
SaaSで広がる不動産クラウドファンディング
不動産投資もクラウドファンディングで行われる時代であることは、 「不動産投資が身近になる『不動産投資型クラウドファンディング』最新事情」記事でお伝えしました。こうした新形態の投資サービスが数多く立ち上がっている背景には、プラットフォーマーによるクラウドファンディングのSaaS化があります。今回はそうした背景について解説します。
ワンストップで始められるクラウドファンディング
たとえば、ある会社が新たにクラウドファンディングのサイトを立ち上げようとしたとき、専用のソフトウェアやサーバーなどの機器、サービスを運営するための仕組みが必要になります。そうしたサービスを提供するための基盤となるシステム全般をプラットフォームと呼びます。そうしたプラットフォームは、これまでクラウドファンディングのサービスを提供する事業者が個々に開発してきました。それが差別化につながってきましたが、システムの構築にかかる費用、運用コストは膨大なものでした。
そこで、最近ではプラットフォームの提供に特化した企業=プラットフォーマーが登場しています。汎用性の高いシステムを備え、事業者ごとのカスタマイズを施した上でクラウドファンディングの運営に必要な全てのサービスを提供してくれます。事業者は専門的な知識や設備がなくてもサービスを開始でき、さらにイニシャルコストやランニングコストを大幅に抑えることが可能。さらに広告宣伝や認知促進まで引き受けてくれるモデルもあり、サービス導入のハードルが一気に下がりました。これが不動産業界でクラウドファンディングのサービスが一挙に広がった理由です。プラットフォーマーが提供するのはソフトウェアだけでなく、サービス全体であることから、こうした動きは新たなクラウドサービスモデル「SaaS=Software as a Service」として注目されています。
幅広い分野で進むSaaS化
「SaaS」は、クラウドファンディングの分野に限って起きていることではありません。シェアリングの管理システムを専門に提供するプラットフォーマーなど、様々な分野でSaaS化が進んでいます。ユーザー登録するだけでオンライン上での物品販売が可能になり、店舗ごとにデザインなどをカスタマイズできるECサイト、クラウド上の会計ソフトなどは代表的なところでしょう。そうしたプラットフォームが成立するには、その分野でサービスを利用したいニーズが高まっていなければなりません。つまり、不動産投資型クラウドファンディングのサービスを新たに導入したいという事業者側のニーズ、手軽に不動産投資してみたいというユーザーニーズの高まりを表していると言えます。今後、不動産テックにおけるSaaS化は、クラウドファンディング以外に様々な分野に波及していくと予想されます。
アパート経営に特化したクラウドファンディング
シノケンも今年6月から、不動産投資型クラウドファンディングを新たにスタート。不動産事業会社向けのクラウドファンディング・プラットフォーム「FUEL(フエル)オンラインファンド」を運営する「FUEL」と業務提携し、 シノケンオーナーズファンディングをファンド事業者とする専用ウェブサイトを新たに開設しました。
「FUEL」は2020年2月のサービス開始からこれまで、物流不動産に特化したCREグループの不動産クラウドファンディングサービスオンラインファンド「CRE Funding」などを運営し、取り扱うファンドを全て満額成立させてきた実績のある会社です。1つの口座からFUELが運営する複数サイトのファンドへ分散投資できるのが特色。今回の新サイトではシノケンプロデュースが開発・運営を行う賃貸アパート等のファンド募集を行います。不動産投資が身近になる新サービスとして、一口1万円から出資が可能シノケンプロデュースの 「アパートメント経営」を手軽に疑似体験いただけます。