
マンションを贈与されたら? 贈与税の解説
もしも、親族からアパートやマンションなどの賃貸物件を譲り受けたら? 幸運には違いありませんが、喜んでばかりもいられません。なぜなら、財産を譲り受けると贈与税が課せられるからです。贈与税とは、そもそもどのような税金なのでしょうか? 相続税との違い、贈与するのに最適なタイミングは? 不動産資産の贈与税について解説します。
贈与税の基礎知識
贈与税は、存命している誰かから財産、資産を譲り受けたときに発生する税金です。対象は肉親または祖父母から子、孫の場合だけに限りません。また、資産の内容は預金などの金融資産はもちろん、不動産資産なども課税対象となります。個人からの贈与のみが対象であり、法人からの贈与では代わりに所得税となります。それに対して、相続税は亡くなった人から何らかの資産を相続した場合に課せられる税金のことです。両者は税率や控除の金額などが異なります。
贈与税の税率や控除額は、誰から誰へと贈与されたかによって、一般税率と特例税率に別れます。特例税率が適用されるのは、直系尊属(祖父母や父母など)から20歳以上の人(子や孫など)に贈与された場合、一般税率が適用されるのは、それ以外の場合です。それぞれの税率、控除額は下記のとおりです。

贈与は金銭よりも不動産がリーズナブル
基礎控除額は、一年間につき110万円と定められています。金銭の場合は、譲り受けた金額から110万円を引いた額に上記の控除、税額がそのまま適用されますが、アパートやマンションなど不動産の場合はどうでしょうか?
土地と建物については、それぞれ評価の仕方が異なります。土地については、国税庁が地域ごとに定めた路線価(https://www.rosenka.nta.go.jp/)に面積(㎡)を掛けることで求められます。建物については、固定資産税の計算にも使われる固定資産評価が適用されます。評価額は建物の構造や管理状況等によって異なりますが、実際にその建物を売買した場合の金額よりも、かなり低く評価される場合がほとんど。さらに、賃貸アパートや賃貸マンションの場合には、適用される評価額が一律30%となる借家権も適用されます。結果、評価額が実勢価格の50%程度になることも珍しくありません。
そのため、資産を贈与するなら金融資産よりも不動産資産として譲った方が、節税効果は圧倒的に高いと言われています。
贈与でありながら税額が安くなるケースも
次に、資産を生前贈与する場合と、相続する場合で税額を比べてみたいと思います。仮に基礎控除後の課税価格5000万円の資産を贈与で譲り受けた場合、贈与税の特例税率は55%、控除額は640万円、税額は(5000万円―640万円)×0.55=2398万円ということになります。相続の場合、取得金額5000万円以下では税率20%、控除額は200万円なので、(5000万円—200万円)×0.2=960万円。さらに相続の場合には、「小規模宅地等の特例」(賃貸物件の場合、200㎡までの土地に対して50%)も適用されるので、さらに税額は低くなります。つまり、生前贈与として資産を譲り受けるよりも、相続する方が節税効果は高いと考えられます。
しかし、実はそうならないケースがあるのです。それは「相続時精算課税制度」を利用する場合。これは「60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対して、資産を贈与する場合」にのみ選択できる特例で、原則として2,500万円までは贈与税が発生しません。また2,500万円以上の資産に対しても、20%という比較的低めの税率で計算されます。贈与された分の資産は、相続時にまとめて課税されますが、既に支払った贈与税額は差し引きされます。この制度を分かりやすく説明するなら、「将来相続する予定の資産を先に譲り受けつつ、その資産に対する税金は相続時にまとめて支払う」ためのもの……と言うことができます。
最終的に納める税額は相続した場合と変わりませんが、「分割して支払える」「価値ある資産を事前に譲り受けられる」点に特長があります。土地建物の評価額が相続時点ではなく、贈与時点で計算されるのも特色。つまり、将来的に価値が上昇すると見込まれる賃貸物件なら、相続よりも「相続時精算課税制度」を利用して早い段階で譲り受けた方が税額は少なくて済みます。
ただし、注意点も。「相続時精算課税制度」を選択した場合、毎年110万円の基礎控除や、「小規模宅地等の特例」は適用されません。どちらが得かは、綿密にシミュレーションする必要があるでしょう。
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