アパート経営のノウハウ

不動産投資の閑散期・繁忙期

2023.01.12

 長期的に安定した収益を得られることが魅力のアパート・マンション経営。多くのビジネスに繁忙期と閑散期があるように、不動産経営にも時期による変動があります。不動産経営における繁忙期、閑散期とはいつなのでしょうか? 収益を最大化するためにオーナーがすべき、時期ごとの対策を考えてみます。

繁忙期と閑散期はいつ?

 小売業などでは来客数を増やし、売上を多く上げることが収益アップにつながりますが、不動産経営の場合はちょっと違います。不動産経営で最も大切なのは、空室をできるだけ少なくすること。繁忙期にしっかり入居を促しつつ、閑散期に空室化するのを防ぐ対策が必要です。

 不動産経営における繁忙期と閑散期がいつなのか、時期ごとの傾向を見ていきましょう。

【1〜3月】

 不動産経営における一番の繁忙期が1月~3月です。入学や就職、転勤といった移動を伴うライフイベントの変化にあわせて、転居の準備をする人が急激に増えるためです。引っ越し件数は3月と4月に集中。総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告(https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/youyaku/index.html)」によると、5月〜年をまたいで2月の移動者数(市区町村をまたいで移動する人の数)は比較的フラットなのに対して、3月は通常月のおよそ3倍近く、4月は2.5倍ほどに増加します。

 新生活スタート直前となる、この時期。賃貸物件を探す人が増えるのは当然と言えるでしょう。特に単身者、学生向けの賃貸物件で需要が増しますが、同時に退居する人もこの時期がピークとなります。つまり、入れ替わりが激しくなるということ。退居したタイミングからなるべく時間を空けずに次の入居者を決め、空室となる期間をできるだけ短くすることが理想です。

 これから新築物件を建てようとしている人、リフォームして新たな入居者を呼び込もうと予定している人は、需要の高まる1〜3月に向けて工期のスケジュールを組むと良いでしょう。1月までに工事を完了させておけば早くから入居者を募集することができ、入居希望者にベストなタイミングで内覧などを案内することができます。

【4〜6月】

 4月はまだ引っ越しシーズンですが、単身者向け物件を求める人の数は徐々に落ち着いてきます。ただし、6月のブライダルシーズンに向けてファミリー向け、カップル向け物件の需要は高まる可能性があります。長期に渡り住んでくれそうな人に狙いを定めた営業戦略が有効でしょう。

 3〜4月に引っ越してきた入居者へのアフターフォローも、忘れずに。

【7〜9 月】

 不動産経営において、7〜9月の夏場はいわゆる閑散期となります。賃貸需要の低い時期なので、この時期に退去者が出ないよう対策します。

 対策の具体的な内容は後述します。

【10〜12月】

 繁忙期に向けて、不動産仲介業者を訪れる人が少しずつ増え始める時期です。推薦やAO入試などで早めに受験が終わった学生には、この時期から賃貸物件探しを始める人もいます。

 1〜3月に更新時期を迎える入居者に対しては、更新する意思があるかどうかをこの時期に一度確認しておくと良いでしょう。もし、退居する予定があるなら、早い段階から入居者募集を開始できるためです。また、繁忙期に向けて物件の修繕や設備のメンテナンスを行うにもベストなシーズンです。


閑散期にすべきこと

 閑散期は退居率も減る時期ですが、もし退居が出てしまうと次の入居を決めるのが大変です。そのため、退居者が出ない工夫をする必要があります。前述したように賃貸需要は時期によって大きく変動するため避けられない退居もありますが、物件管理者の工夫によって防げる可能性もあります。

 まずは、現入居者の満足度を上げることから始めましょう。入居者に何か困っていることがないかリサーチします。たとえば、アパートなどで騒音トラブルがある場合には加害側と被害側、双方の話をヒアリングし、改善策を考えます。騒音問題は、賃貸物件利用者が不満を感じやすいトラブルの筆頭。入居者対応を管理会社に任せている場合にも、トラブルに対して丁寧に対応してもらうよう伝えます。

 入居者が設備に不満をもっている場合には、この時期に思い切って設備を充実させるのも一案です。ちなみに近年、人気のある設備は「インターネット無料」「オートロック」「宅配ボックス」などがあります。設備を充実させることは現入居者の不満を解消するだけでなく、物件を探している人へのアピールにもつながるでしょう。こうした「入居を保持するための対策」は「テナントリテンション」と呼ばれています。

 それでも退居物件が出てしまった場合には、できるだけ速やかに次の入居者を決めるための対策を打ちます。募集広告も賃貸ニーズの低い閑散期にはリーズナブルな料金で出稿できるかもしれません。

 家賃の見直しは手っ取り早い方法ですが、家賃を下げてしまうと収益率に大きく関わるため、最後の手段と考えましょう。まずは敷金・礼金を割引する、家具家電付き物件とするなど、一時的な損失で済む方法から検討します。

時期に合わせた対策が必要

 時期によって賃貸ニーズが変化し、繁忙期と閑散期があることは仕方のないことです。しかし、不動産経営は繁忙期だけ集中して取り組めば良い、というものではありません。閑散期にこそ物件の魅力を高める準備をしっかり行い、繁忙期に腰を落ち着けて対応できる体勢を作ることが最も大切です。

 退居、解約があっても繁忙期になれば入居希望者が増えるので大丈夫、と考えがちですが、入居者が入れ替わる際には不動産仲介会社に支払う費用やオーナー負担分の原状回復費用、空室期間となる家賃分の損失といったコストが発生します。安定収入を得るためには、同じ入居者にできるだけ長く住んでもらうことを心掛けましょう。

 アパート経営に精通するシノケンでは、こうした不動産経営の基礎知識が身につくセミナーを随時開催。不動産投資が初めて、という方でも安心してチャレンジいただける環境があります。

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最終更新日:2023.01.12

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