
不動産投資の成功率、失敗しないために知っておくべきこと
上手に運用すれば、長期的に安定的なリターンが期待できる不動産投資。しかし投資である以上、リスクもつきものです。「不動産投資の成功率は10%」と言われることもありますが、果たしてそれは事実なのでしょうか? 今回は、不動産投資における成功と失敗について、さらに投資を成功に導くための方法について考えていきます。
不動産投資での成功と失敗とは?
まずは不動産投資における成功、失敗とは何を意味するのか? から考えていきましょう。不動産投資で得られる利益には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。「インカムゲイン」は家賃収入のことで、賃貸物件を運用することによって継続的に得られる利益を指します。不動産を保有した期間全体で見て、初期投資額+維持管理・税金等の諸経費よりもトータルのインカムゲインが多ければ、その投資は成功と言って良いでしょう。不動産投資における「インカムゲイン」の大小は利回りによりますが、長期的に安定した収入が得られることも少なくありません。正確な数字は出ていませんが、その考え方なら成功率はかなり高そうです。
参考:不労所得を得るために。知っておきたい「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の違いとは?
一方で「キャピタルゲイン」は、いわゆる売却益のことで不動産を取得した金額と売却した金額の差益です。短期間で大きなリターンを狙うなら有効な投資方法ですが、その分だけリスクも高くなります。一般的に不動産の価値は経年とともに下がるからです。地価が急激に上昇しているエリアの物件を狙えば成功の可能性は十分にありますが、成功率はあまり高くありません。一般的に「不動産投資の成功率は10%」とよく言われるのは、「キャピタルゲイン」に注目した場合のことと思われます。
不動産投資で失敗に陥りやすいパターン
アパート、マンションなどへの実物不動産投資は、株式などの金融投資などに比べてローリスクと言われていますが、投資である以上、成功することもあれば失敗することもあり得ます。失敗してしまう場合の理由は何でしょうか? 主に以下のようなパターンが考えられます。
①不動産経営の知識、情報収集不足
②無計画、計算が甘い、短期的な視点
③リスク管理不足
①は不動産会社の営業マンに言われるがまま、賃貸物件を購入した人、親などから不動産を相続した人に多いパターンです。必ずしも専門家並みの知識が求められるわけではありませんが、不動産経営する以上、利回りとは何か、物件の維持管理にはどの程度の費用がかかるのか、所有者と入居者の契約はどのように行うべきなのか、といった基礎的な知識は必要です。また、公示価格から地価上昇が期待できるエリアを選んだり、株価など他の情報源から景気変動を予想したり……といった日々の情報収集も、不動産経営においては欠かせません。
②については、「適当にやっていても儲かるだろう」という楽観的な人、「細かなお金の計算は苦手」という横着な人が陥りやすいパターンです。金融機関から融資を受けた際の金利とインカムゲインによる利回りの差額が投資額全体を上回るよう緻密に計算するのは、経験を積んだ投資家であってもなかなか難しいもの。また前述のように不動産は、経年や景気変動によって価値が変化するものであり、維持管理費も新築当初と築年数が経ってからで変わってきます。その見極めが肝心であり、長期的な視点から収支を分析することが大切です。
ところで、不動産経営に不測の事態はつきものです。空室や家賃滞納、設備の故障、火災や水害といった自然災害は、いつ起こるか、どのような規模で起こるか正確に予測することはできません。③はそうしたリスクに備えていなかったがゆえ、失敗してしまうケースです。トラブルの規模によっては、大損につながってしまうケースも。「トラブルは起こり得るもの」との認識に立ち、リスクに備えること、トラブルに素早く対処する姿勢が大切です。
不動産投資を成功に導くための方法
さて、それでは不動産投資を成功に導くためには、どうすべきなのでしょう? 前述の失敗に陥りやすいパターンと真逆の行動を心掛ければ良さそうです。
①については、書籍やインターネットなどで不動産投資関連の知識、情報を得ることによって解決できます。不動産会社などが開催している不動産投資セミナーに参加するのも一案でしょう。不動産経営においては、登記などの複雑な法的手続きも発生します。所有者自身で行う必要はありませんが、基本的な知識を身に付けておけば専門家に依頼する際にも内容や金額が妥当かを判断する材料になります。不動産投資家として主体的に、積極的に知識や情報を身に付ける姿勢が大切です。
②への対策は、不動産を購入する前にシミュレーションしてみる方法が有効。融資の返済額、水道代等の光熱費、管理会社に支払う費用が毎月いくらで、固定資産税等の税金はどれくらいか。その場合、家賃がいくらで空室率が何%なら採算が合うのか、何年で初期投資費用を回収できるのか、といったことを綿密にシミュレートしてみます。前述のように家賃や維持管理費、税金は経年によって変化するため、5年先、10年先、20年先の収支がどうなるかも必ず計算しましょう。シミュレーションした結果、収益が出せる物件と判断できれば、実際に投資します。必ずしも大きな収益を手に入れる必要はありません。投資期間全体を通してプラスであれば、その投資は成功と言えるのです。不動産投資が順調にいった場合、さらなる融資を受け、レバレッジ効果を狙って投資先を増やすことも可能です。
③は事故や災害に備えた損害保険に加入する等の方法でリスクを回避できます。日常的に発生し得るリスクとして、最も懸念されるのは空室リスクでしょう。空室リスクを回避するには、物件選びの段階で「賃貸ニーズの高いエリアにある物件を選ぶ」「家賃設定が適当か、間取りや設備がニーズに見合っているか」を判断することが大切。
ちなみに所有物件全体を第三者に一括で貸し出し、空室の有無に関わらず一定の家賃収入が得られる「サブリース」という契約方法もあります。ただし、保証される家賃の金額や契約内容、第三者の信用度は慎重に吟味しましょう。安定した収入は入ってきても、投資額に見合わなければ元も子もありません。かつてはサブリースを巡るトラブルも少なくありませんでしたが、2020年にサブリース新法が施行されたことで最近は環境が整ってきました。
参考:一括借り上げに新たなルールを定めた「サブリース新法」とは?
投資先の価値をオーナーが高められる
アパート・マンション経営などの不動産投資が株式やFXなど他の投資と大きく異なるのは、所有者自身で投資先を自由にコントロールでき、価値を高めることができる点です。「賃貸ニーズに合わせて家賃設定を見直す、ニーズの高い設備や新たに導入する」「リフォームして物件の訴求力をアップする」「管理会社を変えて維持管理費用を抑え、実質利回りの向上を図る」といったこともオーナーなら自在にできます。インカムゲインがあるだけでなく、実物の資産が手元にある安心感も、不動産投資ならではの魅力と言えるでしょう。
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