制度・税制

「相続」の勝敗は、情報収集と分析にあり

2017.10.19

高齢者急増で他人事ではない「相続」

 日本は高齢化社会です。総務省統計局によると、65歳以上の高齢者人口の割合は1950年(昭和25年)には4.9%となっていましたが、1955年(昭和30年)には5.3%と増加し、2016年(平成28年)9月15日現在の推計では、65歳以上の高齢者人口は3,461万人で、総人口に占める割合は27.3%となっています。

 さらに、国立社会保障・人口問題研究所による推計(日本の将来推計人口・平成29年推計・出生中位・死亡中位)によると、今から17年後の2034年には32.4%と約3人に1人が65歳以上の高齢者になります。このように高齢者が増加してくると、相続が身近な問題になってくる人も増えてきます。

 

個人の資産は団塊世代以上が多く持っている

 日本は個人が溜め込んだ財産・資産が非常に多いのは「リテラシー不足で102兆をタンスに溜め込む日本の残念ぶり」でも書きましたが、「2016年末の現金残高は実に102.4兆円。特に2015年ごろからこの額が急激な伸びを見せていますが、時期を考えると2015年1月の相続税の強化、翌2016年1月のマイナンバー制度の開始が、こうしたタンス預金増加の背景にあったと考えられます。日本人は昔から欧米に比べ、投資より預貯金を好む傾向があるといわれてきましたが、それに拍車をかける形で、富裕層に警戒心をもたらす制度改革が次々と行われたといえそうです。また、未曾有の低金利で銀行に預けるメリットを感じられないことも、こうした状況の後押しになったのかもしれません」。

 もちろん、タンス預金に限らず、個人の財産・資産は団塊世代やそれ以上の世代が多く持っています。こうしたものは、近い将来に資産として土地の相続などとあわせて現在の30代〜50代の子供たちにかかってきます。

相続する「実家」に投資のしがいはあるか

 相続される土地は高齢者の絶対数が急増しているため、今後も増加傾向です。例えば、息子・娘世代は都心に住み、両親の住んでいたベッドタウンの家と土地なども相続の対象となります。

 そこで、「自分たちは住まないから、アパートにしようか」と考えがちになる方も多いのではないでしょうか? アパートなど賃貸不動産からの収入は、サラリーマンにとってはあこがれの的で、魅力もあります。建築会社に企画から建築、入居者の賃貸管理、修繕などの建物管理まですべてサブリースで任せることができるので、働きながら副収入を手に入れることも……しかし、現実は甘くありません。

 団塊世代が多く住むベッドタウンの魅力が減っていることは、以前の記事でも言及していますが、「人気エリアだから、住宅地として古くからあるから……などの理由で安易にエリアを選んでは後悔することにもなりかねません。人々に求められるモノは、たとえ不動産であってもトレンドがあるのです。アパート経営などで、中古物件なら利回りがいいからと安易に人気エリアの物件を選んだら、駅までのアクセスが不便だった、では目もあてられません。立地選択では、その場所が「利便性」を持っているのかということも注視することが重要です」。

 相続をした方は、その土地よりも自分がいま住んでいる都心エリアに魅力があるから、そこへ住もうとしないわけですよね? それは他の人にもあてはまることです。このことについても、以前の記事で言及していますが、「団塊世代の子供たちは都市へ住む層です。都心のタワーマンションなどに住むことが多い彼らにとって、両親の住むベッドタウンの一戸建ては『帰省する場所』。暮らす場所ではありません」。

 

 本当に不動産投資・アパート経営を考えるのであれば、相続した土地でやるのではなく、ゼロから賃貸収入が得られるアパートやマンションなどを考えたほうがいいのではないでしょうか? いわば、土地からはじめるアパート経営です。

 土地からはじめれば、東京や福岡、仙台、関西など単身者の多い都市に絞り、駅から徒歩10分圏内の場所に建てることだってできるわけです。首都圏ですら、2020年以降人口は減少していく日本では、今後の賃貸市場は激しい競争を迎えます。「土地があるからアパートを」ではなく、「どのようにしたら資産づくりができるのか」という発想を大事にして、専門家などから情報を収集し、決断することが求められそうです。

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最終更新日:2017.10.19

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