【過去最高】家計の金融資産、前年比7.1%増の1946兆円

2021.10.14

 新型コロナウイルスは世界経済に甚大な影響を与えました。日本国内でも、2020年度のGDPは実質マイナス4.6%と、この25年間で最大の下げ幅となりました。一方で、コロナショックが貯蓄など家計全体の資産を取り崩すには至っていない、むしろ富裕層を中心に富を増やしたとのレポートが上がっています。国内では、投資信託、不動産投資など投資への関心が高まっている状況も見えてきました。

コロナ禍でも世界的な富の総額は4.1%も増加

 スイス金融大手のクレディ・スイス・グループが世界の家計資産を分析する「グローバル・ウェルス・リポート2021」を今年6月22日に発表、その内容は予想外のものでした。リポートによると、昨年2・3月は新型コロナウイルスの影響で世界的に経済活動が停滞し、株価が急落。結果、世界の富の総額(金融資産、不動産等を含む総資産)は4.4%も減少しました。

 しかし、経済経済の立ち直りは早く、6月末までに株価は損失分を回復。さらに2020年後半にかけて上昇を続け、年末には過去最高水準にまで到達しました。さらに住宅市場にも楽観的な見方を広げ、結果的に世界の家計の富は 1 年間で 28 兆7000 億  ド ル 増 加。為替レートの変動を考慮すると、世界の富の総額は 4.1%、成人ひとり当たりの富は 2.7% も増加したのです。リポートでは、個人や企業へのコロナ支援プログラムを発動したことで、GDPにおける公的債務の割合が増えた=公的部門から家計部門へ富が移転したこと、コロナ禍で消費機会が減ったことにより貯蓄が増加したこと、さらに緊急緩和政策の影響で株価や住宅価格が上昇したことが理由であると分析しています。

国内での家計金融資産も過去最高額に

 国内でも同様の状況が見てとれます。日銀が発表した「資金循環統計(速報)2021年第2四半期」によると(こちらは金融資産のみが対象)、2021年3月末の家計の金融資産残高の合計は約1946兆円となり、前年比7.1%増、3期連続で過去最高を更新しました。こちらも2020年1-3月期、一時的に目減りしていますが、次の四半期で新型コロナ以前の水準近くまで回復、さらに2020年年末にかけて急速に拡大、今年に入ってからも順調に推移しています。

 家計の金融資産内訳は日本の場合、現金・預金の割合がかなり高く、金融資産全体の53.8%を占めています。現金・預金資産額は2007年に48%まで比率を下げましたが、2008以降は50%超の状態を継続。コロナ禍となった2020年3月末には55%にまで比率を高めました。2014年にNISA(少額投資非課税制度)がスタート、2017年にはiDeco(個人型確定拠出年金)加入対象者の大幅拡充、2018年にはつみたてNISAがスタートするなど、これまで国は貯蓄主体から資産形成へと促す動きを継続してきましたが、実効果はあまりなく、むしろ現金・預金比率が高まる傾向すらありました。

投資信託、不動産投資にも注目が集まる

 そんな中、投資信託の比率が徐々に高まっているのは注目すべき事柄です。投資信託の比率は近年、NISAがスタートして約1年経った2015年3月末に4.6%となったのをピークに、4%程度で推移していました。2020年3月末はコロナショックによる株価の下落で3.45%にまで下降しましたが、一年後の2021年3月末に前年比33.9%増、残高84兆円となり、比率も4.3%にまで回復。2015年に次ぐ高い比率となっています。

 世界的な株価上昇による時価変動が大きな理由であることは確かですが、資産運用ニーズの高まりも理由のひとつ。コロナ禍での在宅勤務や外出抑制、世界経済の回復に対する期待感が追い風となって、家計の一部が投資信託に流れている可能性があります。株式も残高を増やしていますが、投資信託の方がより顕著。国内資産だけでなく、海外にも投資可能であること、不動産、貴金属など様々な商品に投資できること等を、投資信託の魅力と捉えている人が多いようです。

 不動産投資市場にも活性化の動きがあることは、 投資用不動産ローン(アパート融資)の新規貸出額が増加、上昇の気運もの記事でもお伝えしました。今後、こうした「貯蓄から投資へ」の流れが、より本格化していく可能性もあり得ます。

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最終更新日:2021.10.14

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