
賃貸業も? サブスクリプションモデル「儲けのカラクリ」
音楽配信サービスからPCなどのソフトウェア、飲食、自動車まで多用な業界に拡がったサブスクリプション(以下、サブスク)。定額料金を支払うことで、サービスやコンテンツ、モノを利用することができるビジネスモデルのことです。今、多くの事業者がサブスクを導入している理由は何でしょうか? 不動産賃貸業との共通点も探ってみます。
サブスクと定期購入の違いとは
サブスクを日本語に訳すと「定期購入」といった言葉になります。しかし、新聞や雑誌など昔からある定期購入と今流行のサブスクとは、意味合いが少し異なるようです。その違いは何でしょうか?
定期購入には利用者が一定期間、一定の料金を支払うことで単品売買よりも商品をリーズナブルに購入できる、という特徴があります。しかし、「どの新聞や雑誌を買うか?」を自由に選ぶことはできません。一方サブスクによる音楽配信サービスなどには、「一定期間、どの楽曲を何曲入手しても定額」という大きな特徴があります。仮に新聞や雑誌の場合でも、どの商品を何冊買っても定額であるなら、定期購入ではなくサブスクと呼ぶべきでしょう。
このように事業者と利用者が一定期間、定額の契約を結ぶという点ではどちらも同じですが、「定期購入」が料金の安さのみを利点としているのに対して、「サブスク」ではサービス利用回数や商品の選択肢が増えるといったプラスアルファの価値がもたらされています。
また、販売するモノについても違いがあります。定期購入において事業者が消費者に提供するのは商品そのものですが、サブスクで提供されるのはモノでなくサービス。たとえば音楽配信サービスでCDなどの商品が消費者の手元に渡ることはなく、「様々な音楽を聴ける」という体験が提供されています。自動車のサブスクなどでも同様で、車の所有権はあくまで事業者側にあり、消費者はサービスを利用しているに過ぎません。
つまり、サブスクは事業者の資産を活用したストックビジネスの一種であると言えます。モノや労働力を売買し、その対価として報酬を得るフロービジネスに対して、ストックビジネスは蓄積された資本を元手に継続的な収益を得るビジネスモデルのことです。音楽や映像配信サービスの場合はコンテンツの使用権、交通サブスクの場合は自動車や電動キックボードなどの所有権が資本です。ストックビジネスでは価値ある資本さえ獲得してしまえば、その都度、モノを製造したり、労働力を提供したりすることなく収益が得られます。
参考:副業ならストック性の高いビジネスである不動産投資が有利な理由
サブスクを提供する事業者側のメリットは?
現在、これほどまでにサブスクの人気が高まっているのは、利用者にとっても、事業者にとっても大きなメリットがあるからです。利用者側のメリットは上記のとおり、「多彩なサービスをリーズナブルな料金で利用できる」ことにありますが、事業者側のメリットは何でしょうか?
第一に、利用者と一定期間の契約を結べるため、収益を安定化させやすいことが挙げられます。一回ごとの売買だけで終わらせず、顧客化して継続的に取り引きできることは事業者にとって何物にも代え難いメリットです。管理顧客数から売上の予想を立てやすく、経営が安定化しやすくなります。また前述のとおりストックビジネスなので、資本さえあればフロービジネスより労力がかからない、というメリットもあります。たとえば音楽や映像系サブスクにおいてコンテンツを製作するのは第三者であり、事業者は“仕組み”を提供するのみです。消費者からの利用料は決まった時期、決まったタイミングで入ってくるため、サービスの効率化、自動化を進めることもできます。
ただ、事業者がこうしたメリットを享受するには、押さえておかならければならないポイントがあります。それは利用者が積極的に、継続的に利用したくなるようなサービスであること。利用者が“もっと使いたい、これほど頻繁に利用するのなら定額の方がリーズナブルだ”と感じるサービスでなければ、サブスクのビジネスモデルは成立しません。そのためには熱心な利用者=ファンを獲得する必要があります。顧客データなどから消費者動向を常に分析し、魅力的なサービスをラインナップし続ける努力が事業者には求められます。実はそうした顧客情報こそが、サブスクの真髄。提供するサービスの質だけでなく、顧客データの分析力がサブスク・ビジネスを展開する上での根幹となっています。
賃貸経営とサブスクの共通点
そうしたサブスク・ビジネスの経営と同じことが、不動産賃貸業にも言えそうです。 賃貸経営はアパートなどの不動産を元手として、家賃という定期収入を得る代表的なストックビジネス。オーナーは一定期間、“そこで暮らす権利”を入居者に提供することで収益を得ます。資本を得るには大きな初期投資が必要ですが、その分、リターンも多いのが長所。しかし、ただ建物を作り、待っているだけではなかなか部屋が埋まりません。
賃貸住宅に適した立地に、地域のニーズに適した建物、設備を作ることで初めて収益を得ることができます。たとえば、単身者ニーズの高い土地にファミリー向け物件を建てても高い収益性は望めないでしょう。あるいは賃貸物件が飽和している地域に、他と同じようなアパートを作るのも同様。入居者が選びたくなる間取りや設備を提供しなければなりません。
また契約更新を促すためには、修繕などの管理業務を怠らず、入居者が“ここで長く暮らしたい”と思える環境を作ることも大切です。いかにして熱烈なファンを獲得するかが収益性向上につながる……という意味で、サブスクと賃貸業はよく似ています。
長年にわたってアパート経営をサポートしてきたシノケンは、賃貸ニーズの高い土地選び、建物設計にも精通。管理業務についても安心して任せることができます。不動産オーナー様はもちろん、多くの入居者様にも好評をいただき、これまで多くのファンを獲得してきました。賃貸経営が初めての方も、ぜひ気軽にご相談ください。