
投資用不動産ローン(アパート融資)の新規貸出額が増加、上昇の気運も
不動産投資家にとって、銀行からの融資は切実な問題です。この数年、ずっと減少が続いていた投資用不動産ローン(アパート融資)の新規貸出額が僅かに上昇する動きを見せています。下げ止まりの気配なのではないか、と期待されていますが、背景には何があるのでしょうか? 今回はアパートローンの現況についてお届けします。
長らく続いてきた投資用不動産ローン減少がストップ
日銀が公表した統計データによると、銀行による2021年4~6月期の「個人による貸家業」への新規貸出額は約5500億円で、前年同期比より2割増加。前年同期比プラスとなったのは、実に2017年1~3月期以来となっています。1回目の緊急事態宣言下で取引が大きく減った2020年4~6月期の反動もあることから、現実的な上げ幅は小さくなると推測されますが、長期的な変化においても4年ぶりに前四半期比プラスとなっており、下げ止まりの気配と捉えることができます。
投資用不動産ローンにおける近年の状況を振り返ってみると、貸出額が大きく増え始めたのは第二次安倍政権下で日銀が金融緩和を強化した2012年ごろ。低金利下で貯蓄などの魅力が薄れる中、比較的高い利回りが見込める不動産投資が注目され、それに伴って銀行の貸出件数、新規貸出額が増加しました。
2016~2017年ごろ、そうした状況が変化し始めます。日銀が地方銀行の不動産融資増加を指摘し始めると、各行は融資審査を厳格化。さらに2018年、スルガ銀行がシェアハウス物件に関する不適切融資で業務改善命令を受けたことは、記憶に新しいところでしょう。この事件を受けて都市銀行、全国の地銀は一斉に融資を絞り、その影響が長らく続いてきました。
不動産投資ローンは貸し出す側にもメリット
今回、新規貸出額が増えた理由は、主に「投資用不動産の購入を検討する人が増えた」ことによる影響と予測されており、融資基準を緩める動きは残念ながらほとんど見られません。多くの銀行は不適切融資への警戒から、相変わらず厳格な融資基準を設けています。ただし、投資用不動産ローンの新規貸出が、銀行にとってメリットとなるのも事実。コロナ禍で景気動向の先行きが不透明な中で、不動産という担保がしっかり確保でき、さらに一件あたりの融資額が大きい投資用不動産ローンは魅力的な貸出先のひとつ……というわけです。貸出先、融資基準には慎重になりながら、貸出件数を増やしたいのが銀行側の本音かもしれません。
不動産投資に対する関心の高まりが背景に
最近、不動産投資市場が活性化していることは、多くの不動産投資家が実感していることでしょう。長引くコロナ禍で将来への不安が増している中で、長期的、安定的な利回りが期待できる不動産投資への注目が集まっている背景があります。事実、オフィスビルや商業施設はコロナの影響で一時的に空室が増えていますが、投資用住宅の需要は引き続き高く、一棟アパートや区分マンションの人気はますます高まっています。建物だけでなく土地についても、都市圏の商業地が軒並み公示価格を下げる中で、都市近郊、地方都市では堅調を維持していることは、2021年公示地価に見る、土地価格最新動向、公示地価上昇エリアの「福岡」「仙台」に注目の記事でもお伝えした通りです。
またオンラインセミナーなどで、自宅にいながら不動産投資の知識が得られるようになり、不動産投資全般のハードルが下がったことも、今回の活況に影響しているかもしれません。コロナ禍で在宅時間が増え、余った時間で不動産投資を行いたい、という要望が高まっています。
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