アパート経営のノウハウ

資産性からみたエリアの選び方

2023.08.24

 不動産投資家なら、資産価値ができるだけ長く維持される物件を購入したい、と望むものでしょう。賃貸物件の資産価値は収益性、すなわち家賃収入が経年によって、どのように変化するかによって決まります。高い収益性を得るために、重視する条件の一つにエリア選びがあります。今回は資産価値が下がりにくい、投資家にとって魅力的なエリアについて解説します。

単身者向けアパートは資産性で有利!

 賃貸不動産の資産性とは、その物件が耐用年数全期間にわたって、どれだけの収益をもたらしてくれるか、を意味します。収益が多いほど良好な物件と言えますが、投資額とのバランスも大事。人気のエリアで空室率が低く、毎月の家賃収入が多かったとしても、最終的に取得額を上回ることができなければ投資する意味がありません。

 賃貸物件の家賃は物件の経年によって少しずつ減少していくのが一般的ですが、立地などの条件や建物の構造によって変化の傾向は異なります。2020年に三井住友トラスト基礎研究所が発表したレポート「アパート・マンションの物件属性が賃料単価に与える影響の違い」によると、賃貸アパートと賃貸マンションで築15年程度までは賃貸アパートの方が賃料の下落程度が小さく、築25年以降は逆に賃貸マンションの方が小さくなる……という結果が出ました。

 また用途については、単身者向けの「コンパクトタイプ」で賃料下落が小さく、さらに立地については「駅から近い(駅歩7分未満)」物件が有利であることも確認されました。最終的な下落率(築35年以上)ではアパートもマンションもほぼ同じ水準の賃料下落率となるものの、15年程度の比較的短期間における投資では「駅から近い、コンパクトタイプのアパート」が最も有利ということができそうです。

参考:やっぱり需要は23区。注目エリア、中野区でコンパクトに暮らす

参考:三井住友トラスト基礎研究所「アパート・マンションの物件属性が賃料単価に与える影響の違い」
https://www.smtri.jp/report_column/report/2020_09_15_4902.html

資産性の高いエリアとは?

 それではエリアについてはどうでしょうか? 以下のような立地条件にある物件ほど資産性が高く、賃貸物件に適していると考えられます。

■首都圏など大都市圏にある物件

 この10年、日本全体の人口が少しずつ減少しているのはご存知のとおりですが、人口増減は地域によってかなり差があります。首都圏(東京都・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県)でも2021年に初めて前年比減少となりましたが、それでもまだまだ他県からの流入が多く、首都圏は賃貸物件のニーズが非常に高いエリアです。特に東京都は飛び抜けており、世帯数は現在も急増中。単独向け世帯が増えています。首都圏エリアは地価が高いために、他エリアと比べて賃貸物件を選ぶ人が多いのも特徴です。

 上記の東京を含む、大阪、名古屋の三大都市圏は日本全国人口の半数以上が暮らすエリアであり、賃貸需要の高いエリアです。人気がある分だけ地価が高く、物件の取得価格は高くなりがちですが、地価上昇率も高いので将来のキャピタルゲイン(売却益)にも期待できます。

■地方主要都市にある物件

 地方圏全体では人口の流出が激しい地域が少なくありませんが、札幌、仙台、広島、福岡の主要四市は例外です。主要四市平均地価は、10年連続で上昇。特に福岡市は人口増加数、増加率が政令市の中でも飛び抜けて多くなっています。2015年から始まった「天神ビッグバン(※)」などの影響もあり、若者の割合が多いことでも注目されています。
※天神地区で特例的にビルの高さや容積率などの規制を緩和するプロジェクト。約5年間で既に35棟ものビルが建て替えられた。

 福岡市以外でも、東北地方で唯一、高い水準で地価上昇を続けている宮城県仙台市などは近年特に人気の高まっているエリアです。

参考:公示地価上昇エリアの「福岡」「仙台」に注目

■駅近の物件

 上記でも説明したように、駅から近いことは賃貸物件の条件として有利です。特に、通勤・通学に便利な急行停車駅の近く、2路線、3路線を利用できるといった立地条件は賃貸ニーズの高いエリアと言えるでしょう。一般的に駅の近くはスーパーやコンビニなどの商業施設も充実しており、利便性の高さも魅力となります。

 やや古いデータですが、2018年に国土交通省が三大都市圏を対象に実施した調査では、駅からの距離が1.5km未満のエリアで地価が上昇し、駅に近づくほどその傾向が強まっていること。さらに年々、駅近エリアと駅から遠いエリアの地価上昇率の差が広がっていることが明らかにされました。都市部ほど公共交通機関の利便性を重視する人が多いと言えます。

■大規模商業施設や大企業、学校関連施設が近くにある

 大規模商業施設の建設予定がある、あるいは再開発が進められているエリアも不動産投資では狙い目。将来的に地価が上昇する可能性があるためです。また数千人規模の社員がいる会社や大学などがある地域は、単身者向け賃貸物件のニーズが特に高いエリア。アパート経営に適していると言えるでしょう。

参考:2023年、東急電鉄と相模鉄道による「相鉄・東急直通線」開業による不動産投資の可能性を考える

将来の資産性を予測する視点も大切

 賃貸経営において、最大のリスクは空室です。上記で紹介したような賃貸ニーズの高いエリアなら、不動産投資で成功する確率が自ずと高まるのは間違いありません。ただ、一方で人気のエリアは地価が高く、物件の取得価格が高くなりがちなのも事実。また競合物件が多いために家賃競争も熾烈です。高い収益性を確保するためには立地だけでなく、間取りや設備など建物もニーズに見合った内容とするべきでしょう。

 また現在の賃貸ニーズばかりでなく、将来的な需要の変化を予測することも大切です。そのためには毎年3月に国土交通省から発表される公示地価などのチェックは欠かせません。コロナ禍では全国的な地価がマイナス成長となるエリアが多い中で、都心の高級住宅地や東京を取り囲む郊外エリア、別荘のニーズが高いエリアで地価が上昇する、というユニークな現象も見られました。不動産投資で成功するためには、常に最新の情報を仕入れる姿勢が大切です。

 長年にわたってアパート経営をバックアップしてきたシノケンは、各地の不動産会社と連携して良質な物件情報をいち早く入手。大都市圏、駅近といった資産性の高いエリアにある好条件の土地を、収益物件用地としてお客様に紹介してきました。また建物についてもターゲットを学生や独身の会社員に絞り、ターゲットに合わせたデザインや設備を充実させています。初心者の方でも安心してアパート経営に挑戦できる土壌が整っています。

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最終更新日:2023.08.24

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