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ミニマリズムの影響で人気? 狭小アパートのメリットとは?

2023.12.22

 アパートを建てるとき、一棟に何戸確保するのか、どのような間取りにするのかは誰しも迷うところでしょう。若者にニーズの高いワンルーム、1Kといった間取りの物件も以前は“広めの部屋が人気”と言われていましたが、最近は必ずしもそうとは限らないようです。アパートにおける一戸あたりの面積について、収益性の観点から解説します。

広さよりも利便性を重視する傾向に

 国交省が策定する住生活基本計画では、健康で文化的な住生活を営むための「最低居住面積水準」が示されています。その中で、単身世帯の最低居住面積水準は25㎡とされました。実際、ひとり暮らし向けのワンルームや1K物件の一般的な専有面積は、20〜25㎡と言われています。

 しかし最近、こうした水準よりもずっと狭い、一戸あたり10〜15㎡程度のアパートが思わぬ人気になっています。これはどのような理由でしょうか? 

 ひとつは、若者を中心としてミニマリズムの考え方が普及したことが挙げられます。ミニマリズムとは必要最低限の物だけで暮らすライフスタイルのこと。ベッドなどの家具を持たず、家電も置かないため、広い部屋は必要ないということです。部屋が狭ければ当然、家賃も低くて済みます。高い収入を稼ぎ、広い部屋に暮らすことに価値があると考えていた世代とは異なる、合理的な考え方と言えるでしょう。

 上記の例はやや極端にしても、最近は部屋の広さよりも家賃の安さや交通利便性、立地を重視する傾向があるようです。特に都心では3〜4.5畳ワンルームで、駅から10分圏内、新築の物件が人気に。かつて四畳半と呼ばれたアパートと違い、トイレやバスルームは共同でなく部屋ごとに備えられているのが特徴です。ロフトを付けて部屋を狭く感じさせない……といった工夫も見られます。現代では一戸あたりの部屋が狭いことは、必ずしもアパートのマイナス要因にならないのです。

 参考:GMO賃貸DX WEBメディア「賃貸住宅を選ぶ際に重要視しているポイント5選」
 https://chintaidx.com/media/20211124-01/

狭小アパートのメリット&デメリット

 アパート経営において、ひと部屋あたりの面積を狭く設計することには、どのような意味があるのでしょうか?以下のようなメリットが考えられます。

・家賃収入が高くなる

 狭小アパートは一戸あたりの家賃が低めのため、一見すると家賃収入が減るように思われますが、戸数を多く確保できるため、一棟全体での収益性は逆に高まる傾向にあります。実際に例を挙げて計算してみましょう。たとえば都心で駅歩10分以内・60坪の土地に2階立てアパートを建てる場合。専有面積30㎡程度のワンルームで一戸10万円前後×8戸=80万円程度の家賃収入が期待できます。しかし一戸あたりの専有面積を半分にしても、家賃は6〜8万円程度にまでしか下がりません。戸数が倍になるため、家賃収入は1.2〜1.6倍になる計算です。ただし建築費や管理費、修繕費、広告掲載費等の支出も、戸数が増えるほど高くなることには注意が必要です。

・空室リスクを減らせる

 狭小アパートなら、狭い土地でも多くの部屋を作れます。部屋が広く戸数の少ない物件では一戸でも空室になってしまうと家賃収入が大きく目減りしてしまいますが、戸数が多ければ空室によるダメージも少なくて済むでしょう。仮に空室になっても、入居者が決まりやすい傾向にあります。

・都市部でのニーズが高い

 そもそも狭小アパートが求められるのは都市部。賃貸ニーズの高い地域です。土地の取得費用は都市部ほど高くなりますが、それだけ高いリターンも見込めます。同じ予算なら賃貸ニーズの低い郊外に広い土地を買ってアパートを建てるより、都市部の狭い土地に狭小アパートを建てる方が不動産経営の成功率は高いでしょう。

・狭小地や不整形地でも対応できる

 一戸の面積がコンパクトなアパートなら、狭い土地や変形した土地でも多くの戸数を確保できます。土地の持つポテンシャルを活かしやすいことも狭小アパートのメリットです。


 次に狭小アパートのデメリットとその対処法も考えてみます。

・入居者の入れ替わりが多い

 狭小アパートのターゲットは学生や単身サラリーマンです。ライフステージが変化しやすい入居者層であるため、引っ越しが多い=入れ替わりが多いのは仕方ありません。退居希望を事前にリサーチし、早めに募集広告を出すなどの対策が有効です。

・建築費用、リフォーム費用が高い

 戸数が増える分、壁の数やトイレ・バス、キッチンなどの設備の数も増えます。広い面積の部屋を設計する場合に比べて、建築費用の坪単価は高くなる傾向にあります。また、設備入れ替え等の大規模なリフォームを行う際も当然、費用は増えます。そうした経費がかかることを予め見越した経営計画、家賃設定を行いましょう。

・周辺環境に影響されやすい

 周辺の学校や企業に通う人をターゲットとしている場合には、それらの施設が移転してしまうことで賃貸ニーズが一気になくなるリスクがあります。施設の移転計画などは入念に調べておきましょう。

広めの部屋が適しているケースも

 ここまで狭小アパートのメリット&デメリットを紹介してきましたが、当然ながら全てのケースで狭小アパートが有利というわけではありません。

 ひと部屋を広く設計したアパートには下記のようなメリットが考えられます。

・入居期間が長い

 広めの部屋はカップルや家族がターゲットになります。そうした層は入居期間が長くなる傾向があります。空室リスクを低く抑えることで、入居者募集などのコスト、入退居時の発生する修繕などのコストが少なく済むメリットがあります。

・賃貸ニーズがそれほど高くない土地でも活用できる

 比較的地価が安い郊外の土地を活用して、広めのアパートを作るのも賃貸経営におけるアイデアのひとつです。駐車場併設とするなど、ターゲットを明確にすることで賃貸ニーズの少なさをカバーできます。

・建築費用や修繕費用を安く抑えられる

 前述のように、建築費用や修繕費用は戸数に応じて高くなるもの。戸数の少ない物件ほどコストが抑えられます。

 賃貸経営は地域の特性に見合った設計、デザインとすることが大切です。首都圏など賃貸ニーズの高いエリアでは狭小アパートが経営的に有利となるケースが多いでしょう。部屋は狭くても収納は欲しい、インターネットや宅配ボックスなどの設備は充実している方が良い……といった現代の若者特有のニーズもあります。そうしたニーズを正しく捉え、健全なアパート経営を目指しましょう。

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最終更新日:2023.12.22

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