版」(東洋経済新報社)によると、こうした取り組みを支える川崎市の労働力人口は702,036人と全国で6位、平成27年の国勢調査に基づき川崎市がまとめた「川崎市統計データブック」の「川崎市の人口」によると総人口に対する15歳以上人口の比率を表す労働力率は65.2%で東京都区部に次いで全国第2位です。学術・開発研究機関の従業者構成比は、日本の大都市の中で第1位を誇ります。

さらに川崎にはこうした企業のビジネスパートナーとして、川崎を日本の拠点として選ぶ外資系企業の数も増えており、その数は100社を超えています。外国貿易海上輸出入の金額は大都市(※)の中で第7位となる3兆9,930億円。また貨物数量では輸入量が46,042,000トンで愛知県名古屋市に次ぐ第2位となっています。

今後も、先端産業と研究開発機関の発展とともに外国への輸出入が増え、それに伴い労働者人口も増えていくと予想される臨海部。人口が増えていくということは、物件需要も増えるということでもあるため、不動産投資を考えた際も安定した家賃収入が見込めるのではないでしょうか。
抜群の交通アクセスを誇り、若者を中心として人口が増加の一途をたどる川崎市。治安が悪いなど負のイメージを持っている人は、情報を再収集し見直すことで新たな側面に気づいたと思います。
アパート経営や不動産投資をしていく上で、このように従来のイメージだけで判断するのではなく、直近のデータや今後の開発計画などを踏まえ、将来的な可能性に目を向けることは大変重要だと言えます。
※ 大都市=20政令指定都市及び東京都区部の21大都市