アパート経営のノウハウ

賃貸需要が高まる夏シーズン、入居者獲得の秘訣と魅力的な物件づくり

2023.05.19

 賃貸経営の繁忙期もひと段落してくる、この時期。アパート経営のオーナーとしてはひと休みしたい時期ですが、これから夏に向けて準備しておきたいことがあります。アパートの魅力をアップし、確実な収益を確保するためにオーナーがすべきこととは何でしょうか? 夏前に準備しておくべきこと、人気の設備などを紹介します。

入居者へのアフターフォローをするなら今

 賃貸不動産オーナーなら、賃貸需要に繁忙期と閑散期があることはよくご存知でしょう。賃貸需要が高まるのは、言うまでもなく春です。下のグラフは総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告(https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/youyaku/index.html)」によると、市区町村をまたいで移動した人の数を月別に示したもの。3月は前月のおよそ3倍近くにまで急激に移動者数が増え、4月もそれに次いで多いことが分かります。

 

 5-6月は繁忙期の反動で賃貸需要が急減し、7月にやや回復。8月以降は比較的フラットな推移をたどりながら少しずつ下降し、翌3-4月の繁忙期を迎えることも見て取れます。かつては「3-4月が賃貸需要の繁忙期、8月は閑散期」と不動産業界における常識として語られてきましたが、最近では真夏の落ち込みが少なくなり、初夏に二度目の山場がある……という傾向になりつつあるようです。

 年度が2019年・2020年度なので新型コロナウイルス感染拡大による影響があることには注意すべきですが、おおまかな傾向は他の年でも変わりません。

 このような季節要因を理解した上で、この時期、オーナーが取るべき対策とは何でしょうか? 賃貸需要が落ち着いてくる今だからこそ、やっておきたいことがあります。

 そのひとつは、入居者たちへのフォローです。賃貸経営では、空室をいかにして少なくするかが経営健全化の鍵。賃貸需要が落ち込む時期に退室されてしまうと、募集してもなかなか埋まりません。既存入居者にできるだけ長く入居し続けてもらうことが大切です。

 管理会社とともに入居者へのヒアリングを実施し、要望を把握することに努めましょう。不満点や入居者間でのトラブルがないかも確認します。特に3-4月に新しく入居してきた人たちに対しては、最初のフォローが肝心です。トラブルなどへの対策を講じるなら早い方が吉です。共用部分の清掃を徹底するなど、印象を良くする施策も有効でしょう。

新規入居を促す施策を

 現時点でもし空室があるなら、7月までに空室対策を打っておかなければなりません。7月は前述のとおり再び賃貸需要が持ち直す時期ですが、3-4月のような高需要が見込めるわけではないため、入居検討者を確実に射止める施策が必要です。場合によっては初期費用を緩和するなど、期間限定の特典を用意するのも一案。敷金礼金を割引する、入居から一定期間の家賃を無料にするフリーレントを採用する、といった方法が考えられます。

 家賃そのものを減額すると継続的に収入が減ってしまいますが、初期費用を割引するだけなら損失は比較的少なくて済みます。少なくとも空室のままになっているよりは良いでしょう。

 また7月の賃貸需要が上がる時期に向け、どのような施策を打つべきか、じっくり戦略を練るにも5-6月は好機。この時期に不動産会社や管理会社との関係性を深め、最新の情報を仕入れておくことも大切です。

人気の設備導入で物件の魅力をアップ

 次に、アパートの魅力をアップするための方法を考えます。ある程度、築年数の経ったアパートなら、空室のリフォームを検討するのも良いでしょう。早い時期から施工会社との打ち合わせを始めれば、7月に間に合うようリフォームすることが可能だからです。リフォームは空室対策として有効な対処方法であるだけでなく、家賃の引き上げ=収益性アップにもつながる“投資のひとつ”と言えます。

 また最近は間取りや築年数といった空間そのものの魅力に加え、設備が賃貸物件の評価により大きく影響するようになってきました。求められる設備は、単身者向けの物件とファミリー向けの物件で異なります。単身者向け物件で近年、人気の設備は「インターネット無料」、「エントランスのオートロック」、「高速インターネット」の3つ。全国賃貸住宅新聞のリサーチによると、これらが「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」ランキング2022年のトップ3です。インターネット関連の設備がふたつもランクインしているところは、現代の時勢を反映したものと言えるでしょう。

 いずれも新規導入するには費用がかかりますが、他の設備に比べれば比較的少ない予算で、かつ短い工期で実施できるのが特色。アパートの魅力アップにつながる設備増強だけに、一時的に出費がかさんだとしても損ではありません。

 いっぽう、ファミリー向け物件では人気設備のランキングに「(お風呂の)追い焚き機能」などが入ってきます。また、単身向け・ファミリー向け物件ともに「この設備が無ければ入居者が決まらないランキング」における不動の1位は「室内洗濯機置き場」です。こうした水周りを含めた大規模な工事が必要な設備については、どうしても予算が高くなり、工期も長くかかります。不動産会社、管理会社、施工会社等と打ち合わせた上で、導入することで本当に採算が取れるのか、いつ実施すべきなのか、じっくり検討した方が良いでしょう。築年数が古い物件などの場合は、建物そのものの建て替えを検討した方が良いケースもあります。

 いずれにしても、アパートの魅力や足りないところをオーナー自身がしっかり把握した上で対策を講じることが賃貸経営においては最も大切です。

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最終更新日:2023.05.19

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