固定金利と変動金利、不動産投資で有利なのはどちら?

2022.01.20

 アパート経営などの不動産投資をする際、すべて自己資金のみ、銀行などからの融資を一切受けない、という方は稀でしょう。融資を受けるとき、とても重要なファクターになるのが金利。固定金利と変動金利、どちらを選ぶべきなのか? は永遠のテーマです。今回はこの悩ましい問題について、不動産投資ではどのように判断すべきかを改めて考えてみます。

金利タイプごとに一長一短ある

 融資を受ける際は、なるべく低い金利で、条件に合わせた返済期間を設定できることが望ましいといえます。また、不動産投資はいかに利回りを上げるかに加えて、支出となる金利分の支払いをどれだけ低く抑えるかが収益力向上の鍵を握ります。

 できるだけ条件の良い融資を引き出すのが理想的ですが、どんな金利タイプを選ぶかによって、最終的に支払う金利額は大きく変わります。金利タイプには主に、二種類あります。

・固定金利

 借入期間中に金利が変動せず、常に同じ利率となる固定金利。一定の期間だけ金利を固定する固定金利選択型と全期間固定型があります。

・変動金利

 適用される金利(適用金利)が変動する変動金利。。一般的に適用金利は、短期プライムレートに1%上乗せした金利を基準とし、個別に優遇したり、上乗せしたりして決まります。適用金利は半年に一度、見直しが行われるのが通例です。

参考記事:不動産投資用語「長期/短期プライムレート」とは?

 固定金利は返済額がずっと変わらないため、綿密なマネープランを立てられる、という大きな利点があります。安定的な収益を得るには、固定金利の方が有利に思えますが、必ずしもそうとは限りません。通常、固定金利は変動金利よりも高い金利が設定されています。一方で、融資審査については、固定金利よりも変動金利の方が厳しい傾向にあるなど、それぞれにメリット、デメリットがあり判断が難しいところです。

 金利が上昇する局面にあるときは固定金利が有利、金利が下降する局面にあるときは変動金利が有利であると言えます。しかし、近い将来における金利の変動は予想できるものの、返済を終える数十年先まで正確に予想することは困難です。それでは、どのように判断したら良いのでしょうか?

利率の低い変動金利にメリットを見出す人も

 現在、一般的な住宅ローンでは固定金利と変動金利の比率が均衡していますが、不動産投資向けの融資については変動金利を選ぶ人が多いようです。それには以下のような理由が考えられます。

・現在、十年以上にわたって低金利が続いている
・金利変動リスクの少ない現状では、利息を抑え、リターンを多く確保できる変動金利が有利と判断されている
・万一、金利が上昇したとしても5年ルール、1.25倍ルールがあるので適切に対処すれば破綻を回避できる

 変動金利には将来、金利が上昇するリスクがありますが、多くの場合、返済額が急激に増えるのを防ぐ複数の措置が取られています。ひとつは「5年ルール」。これは適用金利が変動したとしても、月々の返済額については5年間同額とするルールです。金利が上昇した場合には、5年間は返済額の内訳である元金と利息の割合を変更して調整されます。

 もうひとつ、「1.25倍ルール」も一般的です。こちらは仮に適用金利が大幅に上昇した場合でも、直前の返済額から最大1.25倍までしか増額しないというもの。つまり、金利政策の見直し等によって金利が大きく変動した時でも、月々の返済負担が急激に増えるケースはほとんどありません。

 各金融機関が適用する金利の基準となる「長・短期プライムレート(主要行)の推移(https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm/)」を見ても分かるとおり、現在は低金利が長く続いています。今後、金利が上昇する局面に移行したとしても、「5年ルール」や「1.25倍ルール」を活かして、速やかに「固定金利に切り替える」「融資先を変えて借り換える」「可能な限り、繰り上げ返済する」等の適切な判断をすれば、破綻のリスクを回避することは可能でしょう。

金利タイプに正解はなし、プロに相談を

 多くの不動産投資家が「投資である限り、ある程度のリスクは覚悟の上。少しでも多くリターンを確保したい」という理由で、利率の低い変動金利を選ぶのは納得できます。極端な話、金利が急上昇し、利回りが悪化した場合でも、最終的には現物不動産を売却すれば何とかなる、と判断している人もいることでしょう。変動金利を選ぶ上で大切なことは、金利上昇の兆候を見逃さず「金利が上昇したらどう対応するか」、借りる前に予め対策を練っておくことです。

 これらは、判断基準のひとつであって、固定金利or変動金利の問題に正解はありません。政策金利や景気の変動だけでなく、融資額や返済期間、自己資金比率といった個々の条件によっても判断は変わってきます。不動産投資の経験が浅い方は、専門家にアドバイスを求めるのが良いでしょう。アパート経営に精通するシノケンは、不動産投資のための土地選定や建築、登記などに関するノウハウはもちろん、投資用不動産ローン(アパート融資)についても豊富な知識をもっています。たとえ自己資金が少なくても、アパート経営を始められます。「新たに不動産投資を始めたい」という方は、ぜひ気軽にご相談ください。

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最終更新日:2022.01.20

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