「iDeCo」登場は、老後資金を自分で準備せよという国からのメッセージ?

2017.06.27

 個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」をご存じでしょうか? 加入者が月々の掛け金を拠出、それを運用し、60歳以降に一時金または年金として受け取る金融商品です。

 そもそも年金には国からもらう「公的年金」、会社からもらう「企業年金」、自分で準備する「私的年金」の3つがあります。個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自分で老後の資金を準備する私的年金の一つ。一般の預貯金や個人年金保険などと比べ税制面を中心にメリットが多いのです。2017年度から現役世代ほぼ全員が対象となり、注目を集めています。

NISAと比べてもメリットが大きい

 個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」のメリットを挙げると、掛け金がすべて所得控除の対象となるので、その年の所得税や翌年の住民税が安くなったりします。運用中の利益も全額非課税扱いになります。

 ちょっと前に登場したNISA(少額投資非課税制度)にも税制優遇はありますが、こちらで非課税になるのは売却益や配当、普通分配金だけです。掛け金がまるまる非課税になる個人型確定拠出年金(iDeCo)のほうがメリットは大きいと言えそうです。

 個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」にこれまで加入できたのは、自営業者や勤務先に企業年金がない会社員などに限られていましたが、2017年から専業主婦を含むほぼすべての現役世代(60歳未満)に拡大されました。

 年金だけでは老後が不安という方々には、朗報とも言えるものでしょう。

減っていく年金と膨らんでいく将来不安

 しかしこういった制度改革は、裏を返せば「仕組みをつくるから老後資金は自分で準備して」という国からのメッセージかもしれません。

 将来不安に対して、今までは国が守ってくれていましたが、これからの時代は異なるということでしょう。以前の記事でも掲載しましたが、老後の生活を心配している人は圧倒的多数で、その不安な理由として「年金や保険が十分でないから」と「十分な金融資産がないから」が非常に高いことはわかっています。

老後の生活を心配している理由
(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2016年)より)

 こうした不安を抱える人が増える中、その不安を解消する一つの手段として、個人型確定拠出年金(iDeCo)の登場があったと考えるべきでしょう。今まで不安を抱えながら無策のまま過ごしていた人も、これからは自分で不安を解消するために、積極的に自分から動いていかなければならない時代になってきていると言えそうです。

老後資金の形成は早い時期から取り組むことが大切

「確定拠出年金」についてもう少し詳しく説明すると、掛け金は確定しているのですが、将来受け取る年金の額は運用成果で変わるというものです。運用期間は長い方が有利になるので、老後はまだ先……と思っている30代こそ始めるメリット大です。

 個人型確定拠出年金(iDeCo)は、加入者が月々の掛け金を拠出(積立)して、あらかじめ用意された金融商品で運用、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。60歳になるまで引き出せない点に注意が必要です。積立は月額5000円以上で、会社員や公務員の上限は月1万2000円程度(企業年金の種類により変化します)。

 同じような私的年金効果を狙って注目されているのがアパート経営です。こちらは先に銀行から融資を受けて、家賃収入でローンを返済しつつアパートと土地という資産を手に入れるという手法です。ローンが終われば、家賃収入が自分の収入になっていくことから、私的年金代わりにオーナーになるケースが多いのです。こちらも、30代から始める人が増えています。前述の通りiDeCoは60歳になるまで受け取れませんが、アパート経営の場合は引渡し後すぐに収入を受けられるというメリットもあり、60代がまだまだ遠く感じられる若い世代に人気がある理由の一つと言えそうです。

 個人型確定拠出年金(iDeCo)もアパート経営もニーズの多くは将来不安によるものです。さらに、どちらもやるかやらないかは自分が決定するということも同じです。自分の将来のため、自らが行動する必要が生じており、実際に動いている人も少なからずいる——そのことをまず知り、自分はどうするかを考えることが大切でしょう。

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最終更新日:2017.06.27

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