不動産投資はインフレ対策になるのか?

2024.01.29

 アパート経営などの実物不動産投資は、“インフレーション”と呼ばれる経済状況下において有利な投資と言われています。その理由は何でしょうか? この記事ではインフレーションとはどのような現象か、インフレと不動産投資の関係について解説します。

良いインフレ、悪いインフレとは?

 インフレーション(以下、インフレ)とは、物やサービスなどの価格(=物価水準)が持続的に上がり続ける経済状況のことを言います。物価が上がるということは、相対的に貨幣の価値が下がることを意味します。たとえば物価水準が倍に上がったとしたら、同じ金額で買える物やサービスは半分に。物価だけでなく同時に所得水準も上がれば生活に大きな支障をきたすことはありませんが、貨幣の価値が下がることには変わりありません。資産を現預金として所有していると、その価値は目減りしてしまいます。

 同じ「インフレ」と言っても、良いインフレと悪いインフレがあります。物価水準と同時に所得水準も上がり、人々の購入意欲が旺盛になる状況……これは一般的に経済成長を伴う良いインフレと言われ、「リフレーション」と呼ばれることもあります。

 いっぽうで、悪いインフレは所得水準が上がらないまま、物価水準だけが上がっていく状況を指します。人々は買い控え、経済活動が停滞する様子が想像されるでしょう。景気の後退と物価上昇が同時に進行する状況が深刻化した状態については「スタグフレーション」と呼ばれます。

 なおインフレの反対に、物価水準が下がる状態はデフレーション(以下デフレ)と言います。デフレは物やサービスへの需要が生産能力よりも少ない状態のときに引き起こされ、一般的に景気後退をともないます。インフレやデフレが起きる要因は需給バランスの不均衡が主な要因ですが、それほど単純ではありません。金利や為替など様々な要素が影響します。

 日本は長らくデフレに苦しんできましたが、ここに来てインフレへと転じる動きが出てきました。2023年12月時点の消費者物価指数は、2020年を100とした場合に106.8まで上昇。前年同月比でも2.6%上昇しています(※)。これは、日銀が掲げる物価安定目標2%を大きく上回りました。専門家は今後も物価上昇、インフレが続くと予想しています。

※総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)12月分(2024年1月19日公表)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html

不動産投資がインフレ対策になる理由

 さて、アパート経営のような実物不動産投資がインフレに強い、と言われる理由は何でしょうか? 大きな理由は主に3つあります。

インフレ下では家賃が上昇しやすく、資産価値も下がりにくい

 インフレは物やサービスの価格が上昇する現象であり、家賃も例外ではありません。インフレでは家賃も上昇する傾向があります。前述した悪いインフレの場合、借りる人にとって家賃が上昇するのは好ましい事態ではありませんが、不動産経営を考える上では有利となります。物価が上がって生活費が増えたとしても、家賃収入が増えればカバーすることができます。また土地や建物の資産価値も上がるので、手放すときも高額での売却が期待できるでしょう。

 賃貸業は、オーナーが所有している現預金を土地や建物といった資産に変え、それを貸し出すこと、あるいは売却することで収益化するビジネスモデル。インフレが過度に進み、貨幣の価値が下がる前に土地や建物を購入した方が有利であることは言うまでもありません。

収益化の手段が複数(家賃収入or資産売却)ある

 将来の経済状況を正確に予測することは、たとえ専門家でも難しいものです。しかしアパート経営は継続的な家賃収入が得られる他に、いざというときには売却して資産化できる、という強みがあります。たとえば良いインフレで家賃を上げられそうなときには賃貸経営を続け、悪いインフレに転じて家賃増収を見込みにくい状況になったときには売却して資産化する、といった臨機応変な判断ができるということ。これは投資する上で大きなメリットと言えるでしょう。

ローンの返済が楽になる

 アパートなどを購入するとき、多くの人は金融機関からローンを借り入れて資金を用意します。インフレは相対的に貨幣の価値が下がる現象であり、ローンも貨幣の一種であるため、インフレが進むとローン残額が同じであっても価値が目減りしていく、ということになります。インフレで家賃収入が上昇してもローン残高は増えないため、返済の負担は楽になるはずです。

 ただし金利には注意が必要。インフレ下では金利上昇をともなうことが多く、ローン返済に「変動金利」を選んだ場合には金利分の返済額が増えてしまう可能性があります。「固定金利」の利率は一般的に「変動金利」より高くなりますが、政策金利が変動しても利率が変わらないメリットがあるため、金利が上昇しそうな局面では有利です。

インフレのときに注意したいポイント

 このようにインフレ対策として有効な不動産投資ですが、押さえておきたいポイントがあります。ひとつは「支出をできるだけ抑える」こと。インフレでは家賃収入が増えると同時に、維持管理などのコストも上昇しがちです。せっかく収入が増えても、コストが増えてしまってはキャッシュフローが改善しません。とはいえ、適切な維持管理を行わなければ資産としての価値が下がってしまいます。

 そのため、今後インフレが進行しそうなタイミングでアパートを購入するなら、大規模修繕などの大きなコストがしばらくの間かからない新築がおすすめです。新築もいずれは修繕などの費用が発生しますが、その時期までに家賃収入を蓄え、事前に準備しておけば問題ありません。

 賃貸ニーズの高いエリアに物件を購入することも重要です。前述のようにインフレには良いインフレと悪いインフレがあり、後者の場合には賃貸需要そのものが低下してしまう可能性もあります。そうしたときでも都市部や駅近など賃貸ニーズの高いエリアにある物件なら大きな影響をあまり受けません。条件によっては大きな家賃上昇を見込めるケースもあるでしょう。いずれにしてもインフレが過度に進み、物件の購入費用が過剰に高くなる前に準備した方が良いことは間違いありません。

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最終更新日:2024.01.29

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