あなたの選んだ地域は大丈夫?
成長株エリアは人口増減で見つける

2017.05.30

 マンションを購入したり、不動産投資やアパート経営をしたりする上で、一番重要なのはその場所が今後成長していくのかどうか? ということです。不動産は、車やブランド品のように移動できません。文字通り、動かない資産(不動産)なのです。だからこそ、建物の価値以上に、その場所に価値があるのかという点が注目されます。

 しかし、たとえば武蔵小杉のように、いまそのエリアが盛り上がっているからといって、今後10年、20年と盛り上がり続けるかというと、それは分かりません。地域にも流行り、すたりがあります。

参考記事
人気エリアでも「駅までバス物件」に未来がない理由

 不動産情報サイトの「SUUMO」が「住みたい街ランキング」などを発表し、選ばれたエリアが話題になりますが、この調査の手法を見ると、以下のような記載があります。

調査方法 インターネットによるアンケート調査
※ 「住みたい街(駅)」の回答は、沿線を選んだ後、駅を選んでもらう選択方式。

 

 つまりこれはインターネットによる定性調査です。アンケートに答えた人の感覚や思いが大きく反映されるもので、だからこそ上位に恵比寿のようなほとんど商業エリアの街が入ったりするともいえます(ちなみに武蔵小杉は2017年の調査で6位でした)。

 このような定性調査では、その街が本当に住む上でいいのかという判断材料にはなりません。なにしろアンケートのタイトルも「住みたい街」とうたっているので、あくまで「ここに住みたい」という憧れなのです。いま話題になっているエリアを知るという点では参考になりますが、投資価値のある場所かどうかの判断はしづらいです。

これから伸びてくるエリア(地域)は人口増減で探る

 自分が住んでいる場所、そして投資をしている場所、ないしはしようとしている場所は、今後も伸び続ける地域なのかどうか? 定性ではなく、定量で知る必要があります。一つの指標として考えられるのが、人口の増減です。

 人口の増減があるということは、停滞していない証です。しかし、すべてを調べるのは大変です。そこで、おすすめしたいのが日経BPインフラ総合研究所+新・公民連携最前線が発表している「人口総合ランキング」です。

 このデータは、市区町村の人口関連データを集計・分析したものです。2010年-2015年のデータは、以下のような調査方法で算出されています。

(1)2010年と15年(速報)の国勢調査による人口の増減率
(2)国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が作成した「日本の地域別将来推計人口」(2013年3月)による2040年までの人口増加率
(3)日本創成会議による2040年までの女性増加率(人口移動が収束しない場合の20〜39歳女性人口比率)

 

 そして、この5年間で人口が増えているかどうかに加えて、今後の自治体のポテンシャルも含めて評価し、ランク付けしたものです。1位は宮城県の富谷町で、2位は福岡県の粕屋町、3位は愛知県の長久手市で、4位は福岡県の新宮町です。上位に首都圏が入っていないことがわかります。

 人口20万人以上50万人未満の人口総合ランキングでは、1位が神奈川県横浜市都筑区、2位は福岡県福岡市西区、3位は東京都江東区、4位は愛知県名古屋市緑区です。

 同所が発表している人口増減率ランキングの最新である「人口増減率ランキング2016」では、1位が東京都の御蔵島村ですが、これは人口300名程度で、今回まとめて登録がなされたことで1位になったといえそうです。注目すべきは2位の福岡県の新宮町でしょうか。前回の5年ランキングでも4位でした。ほかに、3位の大阪府大阪市浪速区などもあります。

 これと同時に発表された「人口増減数ランキング2016」では、ランキングの様相は大きく変わります。1位から13位までがすべて東京都。14位に大阪府吹田市、15位に福岡県福岡市博多区が入ってきます。増減数ランキングでは、人口1万人未満の自治体は1つもありません。人が集まるところに、人が集まるという集中化が進んでいることもわかります。

 定性では現れてこなかったエリアが、こうした定量調査などでは現れてくるのは面白いですね。日本の市町村は1741(2016年時点)あります。どのエリアが盛り上がっているのか、自分一人で調べ上げるのには限界があります。こうした様々なデータから、成長株のエリアを見つけていくべきではないでしょうか?

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最終更新日:2017.05.30

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