
節税のコツ! アパート経営・不動産投資で節約できる税金対策と効果的な経費管理
アパート経営では上手に制度を活用することで、節税の対策になることをご存知の方も多いでしょう。実際にアパートなど実物不動産投資は、大きな節税につながります。そこには、上手く節税するためのポイントがあります。この記事では実物不動産投資による節税効果と、上手な節税方法について解説します。
アパート経営・不動産投資はそもそも税金対策になる
賃貸不動産経営は長く安定的な収入が期待できる不動産投資ですが、節税を考える上でも非常に効果的です。アパートを個人事業主として経営する場合、所得税や個人事業税、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税などが発生しますが、株式などの金融投資や、新規事業の展開を考えるより明らかに得なことが多くあります。
また、最終的に贈与したり他者に相続するときも、財産を現金や金融資産、あるいは個人用住居の形で継承するよりメリットがあります。それは、以下のような特長があるからです。
■固定資産税、都市計画税で住宅用地の特別控除が受けられる
固定資産税や都市計画税(原則的に市街化区域にのみ適用)は、所有している土地と建物に対してかかる税金です。課税額のベースとなるのは、土地と建物の評価額。土地は一般的に地価公示価格の70%を目安に評価され、建物は請負工事金額の50〜60%(経年によって減額)が目安となります。
固定資産税、都市計画税には「住宅用地の特例」という制度があり、アパートもその対象となります。その軽減率はとても大きく、一戸あたり200㎡以下の土地に対して固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1。一般的なアパートなら、土地のほとんどに特例が適用されると考えて良いでしょう。
また建物についても、2024年3月31日までに新築された建物なら、建物の固定資産税額が3年間にわたって2分の1になる「新築住宅の減額制度」が適用されることもあります(ただし一戸あたりの床面積が40㎡以上280㎡以下の場合のみ)。いずれにしても所有している土地を更地のままにしておく、あるいは店舗やオフィスビルを建てるよりも、ずっと少ない税額で済みます。
■他の所得と損益通算して所得税額を減らせる
賃貸不動産経営で生じた赤字は、給与所得など他の所得と通算することができます。他の収入が多い場合には有効な税金対策となります。
不動産経営が赤字となっていることが条件ですが、減価償却の仕組みを上手く使えば実際には黒字でも、税務上の収支を赤字として申告することが可能。その方法は下記で詳しく解説します。
■相続税を節税できる
相続税は所有者が亡くなったとき、所有していた資産を遺族などに引き継ぐときに発生する税金です。この場合も現金として相続するより、また個人用住居として相続するよりも、アパートの方が一般的に税額は少なくて済みます。
相続税における土地、建物の価値は固定資産税と同じように評価額がベースとなるため、実際にアパートを取得した金額よりも低く見積もられます。
また、アパートは個人用住居と違い、入居者が複数いるために自由なタイミングで売却できないことから、「借家権割合」という軽減措置も適用されます。これは相続税の評価額を通常よりも低く見積もる制度で、自家として所有する建物の30%にまで軽減されます。
このようにアパートは相続時の評価額に対する軽減措置が多く、相続税対策には非常に有利と言えます。
アパート経営・不動産投資における上手な節税方法とは?
税金対策として有利な実物不動産経営ですが、いくつかのポイントを押さえることでさらに節税が見込めます。以下に主要なポイントを挙げてみましょう。
■減価償却を上手く活用する
減価償却とは、資産を年毎に分割して経費計上することです。アパートを購入するのに投じた資金全額を単年度の経費として計上することはできません。そのため法定耐用年数で分割しながら経費計上していきます。実際に支払うローンの返済額とは違い、あくまで帳簿上の経費であることがポイントです。
しかし、アパート購入資金に自己資金を投じている場合、またはローンの返済期間を法定耐用年数よりも長くし、月々の返済額を少なくしている場合には、「実際には黒字でも、減価償却費を差し引いた会計では赤字」といったことが起こりえます。
この仕組みを上手く使えば、キャッシュフローを黒字に保ちながら、所得税額や個人事業税など収益に応じて発生する税額を抑えることができます。また赤字分の金額を損益通算すれば、その他の収入分の税額を減らせます。減価償却の方法には主に「定額法」と「定率法」があり、前者は毎年一定の額を、後者は初期ほど多くの金額を計上し、徐々に減らしていく方法です。
投資期間(賃貸不動産経営期間)全体の中でどの時期にキャッシュフローが増えそうかを予め予想し、納める税額を少なくできる方法を選ぶと良いでしょう。
■その他経費を上手く活用する
アパート経営においては、様々な経費が発生します。否応なく発生するものもありますが、修繕費、設備の入れ替えといった経費はある程度、タイミングをコントロールすることができます。収益の多いタイミングを見計らって修繕費等を計上することで、所得税額や個人事業税など収益に応じて発生する税額を抑えることが可能です。
修繕の設備の入れ替えは単なる支出ではなく、賃貸物件としての魅力を増し、後の収益性を上げる効果があるので、積極的に活用しましょう。
ただし、修繕の内容によっては経費に認められず、資本的支出であるとして減価償却しなければならない場合(費用が20万円以上である場合や、増築、外壁のグレードアップなど価値向上が認められる場合など)があるので注意しましょう。
■青色申告にする
一年の収支を税務署に報告する確定申告の申告方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告にすると様々な特別控除を受けることができ、税制上とても有利です。
青色申告の特別控除額は帳簿の方式や提出書類によって異なり、最大の控除を受けるには賃貸経営が「事業的規模(10室以上であることが原則)」であると認められなければなりません。また事前の申請が必要であること、帳簿を借方と貸方に分けて記載する「複式簿記」を採用することなど、様々な条件があります。しかし、それらの手間を差し引いても青色申告する価値は十分にあります。
また、配偶者や親族への給与を全額、必要経費にできる(事業規模や仕事内容に見合っていることが条件)のも青色申告するメリットのひとつ。ぜひ活用しましょう。
■小規模企業共済制度を活用する
小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や個人事業主などのための退職金積み立て制度です。毎月の掛金を全額所得控除することが可能。アパート経営においても、小規模企業共済を利用することができるため、所得税や個人事業税の圧縮につながります。共済金は退職時や廃業時に受け取ることができるため、無駄にはなりません。
アパート経営・不動産投資で賢く節税して収益を最大化する
上記のような仕組みを上手く活用することで、アパート経営は大きな節税効果が得られます。ただし、節税ばかりに気を取られて肝心の収益が悪化してしまっては、元も子もありません。収支のバランス、経年による変動をシミュレートしながら賢く節税することが大切です。