人気ランキング常連、衰え知らずの武蔵野市|データで見る都市

2017.11.24

 地理的には東京都のほぼ中心、都心からはやや離れた場所に位置する武蔵野市。八王子市、立川市に続いて都内3番目の市として1947年に誕生し、今年で市制施行70周年を迎える歴史ある地域です。

 最大の特徴は、何といっても若者から圧倒的な指示を集める吉祥寺を擁する点でしょう。都心までのアクセスの良さと適度に自然あふれる街並みは、若者のみならず幅広い世代に支持されています。

若者が憧れる街「吉祥寺」を擁する武蔵野市

 吉祥寺駅周辺にはパルコやマルイなどの大型商業施設が集中しているだけでなく、ハモニカ横丁に代表される個性的な昔ながらの個人商店も共存。新宿・渋谷まで約20分とアクセスも良好で、「SUUMO住みたい街ランキング・関東」では2016年を除きトップを独占しています。若者にとって、吉祥寺に居を構えるのはある種のステータス。そのため他地域に比べ、多少駅から離れている物件にも需要が発生しやすい傾向にあります。

 また、日経BP社の「シティブランド・ランキング ―住みよい街2017―」でも1位を獲得していることから、憧れだけでなく実際に住んでいる(住んでいた)働き世代からも、住みやすい街として太鼓判を押されていることが分かります。

実は高所得者が多く住む街

 吉祥寺の特徴を見る限り、武蔵野市全体が若者中心の街なのでは? といった印象を抱いてしまいそうですが、決してそうではありません。意外かもしれませんが、武蔵野市住人の平均所得額は全国有数の高さを誇り、「都市データパック2017年版」(東洋経済新報社)によると納税者1人当たりの所得は518.33万円で、全国10位。

 さらに財政基盤は全国1位、財政健全度は全国2位という数字が、首都圏だけでなく全国区でも「お金持ち」な自治体であることを裏付けています。

 

 そのため、20歳未満の児童がいるひとり親家庭向けに家賃の一部を助成してもらえる「ひとり親家庭受託費助成制度」であったり、一時的に車いすが必要になった場合は一ヵ月を限度に無料で借りられる制度であったりと、住人の「地元愛」に応えるかのように、行政からも手厚いサービスが用意されています。また、コミュニティバスとして初めて正式に路線認可を受けたのは武蔵野市の「ムーバス」だと言われており、1992年にオープンした「0123吉祥寺」も日本初の子育て支援施設で、これらは全国的なモデルケースとなっています。現在は2016年に策定した「景観整備路線事業計画(第2次)」に基づき、景観やバリアフリーに配慮した街づくりを計画的に進め、防災機能の向上を目指しています。

 豊富な財源を積極的に納税者へ還元しようとしてくれる点も、前出の財政健全度全国2位という評価につながっているのかもしれませんね。

人気の理由はオシャレだけじゃない

 武蔵野市に人が集まるのは、吉祥寺に代表される若者文化の発信基地的な理由からだけではありません。実際、日経BP社の「シティブランド・ランキング ―住みよい街2017―」を見ても、圧倒的に「街の活力」が評価されているのは確かですが、一方で生活インフラや医療、介護など暮らしやすさといった面でも高く評価されていることが分かります。

 大小様々な商業施設が集まる吉祥寺駅周辺だけでなく、市の中央部や武蔵境駅周辺の商店会でもスタンプを発行するなど独自の取り組みを行い、利便性の向上だけでなく地域の活性化にも一役買っています。

 また武蔵野市は、図書館や公民館などの文化施設も充実しています。一般的な図書館や公会堂だけでなく、入館料300円(中高生100円)で気軽に立ち寄れる「吉祥寺美術館」や稽古場が併設されたブラックボックス型の劇場「吉祥寺シアター」、完全防音の「スイングホール」や「芸能劇場」、果ては昭和初期の木造平屋を回収した本格的な茶室である「松露庵」など、他に類を見ないユニークな公共の文化施設を保有しています。加えて市内には都立公園である井の頭恩賜公園(通称、井の頭公園)をはじめ、平成29年4月1日現在で181の公園があり、緑も十分。都心へのアクセスの良さと都心にはない魅力を併せ持つ地域なのです。

 そして医療面ですが、「都市データパック2017年版」(東洋経済新報社)によると人口1万人当たりの病院数は15.5ヵ所と全国7位。また、武蔵境エリアにある武蔵野赤十字病院は設立から60年以上が経ち、長らく地域の総合病院として住民から頼りにされています。同病院は初期研修医からの人気も高く、定員に対する研修医の倍率は全国1位となっています。

 こうした数字を見ても、武蔵野市が「吉祥寺ブランド」に惹かれて集まる若者に限らず、幅広い世代にとって暮らしやすい街であることが分かりますね。幅広い世代が集まる街ということは、トレンドやブームに左右されにくいということでもあります。これはアパート経営を考えた際に安定した家賃収入が見込めるため、魅力的な土地だと言えそうです。

井の頭公園などの環境の良さも人気を支える要素

少子高齢化に負けない、幅広い世代に人気の街

 武蔵野市の将来人口推計(平成26年実施)によると、今後も微増とはいえ人口は増え続ける見込みです。2044年にピークを迎え、2045年から減少に転じると予測されています。予測数値を細かく見ると、2014年の140,527人から2044年は148,750人ということで、かなり緩やかな増加ではあります。しかし少子高齢化に伴い、日本全体の人口が減少傾向にある中、今後30年間にわたって増加し続ける予測値が出ているのはやはり武蔵野市の人気の高さゆえでしょう。若者から高齢者まで、幅広い年代にとって暮らしやすい街づくりがなされていることが、街を先細りさせない秘訣なのかもしれません。

今後30年間にわたって増加すると予測される武蔵野市の人口
(出典:武蔵野市HP『武蔵野市の将来人口推計(平成26年)』より作成)

 不動産投資を考えた際も、人口が減らないということは物件需要が減らないということでもあるため、安定した家賃収入が見込めるのではないでしょうか。さらに長い目で見ると、今後高齢化が進むことを見据えて、高齢者に特化したサービスをセットにした住宅を建てるのも良さそうですね。

 昔から老若男女問わず安定した人気があり、高所得者の割合が多い武蔵野市。従来からの若者需要だけではなく、今後はシニア向けビジネスの穴場としても目が離せません。

Editor:
最終更新日:2017.11.24

おすすめ記事