制度・税制

資産づくりを阻害する学生時代の「未払い」

2017.07.14

 ファッション通販のZOZOTOWNが「ツケ払い」というサービスを始めていますが、そのツケ払いを払えない若者たちのTwitterでのつぶやきが一時期話題になりました。ツケ払いは購入2カ月後までにお金を支払えばいいというものなのですが、要は2カ月後の一括ローンを組んだのと同じです。しかし、ツケ払いという語感の良さに多くの若者が気軽に利用しています。

海外では誰もが気にするクレジットスコア

 日本人は、海外と比べてお金の教育を受けていないとも言われています。例えば、米国などでは「クレジットスコア」と呼ばれるものがあります。これは個人の信用評価点で、もともとは融資やクレジットカードの審査のために使われていたものです。カードの引き落としができなかったりキャッシングの支払いが遅れたりすると返済事故として点数が落ちます。

 クレジットスコアは個人の格付けとも言えるもので、スコアの高低でローンなどの金利も変わってきます。スコアが低いと、お金を借りられなくなったりして、金銭的な自由に制約が出てくることで暮らしにくくなってしまいます。このクレジットスコアですが、アメリカでは実に20年以上も前から開始され、今では非常に一般的なものになっています。お金に関する指標としてはもちろんのことですが、社会的信用の指標として広く一般に認知され、意外なところでは就職や転職、結婚といった場面でも、クレジットスコアが参考にされていることもあるのです。

日本ではお金のことを学ぶ機会が少ない

 これだけシビアだと、お金の勉強をしなくてはいけないと誰もが思いますよね? 海外にはそういった土壌があるのですが、日本ではこういったことをあまり教育の場でも生活の場でも学ぶ機会がありません。なんとなく、お金のことを話すのは下品に思われてしまいがちという日本独自の考え方にも原因はあるのかもしれません。

 これは単に印象の話ではなく、教育カリキュラムにもその差が現れています。例えばアメリカでは投資に関する授業があったり、イギリスでも経済や金融に関する授業がある中、日本ではいわゆるお金に関する専門教育の授業がありません。これでは自身の資産を作るという意識も芽生えにくく、保険制度と同じような感覚で、将来的な資産も国まかせな考え方に陥ってしまうのも無理はありません。そんな日本にも、もちろん与信審査機関はありますが、クレジットカードの審査やローンで参考にされる程度で、就職時にまで参考にされることはないでしょう。

見えないあなたの階級が将来を変えていく

 最近、クレジットカードの審査に落ちる若者が増えています。JCBの2016年「クレジットカードに関する総合調査」では20代のクレジットカード保有率は男性が66.1%。女性が74.9%と男性が特に低くなっています。2015年の調査時では、20代男性は72.9%、女性が74.9%でしたから、たった1年で男性は6%以上減少しています。

20代のクレジットカード保有率の推移
(出典:JCB「クレジットカードに関する総合調査」( 2015年・2016年)より作成)

 クレジットカードを持たない主義の数が増えたとも言えますが、審査が通らないこともその一因であると想像がつきます。

 2014年に発表された内閣府の政府統計「「絆」と社会サービスに関する調査」では、家賃を滞納する年齢は男女ともに20代が最も高く、またクレジットカードの未払いにおいても男女ともに20代が最も高いのです。

20代男性は20代女性よりお金にだらしない?

 注目すべきは、クレジットカードの未払いについては20代女性よりも20代男性のほうが高いということ。このようなことから、料金の請求などに対して計画的な対処が20代男性は同世代の女性と比べてもできていないことが見えてきます。

 携帯電話の通話料なども、コンビニ払いなどでつい支払いを忘れてしまったりしたことはありませんか? これも、利用していたお金を支払えていないことになります。こうした情報はすべて管理されており、与信審査の参考にされます。

 滞納・未払いが多かったりすると、クレジットカードなどが作れなくなるばかりか、社会人になり家を買ったりアパート経営などをするためにローンを組むこともできなくなってしまいます。若いころからのあなたの行動の一つひとつが、あなたの将来を変えていくことになるのです。

信用情報のチェックは1,000円でできる

 自分の信用情報はどのような状況なのだろう? そう思った人もいると思います。クレジット会社の共同出資によって設立された指定信用情報機関CICでは、Webサイトなどから、自分の信用情報の確認ができるサービスを提供しています。信用情報とは、クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、取引事実を登録した個人の情報です。この信用情報はインターネットで開示することができます。

ローンの契約に障害がないか調べることもできる

 信用情報の開示にはクレジットカード一括払いで1,000円が必要ですが、為替や現金で対応してくれる郵送開示や窓口開示もあるのでどんな方でも信用情報をチェックすることは可能です。インターネットで開示を行う場合は、資料はPDFでダウンロードできます。他にも消費者金融系の情報を扱うJICC、銀行系の情報を扱う全国銀行協会など、いくつかの機関で信用情報が確認できます。

 もちろん、こういった機関の情報が全てではありませんが、自分がどのような評価をされているのかを客観的事実に基づいて見るのは大切なことです。信用情報は間違っていなければ、削除や修正を依頼することはできないもの。日々の生活の中でお金についてのリテラシーを高めることが、将来の自分への投資の一つになるのではないでしょうか。

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最終更新日:2017.07.14

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