大都市の郊外や地方都市で
賃貸アパートが増え続ける理由

2017.05.11

 2017年3月10日、京都府の亀岡市長の自宅が長年にわたって都市計画法に違反していることがわかり、市長が陳謝する事態が起きました。市長の自宅は、京都府亀岡市の田園地帯にあります。ガーデニングを趣味としていた市長は、この場所が気に入り、今から約20年前に知り合いの農家から土地と建物を購入したといいます。しかしこの土地は、自然環境を守るために開発が制限される「市街化調整区域」と呼ばれる場所でした。

「市街化調整区域」とは何なのか?

 日本における街づくりは都市計画法によって規定されており、適用する区域は「都市計画区域」として指定されています。この都市計画区域は必要に応じて、さらに「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けられます。

「市街化区域」は積極的に整備、開発を行なっていく区域として定義されており、主にすでに市街地を形成している区域です。一方の「市街化調整区域」とは、市街化を抑制するために設けられる区域で、原則として開発を行わない区域とされています。農地や山林などの自然環境を残す目的で指定されているため、農家などの住宅及び、それに必要な施設以外の建築は認められていません(公益や観光資源の有効利用に必要な場合は、都市計画法第34条各号の立地基準を満たせば許可される)。

 冒頭に挙げた亀岡市長は農業に従事しておらず、農家として認められないことから法律違反にあたるというわけです。

 しかし、2000年の都市計画法改正によって開発許可権限が自治体に移譲され、条例を制定することで市街化調整区域でも農家以外の住民に向けた宅地開発が可能となりました。その結果、多くの自治体では人口増加を狙って規制緩和に乗り出しました。

規制緩和により市街化調整区域でも住宅の建設が可能に

 この改正は市街化調整区域である農地の所有者にも影響を与えました。農家では、後継者不足や収入減などの要因から継続が困難となる家も多くなっていました。そのため、自治体のこうした動きに同調し、所有している農地を宅地開発事業者に売却したり、賃貸物件を立てられるよう規制緩和を求める声が上がることが増えたりしました。

規制緩和が必ずしも良い方向に働くとは限らない

 しかし、規制緩和によって問題が起こるケースも報告されています。2015年5月11日にNHKの「クローズアップ現代」で『アパート建築が止まらない 〜人口減少社会でなぜ〜』と題して、埼玉県北部に位置する人口5万5千人の羽生市の事例が紹介されました。

 同市は2000年の都市計画法の改正を受けて、2003年に住宅の建築を促す施策を打ち出したのです。これは埼玉県内でも早い取り組みで、定住につながる戸建て住宅の建築を促すことを狙ったものでした。
しかし、NHKの調査によれば、実際に建築されたのは150棟のアパート。その9割がサブリース(転貸)目的だったそうです。

 サブリースとは、賃貸住宅建設業者などが完成後の賃貸住宅を一括で借り上げ、賃料を保証する仕組みです。大家さんにとっては空室リスクを避けられ、安定した収入を見込めるとの思いから乗り出すケースも多いようです。

 羽生市の場合、定住を狙った戸建て住宅建築を期待した規制緩和であったのに、実際はサブリース目的の賃貸住宅がほとんどを占め、しかも供給過多になったがために空室率も上昇してしまったとのこと。

 実は、サブリースの契約では、一定期間の家賃金額は保証するものの、一定期間後は家賃水準に合わせて保証金額が変動するのが一般的です。供給過多になれば家賃水準も低下していくため、安定収入として見込んでいた家賃も減ってしまいます。

 サブリースの仕組み自体は本来いいものであるはずなのですが、業者によっては、それを乱用する形で大家さんに同じ家賃がずっと続くなどと思わせるようにしているケースもあり、それがトラブルになっているとも言えます。これはサブリースだけに限って言えることではなく、アパート経営を始めるなら立地選定からしっかりと行う業者を探す事が肝要となりそうです。

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最終更新日:2017.05.11

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