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2020年以後も価値が高まり続ける新宿|東京大改造

2017.11.29

 東京都庁を中心に、副都心として進化し続ける新宿区。1698年6月、甲州街道に「新しい宿」として誕生した「内藤新宿」という宿場町が「新宿」という名前の由来です。

 高層ビル群が集まるビジネス街の印象が強く、住宅地としての印象は薄いかもしれませんが、「SUUMO住みたい街ランキング2017」居住都県別の東京都民ランキングでは9位と、実は東京都民からもなかなかに人気のエリアなのです。この評価は交通の要、新宿駅が存在するというアクセスの良さからだけではないでしょう。

 例えばビジネスマンが忙しく闊歩する西新宿と、どことなく混沌とした雰囲気のゴールデン街や歌舞伎町周辺では、同じエリア内でも受ける印象がまったく異なります。また新宿は、駅から少し離れると、意外なほどに昔ながらの街並みが残されています。このように場所や時間帯によって全く違う印象を見せる「懐の深さ」も、年齢や職業問わず多くの人々に支持される理由なのではないでしょうか。そんな新宿も、今まさに再開発の真っ最中。利便性の追求や災害対策など様々な目標のもとに、各取り組みが進められています。

世界一の利用客を誇る新宿駅

 新宿駅はJR東日本、京王電鉄、小田急電鉄、東京メトロ、東京都交通局(都営地下鉄)の5社局が乗り入れるターミナル駅で、通勤ラッシュ時のすさまじい混雑具合は世界的に有名です。一日の平均乗降客数は360万人を超えると言われており、ギネス認定されています。さらに西武新宿駅や新宿西口駅まで含めると370万人超とも言われており、これは国内市町村で最大規模となる横浜市の人口に匹敵する数となります。

 

 人が多いだけでなく、その複雑な構造ゆえに都内では東京駅、渋谷駅と並び有数の迷路、魔境とも言われる新宿駅。「新宿ダンジョン」(PUMO)というタイトルのゲームソフトまで発売されるほどに、初心者が目的の出口に辿りつくのは困難とされています。

 初めに触れた通り、古くは江戸時代に誕生した「内藤新宿」という宿場町として栄え、交通の要衝となっていました。1885年に初めて鉄道の駅ができましたが、立地の問題もあり当時乗降客数はほとんどいなかったそうです。今では想像もできませんよね。

 人が集まるということで、商業施設や歓楽街も集中しています。日経リサーチの「首都圏・関西圏利用商業施設(集客力)ランキング」によると、首都圏では13年春以降9期連続で「伊勢丹 新宿店」が首位を独占。同調査の5位には「小田急百貨店 新宿店」、8位に「ルミネ新宿」、9位に「京王百貨店 新宿店」がランクインしており、新宿エリアだけで4施設が占めています。

防災機能の強化を中心に、再開発が進む西口エリア

 1991年、西新宿に都庁移転してから20年以上。バブルが崩壊したこともあり、移転を契機に行われていた大規模な再開発ラッシュもしばらく落ち着いていました。

 しかし近年、西口エリアは特に防災都市としての開発が進んでいます。2017年、西新宿に誕生した超高層ビル「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」は建物内に防災倉庫、敷地内に約1,900平方メートルの公開空地を設け、災害時の避難場所として使うことを想定しています。また、2019年春には同じく西新宿エリアに34階建ての超高層ビルが完成する予定とのこと。新宿中央公園の北側に建設予定のこのビルには、木造住宅の密集地域を再開発して地域の防災機能を高める狙いも期待されています。

 さらに同年には新宿住友ビル、通称「三角ビル」の大規模改修も完了する予定です。目玉となる巨大なアトリウムは災害時、帰宅困難者のための全天候型退避スペースとして整備されるとのこと。この「新宿住友ビル 大規模改修計画」は2017年8月18に国土交通省より「民間都市再生事業計画」の認定も受けていて、新宿エリアだけでなく東京全体の魅力底上げにつながると期待されています。

新たな人の動線ができつつあり、活気あふれる南口エリア

 2016年4月4日より開業した高速バスターミナル「バスタ新宿(正式には、新宿南口交通ターミナル)」によって、それまで新宿駅周辺に散らばっていた高速バス乗り場が一箇所に集約され、全国39都府県、300都市へアクセスしています。

2016年4月4日に開業したバスタ新宿
(提供:国土交通省 関東地方整備局 東京国道事務所)

 そして2016年3月25日に開業した「JR新宿ミライナタワー」も南口エリア。バスタ新宿に隣接していて、同ビル内にオープンした女性向けの商業施設「NEWoMan」も連日にぎわっています。高層階にはLINEやセイコーエプソンがオフィスを構え、南口の新たなランドマークとして機能しています。

 さらに新南口駅前のエリアでは三菱地所、日本製粉、ジャパンリアルエステイトの3社共同で「(仮称)新宿南口プロジェクト」が進行中。明治通り沿道の老朽化したビル3棟を1棟のビルに建て替えることで地域防災の強化を図ると同時に、地域拠点や歩行者ネットワークの結節点を創出し、商業施設や地域貢献施設などからなる複合施設を整備するというもの。2019年8月に竣工の予定です。

オリンピックに向けて人が集まる、東京の中心

 2020年に開催される東京オリンピック、パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場や東京体育館は新宿エリア周辺に位置しています。開催に際し、国内外から多くの人が集まるでしょう。紹介してきたように、再開発も2020年に間に合うよう急ピッチで進められています。長らく工事が続いている場所も多く、なかなか全容が見えてこない「新生・新宿エリア」ですが、東京オリンピックが近づくにつれて次々とベールがはがれていくことを思うと、非常に楽しみですね。

 その上、新宿エリアはもともとが人気エリア。物件需要はオリンピックによる一過性のものに止まりません。ブランド総合研究所が発表した「地域ブランド調査2017 魅力度上位100市区町村ランキング」によると、新宿区は総合24位。東京都内では渋谷区に次いで2位につけています。オリンピック終了後も、資産価値が著しく下落するようなことはないでしょう。

 また、注目したいのが中央線、京王線、小田急線、埼京線沿線。これらは新宿に通勤、通学する人々の多くが利用している路線です。30分以内に新宿まで出られるエリアは特に人気で、物件需要も集中する傾向にあります。不動産投資の際は、こちらを踏まえて戦略を練ると、効率よく収益を上げられるかもしれませんね。

 東京の交通の要所であり、多様な人々が集まる新宿。オリンピックを前に急速に再開発が急速に進む西新宿や南口エリアを中心に、今後も投資人気が高まりそうです。

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最終更新日:2017.11.29

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