
世界都市ランキング東京3位、2位のニューヨークに接近
世界都市ランキング、インバウンド整備で東京ポイントアップ
森記念財団都市戦略研究所が、10月12日、2017年版の「世界の都市総合ランキング」を発表しました。昨年はじめて3位に浮上した東京は「交通・アクセス」や「文化・交流」の分野を伸ばし、2位のニューヨークとの差をさらに縮めました。1位のロンドンは「文化・交流」などで総合スコアを伸ばしました。

本ランキングは経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野から都市の総合力を評価して、国内総生産(GDP)や研究者数、国際コンベンション開催件数など合計70指標を使って算出するものです。
昨年にパリを抜いて3位になった東京は、今年、劇場・コンサートホール数や海外からの訪問者数などの文化・交流、交通・アクセスの分野でスコアを伸ばしました。2020年の東京オリンピック開催を控え、インバウンドの受け入れ体制の整備が寄与しているようです。
東京の総合スコアは1354.7でニューヨークとの差は前年の46ポイントから31ポイントに縮みました。
一方で、経済ランキングで昨年1位の東京は4位へ順位を落としてしまいました。経済の1位はニューヨーク、続いてロンドン、北京と続き、5位は上海。上位5都市のうち、3都市がアジアの都市となっており、経済がアジアへシフトしてきていることを思わせます。
東京は、為替変動(円安)の影響もあり、経済の指標全般でスコアを伸ばせませんでした。2017年度から新たに対象都市となったドバイはGDP成長率や法人税率で高い評価を得て初登場で11位となっています。

居住ランキングで東京を超える「福岡」
居住ランキングで1位は昨年のパリを抜いてベルリンになりました。「生活利便性」のスコアはやや低いものの、ほぼすべての指標で高い評価を得ています。昨年1位だったパリは7位と大きく下げました。これは、2015年におきたパリ同時多発テロ事件の被害者数が「人口あたりの殺人件数」に大きく影響したといいます。
アムステルダムとストックホルムは昨年は11位と10位でしたが、大きく順位を上げています。これは、「ICT環境の充実度」が高い評価を得ました。
総合上位の常連ニューヨークは、ここでは大きくスコアを落として34位。一方、東京は14位です。面白いのは、日本で居住ランキングが一番高かったのは福岡の13位だということです。大阪は19位です。ランキング圏内の3都市は、昨年トップ10に入っていましたが、「社会の自由度・公正さ・平等さ」の評価が低いことから順位を下げてしまいました。とはいえ、東京の住みやすさは14位と高いことは評価すべきことでしょう。また、東京を超える居住のしやすさが「福岡」ということにも注目したいところです。
居住ランキングの評価は以下の指標をもとに算出されています。
・完全失業率
・総労働時間
・従業員の生活満足度
・賃貸住宅平均賃料
・物価水準
・人口あたりの殺人件数
・自然災害の経済的リスク
・平気寿命
・社会の自由度・公正さ・平等さ
・メンタルヘルス水準
・人口あたりの医師数
・ICT環境の充実度
・小売店舗の充実度
・飲食店の充実度
日本において「東京」と住みやすさで並び優る「福岡」。この2つのエリアに加えて、「大阪」は外国人の人たちにとっても評価の対象となるでしょう。「東京」と同じようにインバウンド整備が高まっていくことで、海外からの居住者も増えてき、民泊需要が高まるでしょう。
「東京」は2020年の東京オリンピックを控え整備が進みますが、ランキング上位の「福岡」もコンパクトシティとして国内外での評価は高いことも考えると両都市の来年度のランキングにも注目したいところです。

街の将来性を見極めるには分析を参考に
今回ランキングに入った3都市は、評価されている点がすなわち個性として認められているということです。そして、その個性が街の魅力となっていきます。人はなぜ都心に住むのか?でも触れている通り、個性のある街に惹きつけられ人が集まります。その証拠として、日本全体では人口減少が叫ばれていますが、近年の国勢調査の結果を見ると、東京、福岡においては人口が増加しているような状況です。こういった様々な視点で分析され、高評価を獲得している都市は、当然のことですが、居住エリアとして人気があるといえそうです。不動産投資やアパート経営を検討する場合などは、立地や将来性についても考える必要があります。将来性の高い好立地を選ぶ際には、このような分析を参考にすると良いでしょう。