
増える在留外国人、住まい探しの厳しい現状
戦後、日本の人口はずっと増え続けてきましたが、2008年の1億2808万人をピークとして、減少局面に転じました。少子高齢化は今後ますます加速し、経済にも不動産経営にも、大きな影響を及ぼすことは間違いありません。その一方で、在留外国人数は増え続けています。自身が管理、所有する賃貸不動産に、外国人が入居を希望してきたとき、どのように対応しますか? 今回は、在留外国人と賃貸経営について考えてみます。
日本にいる在留外国人は280万人以上
昨年10月に出入国在留管理庁(旧入国管理局)が発表した調査結果によると、昨年6月末時点における中長期在留者数は2,523,124人、特別永住者数(※)は300,441人でした。国籍で多いのは、中国(26.4%)、ベトナム(15.9%)、韓国(14.7%)。ここ2年ほどは、新型コロナウイルスの影響で在留外国人の数は若干減っていますが、2%程度の微減に留まっています。
※終戦以前から日本に居住して日本国民として暮らしていた外国人で、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を失った人およびその子孫
参考:出入国在留管理庁「令和3年6月末現在における在留外国人数について」
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00017.html
在留外国人の総人口に占める割合は戦後から昭和の時代、長らく横ばいのままでしたが、平成に入ってから急激に伸び始め、1997年から2007年の10年間でおよそ10倍に。その後も順調に増え続けてきました。しかしながら、彼らが生活する基盤となる住まい探しについては、かなり厳しい状況にあるようです。
やや古いデータですが、法務省が公益財団法人人権教育啓発推進センターに委託して行った2016年の調査では、日本で住む家を探した経験のある人のうち、「外国人であることを理由に入居を断られた」経験のある人は 39.3%いました。また、「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」経験のある者が 41.2%、「『外国人お断り』と書かれた物件を見たので、あきらめた」経験のある人が 26.8%いました。
外国人であること自体が入居拒否の理由に
在留資格、日本に住んでいる期間など条件の異なる外国人を対象とした調査ですが、全体のうち64.8%の人が当時の日本で働いており、日本語についても「日本人と同程度に会話できる」が29.1%、「仕事や学業に差し支えない程度に会話できる」が23.4%、「日常生活に困らない程度に会話できる」が29.7%となっており、家賃の支払い能力や語学力が理由ではなく、外国人であることそのものが理由で断られた、という人が多かったようです。また、これらの中には生まれてからずっと日本で暮らしてきた人も含まれています。体験談の中には「夫婦ともに永住ビザを持っているが、日本人の保証人がいないという理由で賃貸物件への入居を断られた」「マンションを一括払いで購入しようとし、価格交渉も終えた後になって家主から売却を拒否された」「日本で生まれ育ち、日本語しか分からないのにマンションへの入居を断られた」といったものがありました。
参考:平成 28 年度 法務省委託調査研究事業「外国人住民調査報告書- 訂正版 -」
https://www.moj.go.jp/content/001226182.pdf
外国人入居者もオーナーもしっかりサポート
日本の総人口における割合から見ても分かるとおり、日本で暮らす外国人は今や、日本の社会基盤を支える存在の一部となっています。また、日本人が少子高齢化し、生産年齢人口が減りつつある中で、貴重な労働資源の一部を担っている事実も見逃せません。考え方はそれぞれですが、日本人にも外国人にも平等に門戸を開き、住む場所を提供することは日本の社会、地域に貢献することにもなるでしょう。
賃貸物件の経営面を考えても、入居者に対する不当な制限をなくすことは入居率アップ、さらなる経営改善につながります。とはいえ、不動産を管理する立場としては、外国人入居者受け入れに対する不安もあって当然かもしれません。シノケンでは、「安定的な入居のための取り組み」のひとつとして、「外国人入居者向けサポート」、「多言語コールセンター導入」(グループ会社である株式会社シノケンファシリティーズで提供する10か国語対応のコールセンター等、グループの総合力を活用し、外国人の住まい探しもバッチリサポートする体制)を実現。オーナーの不安を解消し、外国人入居者受け入れを万全の体制でサポートいたします。