
公示地価上昇エリアの「福岡」「仙台」に注目
2021年発表の公示地価において、平均地価(全国)が6年振りに下落した……というニュースは先日お伝えしました。前回は「東京よりも郊外へ?公示地価から垣間見えるライフスタイル」として、首都圏、三大都市部の話題を中心としましたが、今回は地方都市である福岡、仙台に注目してみます。
人口増・再開発を背景に快走する福岡市
前回の記事でもご紹介したように、2021年の公示地価は前年比マイナス0.5%と、6年振りの下落となりました。都市部、特に商業地におけるインバウンド需要の低下が大きく影響しています。、また、地方圏全体でも苦戦を強いられています。2020年の公示地価では地方圏(主要4市を除く)がバブル期以来28年振りに全用途平均がプラスとなりましたが、2021年は0.6%の下落に。住宅地だけでなく商業地においても、約半数は2年連続のマイナス成長です。
そうした状況の中で、健闘したのが地方圏の主要4市(札幌、仙台、広島、福岡)でした。地方主要4市平均では住宅地で2.7%、商業地で3.1%、全用途平均で2.9%と堅調を維持しています。最も好調なのは福岡市で、地価上昇率で全国1位。全国の地価上昇率上位10地点のうち、商業地で8地点、住宅地で2地点を福岡が占めました。上昇率こそ前年より若干下がったものの、相変わらずの圧倒的な強さを見せています。
福岡市は人口増加数、増加率が政令市の中でも飛び抜けて多い街です。若者(10代・20代)の割合が22.05%(平成27年国勢調査)と多いことでも注目されており、地価上昇の背景に著しい人口増加があるのは想像に難くありません。また駅前の活発な再開発事業も大きく影響しています。福岡市は天神地区で特例的にビルの高さや容積率などの規制を緩和するプロジェクト「天神ビッグバン」を2015年から推進。約5年間で既に35棟ものビルが建て替えられました。天神地区の影響を受けて、JR博多駅周辺でも大規模なビルの建て替え等が進んでいます。
地点別の上昇率で福岡市博多区の博多駅南エリアが全国8位に入るなど、利便性がよく割安感がある地域が上昇。高い稼働率が続く賃貸住宅の用地需要が、地価上昇の背景と見られています。福岡市中心部へ通勤する人を狙った住宅開発は、今や割安感がある郊外へと広く拡がり、博多駅まで電車で30〜40分かかる同県飯塚市の地価にまで波及。福岡市全体の地価を押し上げています。
低調な東北圏でも仙台市はプラス成長を維持
一方、東北地方で好調なのが仙台市です。住宅地の地価は2020年の5.7%→2.0%に、商業地は10.9%→2.8%といずれも大きく上昇率を下げましたが、それでも全国的にマイナスとなった今年の公示地価においては優秀な数字です。新型コロナウイルス感染拡大によって歓楽街の飲食関連業は需要が激減したものの、オフィス需要は底堅く推移。再開発に伴って活発な不動産取引が見られる青葉区の東北大農学部跡地、仙台駅東口の再開発を受けたマンション用地の人気などがプラス成長を支えました。
もともと仙台市は約10年にわたって高水準の上昇が続いており、コロナ以前は2桁上昇となることも少なくありませんでした。東北6県のうち5県は今回の公示地価でマイナスとなりましたが、宮城県は仙台市の健闘によってプラスを維持。都道府県別地価上昇率において住宅地で全国3位、商業地で全国2位に入っています。
今年の公示地価では新型コロナウイルス感染拡大の影響が全国的に見られる中、地方都市の健闘が目立ちました。堅調な地方都市の影響がどこまで広く波及するか? が今後の不動産取引における活性化の鍵と言われています。
地方都市でのアパート経営にも強味
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