魅力のない都市No.1「名古屋」の凄まじき地力 | データで見る都市

2017.08.07

 愛知県の名古屋市は、全16区から構成される政令指定都市。東京特別区部を除けば、横浜市・大阪市に次ぐ全国第3位の人口を有しています。栄や名古屋駅、大須、金山などの繁華街を持ち、栄と名古屋駅一帯には広大な地下街が存在し、地下鉄網も充実しています。東京や大阪に比べ、人口密度も高くないので、緑が多く広々とした街並みが広がっています。

魅力にかける都市No.1の名古屋市

 交通の利便性が高く環境も良い名古屋市ですが、2016年実施の「都市ブランド・イメージ調査」では次々と不名誉な結果を突きつけられてしまいました。「訪問意向」つまり、行ってみたい都市では最下位、「最も魅力的に感じる都市」でも最下位、その逆の「最も魅力に欠ける都市」では最上位を取ってしまい、WebメディアやSNSを中心に大きな話題となりました。驚くことに、この調査は名古屋市の観光文化交流局が実施しているため、墓穴を掘った形になったことも、拡散された要因といえるかもしれません。

 実はこの調査、観光についての質問を中心に構成されていましたが、他の対象都市が、札幌市、東京都23区、横浜市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市と、日本でも有数の観光都市ばかりだったという事情がありました。他に比べ多くの観光資源を持たない名古屋市には不利な設計の調査ですので、こういった結果が出るのも無理がありません。しかし本当に魅力にかけるのか、住みやすさや経済都市という側面で考えると、そうではないことを裏付けるデータが次々と出てきます。

過去最大を更新し続ける名古屋市の人口

 そのデータのひとつとして人口が挙げられます。2016年(平成28年)10月1日の人口は2,304,794人で平成9年以降20年連続で増加し、過去最大となっています。

「愛知県人口動向調査結果(名古屋市分)」平成28年より作成

 日本各地で人口減少が叫ばれる中、名古屋市には人が集まっているのです。さらに、都道府県格付研究所発表の製造業従業者数は愛知県が全国1位で、789,092人。「都市データパック2017年版」(東洋経済新報社)で見ても事業所数は124,938事業所で全国2位、上場企業本社数も145社で全国7位となっており、経済都市としては、日本トップクラスの規模を誇っています。

 

世帯構成に変化が出てきている

 名古屋市が発表した平成27年国勢調査の概要紹介によると、過去最大の人口についてだけでなく、世帯構成の割合のデータについても触れられています。単身世帯や2人世帯が前回調査に比べ増加しており、“世帯人員が3人以下の世帯で、全体の83.3%を占める”というのです。

名古屋市「国勢調査人口等 基本集計結果」平成27年より作成

 3人以下の世帯割合が増加しているということは、単身、DINKS、核家族などの増加ということにも置き換えられますが、こうした世帯の割合が増えるにつれ、賃貸需要の高まりが予想されます。

リニアを核に、新たなまちづくり構想

 名古屋市の将来的な成長を牽引する要素として、2027年(平成39年度)にリニア中央新幹線の東京—名古屋駅間の開業が予定されています。リニア名古屋市ターミナル駅は名古屋駅の地下という好立地に設置され、リニア開業後は、東京-名古屋間の移動所要時間が89分から40分になる予定です。さらに2045年(平成57年度)には名古屋-大阪間も開通し、所要時間が48分から27分に縮む計画です。

 この計画は単にリニアの開通だけでなく周辺の再開発とも連携していて、すでに名古屋駅の工事は始まっており、開業に先駆けて駅前が大きく変わることになります。名古屋市では、これを「名古屋駅周辺まちづくり構想」として策定し「世界に冠たるスーパーターミナル・ナゴヤ」を目指すとしています。

便利な上に住みやすい都市へ

 名古屋市が2012年に発表した都市計画マスタープランでは、東京、大阪に比べ人口密度が低く、道路や公園を確保した住みやすい大都市ある名古屋市の現況に触れながら、同時に「集約連携型の都市構造」を目指すとしています。集約連携型の都市構造については以下の説明があります。

駅を中心とした歩いて暮らせる圏域(駅そば)に、商業・業務・住宅・サービス・文化等の多様な都市機能が適切に配置・連携されていて 、さらに景観・歴史・環境や防災に配慮された、魅力的で安全な空間づくりがなされている都市構造のこと

 

 同プランでは、駅から概ね半径800mのエリアを「駅そば生活圏」と呼び、これが実現されれば、名古屋駅を中心として利便性の高さと住みやすさを兼ね備えたエリアが誕生することになります。先述の世帯構成の変化による賃貸需要の増加と合わせて考えると、不動産投資などを考える際には非常に注目すべきエリアだといえそうです。

住みやすい街として注目が集まる名古屋市

データを通して魅力を見極める

 魅力にかける都市No.1の名古屋市はその不名誉なレッテルとは裏腹に、意外にも非常に住みやすく将来性豊かな都市であることを、データが明らかにしてくれる結果となりました。このことからもわかる通り、都市の魅力というものは時に伝わりにくいものであったりもします。例えば自分が住むであるとか、不動産を所有するといった場面では、その目的に合わせてその都市の魅力や将来性を、しっかりと見極めて行きたいですね。

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最終更新日:2017.08.07

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