
不動産投資用語「長期/短期プライムレート」とは?
「プライムレート」という言葉を聞いたことがあると思います。「プライムレート」は銀行が企業に対して融資する際に、最も信用度の高い優良企業に対して適用される最優遇貸出金利のことで、「短期プライムレート」と「長期プライムレート」があります。一部の優良企業に対する融資の話なので、一般人にはあまり関係ないのでは? と思われるかもしれませんが、不動産投資で受ける融資の金利とも大いに関連しています。この記事では「短期プライムレート」と「長期プライムレート」、それぞれの特徴と影響について解説します。
短期と長期、新旧の違いもあるプライムレート
プライムレートはそもそも、各銀行が個別に決めるものですが、その変動には日本銀行による政策金利が影響します。日本銀行は景気動向を見ながら政策金利を決め、その影響がプライムレートの変動に、そしてプライムレートが融資や住宅ローン等の金利に影響します。
まずは、短期プライムレートから見ていきましょう。短期プライムレートは、銀行が優良企業に対して1年未満の短期で融資する際に適用される金利のこと。もともと短期プライムレートは、各銀行が公定歩合(政策金利)をもとに決めていました。しかし金利自由化の流れから、1989年以降は公定歩合ではなく、市中金利や資金調達コストをベースにして各銀行が決める方式に移行。これにより「新短期プライムレート」と呼ばれるようになりました。
一方、長期プライムレートは、銀行が優良企業に対して1年以上の長期で融資する際に適用される金利のことです。こちらも金利自由化以前は5年物普通社債(企業が必要な資金を調達するために発行する債券)の発行利率に基づいて決定されていましたが、金利自由化の進展により、1989年以降は新短期プライムレートに一定利率を上乗せする「新長期プライムレート」へと移行しています。
ただし「新長期」になる以前の「(旧)長期プライムレート」も存続しており、日本銀行のホームページにも「みずほ銀行」が自主的に決定・公表した(旧)長期プライムレートを掲載。一般にはこちらが「長期プライムレート」として認知されています。このあたりは少々ややこしいところかもしれません。
「(旧)長期プライムレート」は債券市場の利率をベースにしているため、変動しやすい傾向があります。また、債券市場への反応が敏感で、短期プライムレートに先行して動く、という特徴もあります。つまり、(旧)長期プライムレートは短期プライムレートの変動を予測する指標のひとつになるのです。
短期プライムレートは10年以上変動なし
それではプライムレートの変動は実際、どのようになっているのでしょうか? 短期プライムレートと長期プライムレートの推移は、日本銀行のホームページで確認できます。
・日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」
https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm/
短期プライムレートについては2009年1月13日以降、最頻値と最低値が1.475%、最高値が1.725%のままで全く変動がありません。主要銀行の変動金利も短期プライムレートに連動しているので、10年以上にわたって実質的に固定化されています。なお、銀行の変動金利は一般的に、短期プライムレートに1%を上乗せしたものが基準金利(店頭金利)となります。
短期プライムレートの動きは、変動金利の上昇リスクを判断する材料のひとつになるでしょう。また、前述のように(旧)長期プライムレートの動きも変動を先読みするためのヒントになります。不動産投資の融資に変動金利を選んでいる場合は、そのままで良いのか、借り換えを検討した方が良いのか、判断するのに役立つかもしれません。
アパート融資はプロに相談
不動産投資における融資では通常、「固定金利」よりも金利が低く設定されている「変動金利」を選ぶ人が多数派です。多くの金融機関では年に2回の金利見直しがありますが、返済額そのものは5年間変わらないのが一般的であるため、プライムレートに変動があったとしても早急に判断する必要はありません。プライムレートだけでなく、景気全体の動向、政策などもふまえて総合的に判断しましょう。
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