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脱炭素社会で注目集める木造建築

2022.02.24

 日本古来の建築方法である木造建築。耐久性、耐火性、防火性などに優れ、日本の風土によく合った建築方法ですが、実は今、脱炭素社会の実現に向けたソリューションのひとつとしても注目されています。

脱炭素化に貢献する木造建築

 木造建築は、柱や梁などの構造部材に木材を用いる建築方法です。日本に伝わる伝統的な工法であることから、「在来工法」とも呼ばれます。樹木が森で成長する過程で、温室効果ガスであるCO2を吸収し、貯蔵する働きがあることは、よく知られています。一旦、木の中に貯蔵されたCO2は、燃やさない限り再び大気中に出ることはありません。

 ただし、樹木は成長過程でCO2をよく吸収しますが、大きく成長すると吸収量が極端に減ります。そのため、CO2削減効果を上げるには、木を伐採して積極的に活用し、植林して再び育てる“森林サイクル”を循環させることが大切です。

 日本には、戦後の植林による人工林が豊富に存在し、木材として利用できる樹齢50年以上の樹木が大量にあります。しかし、木造建築の多くは、調達コストの安い輸入材に頼っているのが現状です。あまり、国産材が活用されておらず、森林サイクルが上手く機能していません。そのため、農林水産省の林野庁では、木材利用の促進についての施策が行われました。

高層ビルやマンションも木造化の動き

 ひとつが、2021年10月の「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」改正です。この法律は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(2010年制定)」という名前でしたが、対象を公共建築物から民間建築物に広げるとともに、名前も改められました。この改正法に基づいて、農林水産省に木材利用促進本部を設置、さらに建築事業者と林業・木材産業事業者の間に、国や地方公共団体が入って三者の協力関係を促す「建築物木材利用促進協定制度」も発足しました。

 また、国土交通省が住宅・建築物の木造化において業界をリードする事業を募集し、採択された事業に補助金を交付する「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」も始まりました。こうした流れを受けて、民間企業でも木材利用促進の動きが生まれています。地上11階建てを超える高層ビル、中低層マンションなどでも木造、あるいは木造と鉄骨造のハイブリッド構造を採用する建物が登場し始めました。

 これまで、ビルやマンションのような大規模な建築物は、ほとんどが鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造でした。なぜ、木造にすることが可能になったのでしょうか?それは、耐震性・強度を高めたCLTと呼ばれる特殊な集積材や、耐火性を高めるため内部に石膏部材を挟み込んだ柱など、木材製造技術の進化によるものです。

 木造が脱炭素化に貢献するのは、樹木の成長過程だけではありません。鉄骨造、鉄筋造などでは、製鉄など建築資材を作る過程でも、多くのCO2を排出します。木造ではこうした製造過程や、建築過程での、CO2排出量が少なくなります。日本が誇る木造建築技術は、脱炭素化を進める海外からも注目されており、今後、世界中の都市の景観を大きく変えるかもしれません。

地球環境に優しく、利便性の高い住まいを

 木材は、重量比強度が鉄やコンクリートなどの材料よりも高く、地震の揺れに対して強い優れた建築材料です。また、ある程度の暑さや太さがある木材は、燃えると表面に炭化層ができるため、それ以上は燃えにくい性質を持っています。万一、火事になったときも強度が低下しにくく、耐熱性が高いという特長があります。

 シノケンが建てるアパートは、地球環境に優しく、耐震性、耐熱性にも優れた木造在来工法で建てられています。さらに、すべての土地において厳密な地盤調査を行った上で、地盤の特性にあった適切な対策工事を実施。そのうえ強固な土地の底面全体に鉄筋コンクリートを打ち込む「ベタ基礎」構造を採用することで、より強固な耐震性を実現しました。また、壁の両面に石膏ボードを張り、壁内にグラスウールを内蔵することで防音性を高める工夫も。地球環境に優しい木造の美点を活かしながら、快適性にも優れた建物を実現しています。

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最終更新日:2022.02.24

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