
NISAで投資できるREIT
気軽でお得な投資手段としてすっかり定着したNISA(ニーサ)。政府の「貯蓄から投資へ」という金融政策を後押しする制度として2014年に発足しました。現行のNISA制度は2023年末で新規口座開設が終了し、2024年からは新たなNISA制度が始まります。この記事ではNISA制度について振り返りながら、2024年からの変更点をチェック、不動産投資信託であるREIT(リート)との相性についても考えてみます。
NISA制度の概要と変更点
NISAは「少額投資非課税制度」とも呼ばれ、専用口座内で投資した商品に対する利益分の税金を非課税にしてくれる制度です。通常の投資では利益に対して約20%の税金がかかるところ、税率0%になる……ということで大いに注目されました。
NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、それぞれ年間に投資できる金額や保有期間、投資可能商品等が設定されています。現行制度の概要は以下のとおりです。

出典:金融庁 「NISAとは?」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
上記の現行NISA制度で新規口座を作れるのは2023年内までとなっています。2024年以降については令和5年度税制改正の大綱等において新制度に移行することが示され、制度の拡充、恒久化の方針が示されました。2024年以降の新NISAにおける概要が以下となります。

出典:金融庁 「NISAとは?」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
現行NISA制度では年間非課税枠(年間投資枠)が「一般NISA」の場合で120万円、「つみたてNISA」で40万円となっていますが、新NISAでは「成長投資枠」で240万円まで、「つみたて投資枠」で120万円までに引き上げられます。保有期間にも制限がなくなり、無期限に。
さらに現行制度では「一般NISA」と「つみたてNISA」を併用できず、どちらかを選択する方式となっていましたが、新制度では「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用が可能になります。つまり、併用すれば最大で360万円までNISA口座内で投資できるということになります。
そのかわり、保有できる金額に1800万円まで、という上限が新たに設けられますが、一般的に考えれば十分に余裕のある上限額と言えるでしょう。抜本的な制度の拡充と言え、NISAを利用する人がさらに増えることが期待されています。
NISAのメリット・デメリット
NISAのメリットは何と言っても、年間非課税枠、非課税保有期間内であれば投資商品の価値が増えても課税されない、ということでしょう。仮にIPO(新規公開株)などで投資額が倍増し、120万円の元手(現行制度の場合)が数百万円になったとしても非課税です。
その一方でデメリットもあります。証券の価値が下がって元本割れしてしまった場合、通常の投資では他の投資と損益通算することができますが、NISA口座と他の口座では損益通算することはできません。そのため、複数の口座に分けて投資を行っている人の場合には、納める税額がかえって増えてしまう可能性もあります。また、損失を繰越控除するのもNGです。
ちなみに、2022年までは投資6年目で非課税期間の期限を迎えたとき、投資商品が値下がりしてしまった場合は翌年のNISA口座にそのまま移管させて価値が上がるのを待つ、ロールオーバーという手法が使えましたが、現行NISAと新NISAの口座間でロールオーバーさせることはできません。現在のNISA口座内で保有している金額は非課税期間が終わるまでの運用となります。
このように、NISAにはメリットもあればデメリットもあります。新制度に移行したとしても、その主な特徴は変わりません。そのため、NISAの特性を活かした投資方針を考える必要があります。投資に対する考え方や資産状況等によって投資方針は様々ですが、代表的なものとしては中長期的な視点で確実に資産を増やす「安定性重視型」と、一攫千金を狙う「ハイリスク・ハイリターン型」の2タイプが考えられるでしょう。
新NISA制度では保有期間が無期限化されるため、「安定性重視型」のメリットはさらに大きくなりそうです。
NISAとREITの相性はどう?
「一般NISA」で投資できる商品の中には、個別株式や一般的な投資信託の他に、不動産投資信託であるREITも含まれています(※)。REITは投資家から集めた資金を元手にプロが不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を投資者に配当する投信信託商品のことです。投資対象が不動産であることから、比較的安定した配当が期待できる、不動産投資のプロによって運用されるため確度が高い、他の証券などと同様に流動性が高い(換金しやすい)などの特長があります。
※「つみたてNISA」ではREIT100%の信託商品に投資することはできませんが、バランスファンドの一部としてREITが含まれている商品には投資することができます。
REITについて詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
NISAの特徴を踏まえた上で、REITとの相性を考えてみましょう。これまで紹介してきたNISAの特徴から分かる通り、NISAは短期的、頻繁に証券を売買するスタイルの投資よりも、中長期的に証券を保有することで着実に資産を増やすスタイルの投資にこそ適しています。もともとがプロの投資家を優遇するための制度ではなく、一般の人が貯蓄しているお金を投資へと誘導し、「家計の安定的な資産形成の支援」と企業への「成長資金の供給」を目的とした仕組みだからです。
その点を踏まえると、NISAと中長期的に安定した収益を得やすいREITとの相性は極めて良い、と考えて良いでしょう。元本割れするリスクが少なく、長く保有することで利益が大きくなりやすいREITなら、NISA制度の利点を活かせます。新たにREIT投資を始めようと思っている人は、NISA制度で運用するのが賢い方法でしょう。
ただし、REITも投資商品のひとつなので、変動リスクはあります。基本的には緩やかな右肩上がりになることが多いREITですが、銘柄や景気の状況によっては価値が下がることも……。現行NISAでは保有期限があるため、運悪く価値が下がっているタイミングと売却しなければいけないタイミングが重なってしまうリスクがあΩりました。
しかし、2024年からの新NISAでは無期限化するため、そのリスクが消失します。一旦は価値が下がったとしても、保有し続けて再び価値が上昇するのを待てるようになるのです。つまりNISAとREITの相性はますます良くなるということ。不動産投資に挑戦したい! という方は、ひとまずリスクの少ないNISA制度でREITを体験し、知識と経験、資を増やした上でより本格的な不動産投資にステップアップするのも一案でしょう。<
シノケングループでは実物不動産の建築や経営サポートだけでなく、住宅特化型私募REIT商品も運用しています。REITなら個人では投資が難しいマンションなど大型不動産への投資も可能。高い入居率を誇り、安定したインカムゲインが期待できる賃貸住宅不動産への様々な投資機会をご提供しています。