制度・税制

不動産経営、一年目の確定申告と注意点

2024.01.22

 不動産経営を始めたら、ほとんどの人は確定申告をしなければなりません。確定申告はその年度の所得金額を確定させ、税務署に申告する手続きのことです。どんなケースで確定申告が必要になるのか、青色申告と白色申告の違いは何か、など確定申告の基本を解説します。

確定申告とは?

 確定申告はなぜ必要なのでしょうか? 会社員の場合、その人の給料がいくらで、所得税額がいくらになるかは、会社が計算し申告してくれています。しかし不動産経営などによる所得、副業や投資などによる所得、個人事業主の所得といった金額は、本人が申告しないと税務署側で把握できません。そのため下記のような人は確定申告を行う義務があるのです。

 ・会社員で、給与による収入金額が年間2,000万円を超える人
 ・会社員で、給与と退職金以外の所得金額が年間20万円を超える人
 ・個人事業主(自営業、フリーランス等)で、年間所得金額が基礎控除額である48万円を超える人
 ・源泉徴収義務のない人や会社から、給与等の支払を受けている人
 ・同族会社の役員で、貸付金の利子や資産の賃貸料などの所得を得ている人
 ・懸賞や公営ギャンブルの払戻金などで、特別控除額である年間50万円以上の一時所得を得た人

 たとえば会社員で、副業の不動産経営による所得金額が年間20万円を超えている場合、あるいは不動産経営を専門に行っていて所得金額が年間48万円を超えている場合は、確定申告しなければなりません。不動産経営をしている多くの人が当てはまると考えて良いでしょう。

 また「源泉徴収義務のない人や会社から給与等の支払を受けている人」「同族会社の役員で賃貸料などの所得を得ている人」などについては、年間所得金額がごく僅かだとしても確定申告する必要があります。

 個人の確定申告は、1月1日を起算日として12月31日までの所得金額と税額を計算し、必要書類に記載して税務署に提出、納税します。提出期間は原則、翌年の2月16日〜3月15日となっています。上記以外の人でも、ふるさと納税を行った人などは確定申告することで、還付金を受け取ることができます。

 なお、収入が公的年金のみで年間受給額が400万円以下の人、NISAなど非課税投資枠内での投資で所得を得た人、投資による配当の振込先に自動的に源泉徴収が行われる特定口座を利用している人などは申告不要です。

白色申告と青色申告の違い

 確定申告には「白色申告」と「青色申告」という2種類の申告方法があります。

■白色申告

 白色申告は、確定申告の中で最も手軽で簡単な申告方法です。提出書類は最低限、確定申告書と収支内訳書のみで問題ありません。ただし青色申告のような特別控除を受けられないデメリットがあります。事前に「青色申告承認申請書」を提出していない場合には、必然的に白色申告となります。

■青色申告

 青色申告では「欠損金の繰り越し」や、特別控除(所得から差し引いて計算できる金額)を受けられるメリットがあります。同じ青色申告でも、帳簿の付け方や提出書類、申告方法によって受けられる特別控除額が変わります。

 青色申告を行うには、税務署の承認が必要であり、申告する年の3月15日まで(新たに事業を開始した場合には、その事業開始等の日)に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。無申告が続くと青色申告の承認を取り消され、強制的に白色申告となるので注意しましょう。

・簡易簿記の場合

 帳簿を「単式簿記」と呼ばれる簡易な方法で作成する方法です。受けられる特別控除額は10万円です。通常は現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳などの帳簿を提出する必要がありますが、前々年の所得金額が300万円以下で事前に「現金主義の所得計算による旨の届出書」を出しておけば、提出書類を現金出納帳のみとすることが認められます。

・複式簿記の場合

 帳簿を借方と貸方に分けて記載する「複式簿記」を採用する方法です。総勘定元帳や仕訳帳など、より詳細な書類の提出が求められます。受けられる特別控除額は通常の申告方法で55万円、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行っている場合で65万円です。

 不動産賃貸業については、やや特殊な扱いで、青色申告の特別控除を受けるには、税務署に「事業的規模である」と認められる必要があります。「事業的規模」と認められるには、一般的に「5棟もしくは10室」以上の物件を貸していることが条件と言われています。

法人の確定申告について

 ここまで個人の確定申告について解説してきましたが、不動産経営のために法人を設立した場合にも当然、確定申告が必要です。法人の確定申告は個人と異なり、起算日と決算日を自由に設定できることが特徴。確定申告の期限は決算日から2か月以内と定められています。

 法人でも個人でも、帳簿の付け方や白色申告、青色申告などの申告方法に大きな違いはありません。ただし税務署には下記の書類などを提出する必要があります。

 ・法人税申告書及び地方法人税申告書(各種別表)
 ・適用額明細書(必要な場合のみ)
 ・法人事業概況説明書(または会社事業概況書)
 ・勘定科目内訳明細書
 ・決算報告書

 法人を設立した場合、家賃などの売り上げ、修繕費などの支出金額は法人の収支として決算・申告し、その所得金額に応じた法人所得税を税務署に納めなければなりません。

 また、自分自身や家族を役員や従業員とし、給与を支払っているなら所得税分を源泉徴収する必要もあります。源泉徴収とは、給与や報酬に対して発生する所得税を予め差し引き、個人にかわって法人が納税する制度のことです。差し引いた分の所得税は給与などを支払った月の翌月10日まで(給与を支払う従業員が常時10人未満で「源泉徴収の納期の特例」を受けている場合は半期に一度にまとめることが可能)に税務署で納めます。

 ただし、下記の場合は源泉徴収する必要がありません。
 ・「扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員に対して、毎月8万8,000円未満の給与を支払う場合
 ・支払先が法人の場合(一部例外あり)

 報酬を支払う相手が従業員でなく、個人の税理士、フリーランスなどである場合でも源泉徴収する義務が生じることには注意が必要です。

 面倒なイメージを持たれがちな確定申告ですが、毎月、毎年のキャッシュフローを確実に記帳していればさほど大変な作業ではありません。申告漏れや税金滞納などによるペナルティを受けないためにも、確実に確定申告を行いましょう。

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最終更新日:2024.01.22

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