
若者と外国人が押し寄せる古くて新しい街・上野|東京大改造
“アメ横”、“アメヤ横丁”の愛称で知られるアメ横商店街連合会や、自然豊かな上野恩賜公園、今年の6月にジャイアントパンダの子「シャンシャン」が生まれたことで話題になった上野動物園など、上野は江戸期から続く観光の町として栄えています。
山手線や、京浜東北線、宇都宮線・高崎線など複数路線が利用でき、成田空港からも京急電鉄スカイライナーで一本と交通の便が良い上野。約2年後に迫った「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」に向けて世界の文化交流の拠点として機能することが期待されており、駅周辺では再開発が行なわれています。
観光資源が豊富な上野

アメ横商店街連合会には魚介類や乾物、輸入食材、輸入雑貨、衣類などを販売する約400の店が軒を連ね、1日当たりの人出が平日で10数万人、年末になると50万人が見込まれ、国内外からの観光客で賑わっています。
活気のある商店街を有する一方で、文化的施設や歴史的建造物が多数存在するのも上野の特徴です。
徳川将軍家の祈祷所・菩提寺であり、徳川歴代将軍15人のうち6人が眠る寛永寺、徳川家康を祀る上野東照宮、京都の清水寺を模倣して建てられた清水堂といった江戸時代の建造物や史跡などが数多く残ります。
さらに昨年世界遺産登録に沸いた、建築家ル・コルビュジエ設計の国立西洋美術館をはじめ、国立で唯一の総合科学博物館となる国立科学博物館、オペラやバレエも上演される本格的な音楽ホールの東京文化会館などが集結しており、それぞれの施設で文化芸術活動が展開されています。
これらの観光資源を活かして文化庁や官公庁をはじめとする行政と、上野観光連盟などの民間企業が連携し、上野「文化の杜」構想を推進。海外の一流アーティスト・クリエイターを誘致した文化プログラムの実施や周辺環境の整備などにも乗り出しており、さらなる観光客増加が見込まれます。
すでに観光資源を数多く有し、官民一体となって新たな取り組みを行なっている上野ですが、再開発によってさらなる変貌を遂げようとしています。
再開発により若者が集まる街・上野へ
2016年の年間観光客数が5,000万人を超えたという台東区(平成28年度台東区観光統計・マーケティング調査)。中でも主要な観光地の一つである上野にはどのような人が集まっているのでしょうか? 台東区観光統計・マーケティング調査によれば65〜69歳が14.7%、70〜74歳が12.8%、60〜64歳が10.6%と60歳以上の高齢者が約半数を占めています(平成26年度台東区観光統計・マーケティング調査)。

そんな高齢者に人気の上野が、姿を変えようとしています。
今年11月4日に新たなランドマークとして開業した「上野フロンティアタワー」。地下1階には松坂屋上野店、地上1〜6階にPARCO_ya(パルコヤ)、そして7〜10階にTOHOシネマズ、12〜22階はオフィスが入っています。
渋谷、池袋、吉祥寺など、若者の街として認知されているエリアで成功しているパルコ系列の「パルコヤ」。ここには上野・御徒町エリア初登場の店舗が52店舗も入っているため、これらを目当てにした若年層の流入が期待できます。
また7〜10階に入るTOHOシネマズは、台東区初となるシネマコンプレックスとなるため、幅広い層の映画ファンを集客することも可能になりました。
さらに12〜22階の11層・床面積11,700㎡にも及ぶオフィスフロアを導入することで、ビジネスマンの流入も見込まれます。
こうした人の増加に合わせてインフラ面でも改善が始まり、スムーズな歩行者動線を確保するための再開発が進められています。JR東日本が2020年7月の供用開始を目指し、上野駅公園口の移設工事に着手。公園口の整備計画では、改札口を現在の位置から約90メートル日暮里側に移設し、公園口から上野動物園方面までが一直線で結ばれます。
このような変化により、遊びにいく場所や働きにいく場所としてだけでなく、エリア全体が活性化され住む場所としても今まで以上に人気のエリアになっていくことが予想され、不動産投資を考える場合には魅力的なエリアと言えそうです。
外国人観光客増加による民泊の需要増加
冒頭でも触れたとおり、上野を擁する台東区の年間観光客数は2016年度に年間5,000万人を突破しました。また、外国人観光客は2014年度の526万人にくらべ、157.8%の830万人を超えています。

上野からほど近い秋葉原も海外旅行者に人気の街で「平成28年度国別外国人旅行者行動特性調査」によれば、旅行時に訪問した場所で秋葉原と答えた人は41.2%。実に4割を超える外国人観光客が訪れていることになります。
日本では2018年6月までに民泊新法が施行される見込みとなっています。周辺に観光地が多くアクセスも良好な上野では、外国人観光客や地方からの若者、出張で訪れるビジネスマンなど多様なユーザーの民泊需要の高まりが期待できます。最近はそういった民泊需要に向けた賃貸物件の経営も注目されています。
アパート経営をする際は、上野のように再開発の行われているエリアに大きな可能性があると言えるのではないでしょうか。