データで見る都市:横浜市よりも、大阪市が都市化

2017.07.11

 2017年4月、静岡市の推計人口(2017年4月1日)が69万9421人となったことが報じられました。かつて、岡山市が人口69万人台で政令指定都市に移行したことがありましたが、その後の人口増で70万人を超え、その結果現在日本にある20の政令指定都市で70万人を割るのは静岡市のみとなりました。静岡市の人口はその後、5月には69万9658人、6月には69万9599人と、増加はしたものの70万人割れが続いています。静岡市が政令指定都市になった2005年4月当時の人口要件は70万人が運用基準になっていました。

 政令指定都市は法定人口が50万人以上の市のことで、大都市に該当するものですが、人口要件が70万人であった静岡市の現状は、政令指定都市ではないと言えてしまうのかもしれません。

人口減少対策に奔走する静岡市。政令指定都市にも明暗が

 実際、静岡市は市政の中で、地方創生・人口減少対策を全面に押し出しており、移住・定住情報サイト「いいねぇ。静岡生活」を公開するほか、静岡市のWebサイトを見ると静岡市結婚支援事業や、首都圏女子との婚活ツアーなど様々な取り組みが行われていることがわかります。ただ、人口を増やすことを優先するあまり、流出をどうしていこうかという対策はあまり見えてきません。これでは、静岡市、まだまだ人口減少は続いていくのではないでしょうか。

 ここで、先ほど申し上げた日本にある20の政令指定都市について復習していきましょう。20は、以下の都市です。

 

 今回、静岡市の人口減少報道でもわかるとおり、大都市として定義される政令指定都市の中でも、うまくいっている都市とそうでない都市ができつつあります。本来政令指定都市はうまくいっているのが当たり前なのですが、明暗が分かれはじめているのです。

横浜市以上に、都市型の大阪市

 たとえば、大阪市の人口は平成27年国勢調査で見ると、前回調査から比較して1.00%増の2,691,742人です。市の人口は横浜市に次ぐ2位です。注目したいのは、事業所数の数については横浜市を超える1位で、190,932事業所があり、従業員数も1位です。働き手が横浜市よりも多いということです。

 

 

 

 一世帯あたりの人員が約1.97人と2人割れをしていて、政令指定都市内でもきわめて少ないことからも、単身者の働き手が多いことが推察できます。一方で、5歳児の幼児教育の無償化を国に先駆けて行うなど、市民サービスの拡充を推進しており、将来性も感じさせます。

 また、2016年12月「大阪の成長戦略」では2020年に大阪を訪れる外国人(来阪外国人)を650万人にするという目標を2倍の1,300万人と設定するなどしています(国目標が2,000万人から4,000万人と2倍になったことを受けて)。

注目すべきは都市の状況

 アパート経営や不動産投資をしていく上で、こうした都市の状況を観察するのはとても大切なことです。たとえば、東洋経済新報社の『都市データパック 2017年度版』を見ると、大阪市の持ち家世帯比率は44%です。一方の横浜は60.40%と高く、アパート経営を考えると、横浜市よりも大阪市に市場があることがうかがえます。

 

 同書を見ると、大阪市は上場企業の本社数も362社あり、横浜市の107社と比べて圧倒的に多く、横浜市が東京のベッドタウンとして持ち家で暮らすイメージに対し、大阪市は東京都と同じように会社に近い場所で暮らしているイメージが持てます。アパート経営や不動産投資をしていく上では、こういった物件の立地条件なども重要になってくるといえそうです。

参考記事
人気エリアでも「駅までバス物件」に未来がない理由

 

 しかも、大阪府・大阪市は大阪ベイエリアの人工島“夢洲”を舞台にする2025年の万国博覧会開催を目指しています。実現すれば、2020年の東京五輪後の目玉となるもので、注目が集まります。

 市のデータを見ることにより、その場所でどのような人々が暮らしているのかを浮かび上がらせることで、アパート経営の立地先や不動産投資などの参考になることはおわかりいただけたかと思います。

 SHINOKEN WAYSでは、今後もこうした市の情報について調査・掲載していく予定です。

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最終更新日:2017.07.11

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