
老後「平均寿命— 健康寿命」の差からお金の殖やし方を考える
日本人の平均寿命は、この数十年間で大きく延びました。厚生労働省の「平成28年簡易生命表の概況」によると昭和30年の平均寿命は男性63.60歳、女性67.75歳。そして60年後の平成27年の平均寿命は男性80.75歳(+17.15歳)、女性86.99歳(+19.24歳)です。

(出典:厚生労働省『平成28年簡易生命表の概況』より作成)
ここで、ちょっと考えてみてください。
20歳で成人し、満23歳で日本人の多くは社会人1年生です。そして、仮に定年60歳まで働きあげたとすると約37年が会社員などの「働き手」人生です。しかし、その後もおよそ80歳まで生きれば「20年」、100歳まで生きれば「40年」の時間があるのです。つまり、「大人になるまで=成人」時間と同じかそれ以上の時間が、退職後に待っているのです。
平均寿命と健康寿命を知らなければ老後不安の解決はできない
「それならしっかり働かないといけないな」とポジティブに考える方もいるかもしれません。でも、忘れてはいけないのが成人になるまでの成長期と違い、あなたの体や心は確実に老いていきます。それが老後というものです。
厚生科学審議会「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」では、平均寿命と健康寿命についての課題が挙げられています。この資料で男性の平均寿命(平成22年)は男性79.55歳、女性は86.30歳なのですが、日常生活に制限のない期間の平均である健康寿命(平成22年)は男性70.42歳、女性73.62歳とあります。
つまり、男性は約9年、女性は約13年のあいだ日常生活に制限のある期間がやってくるということです。
このときは、働くこともままならないケースもあります。介護サービスを受ける必要もあるでしょう。使えるのは貯金したお金と年金などしかありません。日常生活に制限があるのですから、働いてお金を稼ぐということは至難の業です。
これは、一般的な目安ですが要介護の方が1カ月に20万円分の介護サービスを利用したとき、介護保険からの支払限度額を引いても自己負担額は約5万円になると言われています。この5万円を稼がずに支払い続ける必要があります。
平均寿命から健康寿命を引いた年分のお金がいくら必要で、いくら足りないのか、そのおおよそを知っておくことで、老後の対策が取れます。足りない分があるときは、今の段階からどのようにお金を増やせばいいのかを考えましょう。
お金を増やす3原則
お金を増やすには、大きく3つの手法があります。

1.の「積立」は時間を味方にするお金の殖やし方です。例えば異なる期間(30歳から35年間、35歳から30年間)、同じ金利(仮に3.5%とします)で毎月5万円を積み立てをした場合、どのくらい差が出ると思いますか?
答えは、920万円です。
30歳から積み立てた場合は約4076万円。
35歳から積み立てた場合は約3156万円になります。
これは年複利によって生じる差です。ですから、老後にお金を貯めるには、早いうちからの資産づくりが重要になってきます。
しかし、積立だけでは老後に必要なお金をサラリーマンが貯めるのは難しいかもしれません。そのため必要なのは、資産づくりを分散して考えるということです。そこで、2.の「投資」が必要になってきます。投資には、ハイリスクハイリターンのものから、ローリスクローリターンのものまで多数あります。一つに絞るのではなく分散して投資をしていくことが大切です。
3.の「節税」はいわずもがなですが、ふるさと納税を活用するなどして、自分がどのような節税が採れるのかを分析し、対策を練る必要があります。
老後でなくても、たとえば万が一、病気や怪我になってしまった場合、収入は減り、支出は増えます。支出は保険などでカバーすることもできますが、収入源はなかなか難しい……。そこで、もしものときのための資産づくりという点で注目を集めているのがアパート経営や不動産投資です。最近では、地方にアパートが建ちすぎるなど問題視する傾向もありますが、これは場所柄なども含めて無策に建ててきた業者が問題でした。
地方から都市部への人口流入はまだ続いており、その点で需要は存在しています。アパート経営は投資などと同じ。しっかりとパートナー企業を選んで、実際に検討をし、選び、運用することこそが大切です。