制度・税制

知っておきたいZEHとは?

2022.01.27

 カーボンニュートラルの実現に向けて、社会全体が大きく動いている昨今。製造業、運輸業、建設業など様々な分野が脱炭素化に取り組んでいます。もちろん住宅も例外ではありません。住宅におけるカーボンニュートラルへの取り組みとして代表的なのが「ZEH」。この記事では「ZEH」とは何なのか、どんな補助金があるのかについて解説します。

ZEHはエネルギー収支がゼロ以下の家

 住宅、建築物を利用することによるCO2排出量は、全体の約3分の1を占めると言われています。家庭部門だけに絞っても、全体の14%超と決して少ない割合ではありません。家庭部門からのCO2排出量削減は、地球温暖化対策における大きな課題のひとつです。

 「ZEH」とは「Zero Energy House」の頭文字を取ったもの。エネルギー消費がゼロの住まい、ということになります。ただ、実際にエネルギーを全く使わないわけではありません。住まいがあり、そこに人が暮らす以上、冷暖房や給湯、換気などは必ず発生し、エネルギーを消費します。「ZEH」はエネルギーを消費する分だけ太陽光パネルなどCO2を出さない発電装置で自らエネルギーを作り、相殺されたエネルギー収支がゼロ以下になる家、という意味です。

 しかし、太陽光パネルによる発電能力には限りがあり、電力を大量に消費してしまうと、すべて賄うことができなくなってしまいます。そのためZEHでは、冷暖房効率を高めるために壁などの断熱性能を高め、さらに消費電力の少ない空調機器、高効率な給湯システムなどを導入して、エネルギー消費そのものも抑えます。なお、ここで対象となる消費エネルギーは、建築設備に含まれる「冷暖房」「給湯」「換気」「照明」に関するもののみで、一般的な家電は含まれません。

ZEHの種類と補助金

 ZEHが日本で注目されるきっかけとなったのは、2014年に閣議決定された「エネルギー基本計画」でした。「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指す」ことが決められたのです。さらに2020年、菅政権下では「グリーン成長戦略」を発表。ここでは「2030年までに新築の温暖化排出量で平均ゼロを目指すこと」が掲げられ、具体的な導入目標が定められました。

 ZEHには省エネ率などに応じて、いくつかの種類が設けられています。以下はその代表的な例です。

・ZEH(ゼッチ)

 創エネルギー(再生可能エネルギー発電による発電量)を含めた正味エネルギー消費量がゼロ以下、「断熱」「省エネ」によるエネルギー消費量が基準値からマイナス20%以下である住宅。

・Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ)

 創エネルギーを含めた正味エネルギー消費量が、基準値からマイナス75%以下、「断熱」「省エネ」によるエネルギー消費量が基準値のマイナス20%以下である住宅。
 寒冷地、低日射地域、多雪地域にある住宅のみ補助金対象となる。

・ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド)

 「断熱」「省エネ」によるエネルギー消費量が基準値のマイナス20%以下である住宅。再生可能エネルギー発電は導入の必要なし。
 都市部狭小地の二階建て以上の建物および多雪地域にある住宅のみ補助金対象となる。

 上記の3種類に加え、ZEH、Nearly ZEHにはさらに省エネレベルの高い「ZEH+」「Nearly ZEH+」という基準もあります。こちらは「断熱」「省エネ」によるエネルギー消費量が、基準値からマイナス25%以下であることが条件。各基準を満たした住宅は環境省、経産省の補助金を受けることができます。補助金の金額は概ね、それぞれの省エネ達成レベルに応じたものとなっています。ちなみに令和3年度における環境省の補助金では、ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedに対して60万円/戸、ZEH+、Nearly ZEH+に対して105万円/戸が交付されました。

集合住宅でも進むZEH化

 ZEH補助金制度は、戸建て住宅だけでなく集合住宅、賃貸住宅も対象になっています。集合住宅の場合は「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」と呼ばれ、令和3年度・「低中層ZEH−M」の例では1戸あたり50万円、上限3億円の補助金が交付されました。

 このように、住宅業では今急速に脱炭素化が進んでいます。シノケングループも様々なサステナビリティへの取り組みを通して、カーボンニュートラルを推進。そもそもシノケングループの主力商品である木造住宅は鉄骨造の約4倍に相当するCO2吸収・貯蔵効果があると言われており、木造アパートを普及すること自体が脱炭素化につながります。

 さらに 環境配慮型マンション(ZEH-M)の開発 にもチャレンジ。さらに昨年末には、シノケングループの全社用車144台から1年間に排出されるCO2を、Jクレジット制度(省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組による、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度)を通してオフセットし、実質ゼロ化することに成功しました。

参考記事:シノケン、サステナビリティ社会の実現へ 全社用車から排出されたCO2をオフセット(実質ゼロ化)

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最終更新日:2022.01.27

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