
優遇措置に守られた特別なエリア「国家戦略特区」とは?
不動産投資において、土地、地域のことをよく理解し、「今後の発展が見込める立地であるか」を判断することはとても重要です。今回は、経済成長を目的に指定されている「国家戦略特区(国家戦略特別区域。以下、国家戦略特区)」について解説します。
特区内では大胆な規制緩和を実施
「国家戦略特区」ができたのは第2次安倍政権下だった2013年のこと。アベノミクス第3の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」のひとつとして「国家戦略特別区域法」が制定されました。国家戦略特区の目的は、「産業の国際競争力の強化」「国際的な経済活動の拠点の形成の促進」。“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目標とし、区域内では様々な規制・制度の緩和措置や税制面の優遇措置が採られます。そうした優遇措置のもと、地方自治体が積極的に都市開発を進めたり、民間企業が他のエリアでは実現できない事業を自由に実施したりできる……というわけです。
具体的には、どのような優遇措置が得られるのでしょうか? 一例を挙げると、都市部において職住近接型マンションを建設するにあたり、容積率が緩和される「住宅容積率の緩和」、空港周辺における建物の高さ制限のある地域での「高さ制限の緩和」、一般住宅を宿泊事業に利用する「民泊」事業を始めるにあたり、他区域よりも容易に簡易宿所営業許可を取得できる「特区民泊」といったものです。規制緩和される内容は「規制改革メニュー(特区メニュー)」として観光、教育、農業など計11分野、92事業に適用されます(2021年5月現在)。既存メニューの中に課題解決に必要な内容のものがない場合は、新規提案として国に要望することも可能。事業主体は地方自治体、民間企業のどちらもなり得ます。
国家戦略特区として指定されている区域は、2021年5月現在で10区域あります。東京圏(東京都、神奈川県、千葉県・千葉市、成田市)、愛知県、関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)といった大都市圏のほか、仙北市(秋田県)、仙台市(宮城県)、新潟市(新潟県)、養父市(兵庫県)、今治市(広島県)、福岡市・北九州市(福岡県)、沖縄県が指定されています。指定区域を見ると、経済的な発展が見込まれる地域が対象であるのはもちろん、地方創生も大きな目的のひとつとなっていることが分かるでしょう。それぞれの区域に「国際ビジネス・イノベーションの拠点」「大規模農業の改革拠点」など、拠点としての役割が与えられているのも特徴です。
ちなみに国が定める特区は、国家戦略特区だけではありません。他に2002年小泉政権時代に定められた「構造改革特区」、2011年菅政権時代に定められた「総合特区」があります。構造改革特区は地方自治体や民間企業からの発案を政府が認定し、認定されれば全国展開も可能になる、という特色を持っています。一方の総合特区は規制緩和するだけでなく、経済的支援も実施されるのが特徴。では、そうした特区と国家戦略特区には、どのような違いがあるのでしょうか? それは「従来の特区が自治体・民間企業からの提案を起点とするボトムアップ型の取り組みであったのに対して、国家戦略特区は国が対象区域の選定から主体的に関わることで、スピード感を持った規制緩和を実現できる」点です。規制を担当する省庁や改革に反対する業界団体等、経済成長を阻む要因に対抗し、国主導のもと大胆な規制緩和を行えるのが最大のメリットです。
地域ごとの特徴を押さえた不動産投資を
国家戦略特区は、国から「経済活動の拠点」となる役割を与えられた特別な地域、と言うことができます。エリア内では規制緩和を糧として開発が進み、必然的に様々な事業体が集まってきます。不動産投資においては容積率の緩和など直接的メリットのほか、エリア内のオフィスビルへと通う人たちをターゲットとして、周辺地域の住宅需要が増す……といった間接的なメリットが期待できるでしょう。中長期経済戦略として位置づけられている施策なので、不動産価値が急激に下落するリスクも比較的少ない、と予想することができます。
今回は国家戦略特区について紹介しましたが、賃貸物件を建てる場所には都市計画法における「市街化区域」や建築基準法の「用途地域」など、土地ごとに様々な特徴があります。アパート経営は、そうした特徴をよく理解した上で適切な物件に投資することが肝心。アパート経営のスペシャリストであるシノケンは、今回紹介した国家戦略特区をはじめとする資産性の高いエリアに集中して事業展開し、お客様の資産価値を最大化する努力を続けてきました。土地の情報に精通したスタッフがサポートしますので、未経験の方でも安心してアパート経営を始めることができます。