ライフスタイル

ターミナル駅としてさらなる進化を目指す渋谷|東京大改造

2017.10.13

100年に一度の再開発

 2020年東京オリンピックを目前にし、東京の再開発計画が各所で行われています。そこで、東京の都市計画の一つひとつにフォーカスをあて、考えていきます。まず最初は、渋谷の再開発からです。

 渋谷の再開発は急ピッチで進んでいます。すでにみなさんもご存じの「渋谷ヒカリエ」もその一つ。巨大ターミナル駅でありながら高層ビルのなかった渋谷のランドマークとなった建物です。

 そして、2017年、キャットストリート沿いに進む渋谷宮下町計画が、「渋谷キャスト」として開業を迎えました。クリエイティブ産業を振興するための拠点となり、渋谷エリアと原宿・表参道方面の人の流れを結びつける役割を担います。

 渋谷エリアの開発はこれで終わりません。その規模は100年に一度の再開発とも言われ、東京オリンピックを目処に進んでいます。

再開発で都市の価値は変化する。そのチェックは素人ではなかなか難しい。

 渋谷キャストのあと、2018年秋に開業予定の南街区(渋谷ストリーム)の建設が本格化します。翌年の2019年には中心部の渋谷駅街区・東棟、道玄坂1丁目駅前地区再開発が進みます。同年には、渋谷パルコを建て替える宇田川町14・15番地区再開発も行われます。そして、2027年度には渋谷駅街区・中央棟と西棟が開業、駅街区全体が完成し「新しい渋谷」になる予定です。

 計画の雰囲気を知るには、現在、渋谷川沿いの新たな水辺空間の誕生として注目されているのが「渋谷ストリーム」を見るといいでしょう。渋谷川を挟み、西に旧東急東横線の高架、東に明治通りをのぞむこのエリアは、渋谷駅周辺で唯一川が地上に顔をだすエリアでもあります。工事現場は、欅坂46「サイレントマジョリティー」のPV撮影などにも使われており、一部では有名です。

 渋谷ストリームの事業コンセプトは「クリエイティブワーカーの聖地」です。渋谷最大級のオフィスや約180室の客室を備えたホテル、商業施設のほかホール、カンファレンス施設など多様なワークスタイルを支援する施設を予定しています。

歩行者の導線が大きく変化

 渋谷ストリームをきっかけに渋谷駅周辺の歩行者の動線も大きく変わります。東急東横線、東急田園都市線、東京メトロ副都心線、東京メトロ半蔵門線の4線からは吹き抜けの動線空間を整備して誘導します。地上と地下の双方から渋谷駅とダイレクトにつながる動線を整備していく予定です。今まで迷宮といわれてきた渋谷の動線が変わることは使っている人達にとってもうれしいことではないでしょうか。

 2019年には、先述した道玄坂1丁目駅前地区再開発で「東急プラザ渋谷」跡地と、その周辺を再開発していきます。ここでは、クリエイティブ・コンテンツ産業やグローバル企業の進出を促す支援機能も導入し、空港リムジンバスの発着場を含むバスターミナルを整備、街の国際競争力の向上を図るとしています。

 渋谷駅はJR東日本(山手線、埼京線、湘南新宿ライン、成田エクスプレス)、京王・井の頭線、東急線(東横線、田園都市線)、および東京メトロ(銀座線、半蔵門線、副都心線)という4社の路線が乗り入れるターミナル駅です。これに空の利便性が加わるとなると強みが増しそうです。

 2016年3月に発表された「渋谷駅周辺まちづくりビジョン」には、次のように書かれています。

渋谷が発信し続ける最先端ファッションやITなどと共に、独創的な発展を見せる文化の一つに音楽があります。多様なジャンルのプレーヤーがそれぞれの演奏スタイルを追求しながら互いを認め称賛し、得た刺激が糧となって音楽の持つ魅力が増すように、まちづくりも渋谷に関わる多くの人々が“協奏”することでまちが進化し続けることを目指し、4つの視点と場の展開による新しい取組みを進めます。

 

 ここでいう4つの視点とは以下のようなものです。

 

渋谷区と広域渋谷圏という考え方

 渋谷区には渋谷駅周辺だけでなく、笹塚、幡ヶ谷、代々木上原など多様なスポットがあります。渋谷区の面積は23区で15番目で人口は18番目と決して大きくはありません。しかし、このスペックだけで渋谷の魅力を語るのが難しいことは、日本人なら誰しも理解できるでしょう。もうすぐハロウィンで、おそらく大賑わいになる渋谷のスクランブル交差点などは、若者たちがイベントごとに集う聖地になっていますし、海外からの観光客の憧れのスポットでもあります。あらゆる面で、多くの人を惹きつける魅力を持つ場でもあります(ちなみに、ロンドンのオックスフォード・ストリートのスクランブル交差点は、渋谷のスクランブル交差点を模したものです)。

 渋谷の範囲を広くとらえるものとして、広域渋谷圏という考え方があります。東急不動産が提唱している事業戦略で、渋谷駅周辺を青山や表参道、原宿、恵比寿、代官山などの個性豊かな街が複合的に結びつくエリアととらえ、このエリア一帯を「広域渋谷圏」と定め、都市開発を行っています。

 

周囲の街の価値をも引き上げる渋谷として

 渋谷に人が住み始めたのは旧石器時代ともいわれています。その痕跡として、現在の鉢山町・猿楽町に遺跡が残されています。そこからな時代の変遷の中で、国内でもトップクラスの魅力を誇る街となった渋谷。

 その渋谷がこの数年でさらに進化を遂げていきます。常に文化発信の中心地として存在してきたこのエリアは、世界のクリエイティブ・クラスの人材が集うべき場へ変わろうとしています。ローカルから、グローバルへ。そのために求められる交通利便性・動線、そして施設が数年のうちに出そろうわけです。

 開発によって、価値が高まれば、渋谷や渋谷広域圏だけでなく、このエリアにアクセスのしやすい駅にも注目が集まります。不動産投資やアパート経営を検討する場合などは、こうした立地や将来性についても考える必要があります。街の価値が高い場所に、人は集うのです。

Editor:
最終更新日:2017.10.13

おすすめ記事