東京よりも郊外へ? 公示地価から垣間見えるライフスタイルの変化

2021.05.20

国土交通省が発表する公示地価の全国平均が、6年振りに下落へと転じたニュースは「2021年公示地価に見る、土地価格最新動向」でもご紹介しました。中でも大きく下がったのは東京都をはじめとする都市圏の商業地でしたが、住宅地でも下落の傾向が見受けられます。これらは、“人の移動”に少なからず影響を受けています。今回は公示地価と人口移動の関連性、ICT化、新型コロナ禍における生活様式の変化について見ていきましょう。

東京への人口流入に変化

今年1月時点の公示地価では、東京都が商業地、住宅地を含めて大きく下落したのに対して、東京都を取り囲む千葉県や神奈川県、埼玉県などでは一部、上昇している地域がありました。また長野県・軽井沢など別荘地の地価が大きく上昇したのも印象的です。

こうした直近における地価の動きには、新型コロナウイルス感染拡大による人口の移動が深く関わっています。総務省統計局が移住の実態をまとめ、今年1月29日に公表した「住民基本台帳移動報告2020年(令和2年)」を見ると、昨年一年間に東京都から転出した人の数は40万1805人。前年(2019年)に比べて4.7%も転出者数が増えています。東京都の転出者数は14年連続で増加していますが、昨年はその傾向がさらに加速した一年でした。もとより、東京都は転入者数が多く、全体で見れば相変わらず全国一。また、転入超過数(転出者数を転入者数が上回る数)が多い都道府県です。ただし、その規模は年々縮小しつつあり、昨年5月1か月間の統計結果では,外国人を含む統計を開始した2013年7月以降、初めての転出超過となったのです。東京一極集中の居住形態が徐々に変わりつつある中で、新型コロナウイルスの影響で東京を離れる人がさらに増えた……と見ることができます。

一方、前年に比べて転出者数が最も減少している都道府県は千葉県で,1万243人の減少、前年比マイナス6.6%となっています。昨年、首都圏で転入超過数が大きく増えたのは千葉県のみでしたが、同じような転入超過の状況は神奈川県、埼玉県でも起きています。

新型コロナで第二のドーナツ化が起きる可能性

こうして人々が都市から離れ、郊外に移住する現象は、日本人にとって初めての体験ではありません。1960〜1990年代に話題となった「ドーナツ化現象」は、まさに郊外型のライフスタイルを象徴したものでした。当時、公害や交通渋滞等の問題が多く、地価が高騰していた都市部から離れ、郊外の広い家で暮らすことを選択したのです。しかしバブル経済崩壊後、地価が下がったことで都心に回帰する現象が見られ、その傾向が長く続いてきました。東京都は相変わらずの転入超過ですが、前述のとおり、そうした状況も少しずつ変わりつつあります。

郊外への移住が進みつつある要因のひとつは、ICT化によるものでしょう。現在ではインターネット・ブロードバンドが日本全国に普及し、多くの仕事がリモートでできるようになりました。必要時のみ、都内に通うワークスタイルが普及したことで、交通アクセスの良い郊外に自宅やオフィスを持つ人が増えています。昨年に限っては、新型コロナウイルス感染拡大の影響があることは間違いないでしょう。それまで少しずつ進んでいたテレワーク化が一挙に進み、働く場所に制約がなくなりました。そうした影響は若年層において特に顕著で、10代、20代で東京に転入する人の数が減っています。学校での授業や職場での仕事がリモートになったため、敢えて都内に住居を移さず、様子見をする人が増えたのかもしれません。

一方で、ちょっとユニークなデータもあります。ふるさと回帰支援センターが毎年公表している「移住希望地ランキング」で、静岡県が初の1位になったのです。近年は長野県、山梨県のどちらかが1位となっていましたが、静岡県は毎年少しずつ順位を上げていました。ついに1位となった背景には新型コロナの影響、ICT化によって通勤可能範囲がさらに広くなった影響があるのかもしれません。

時代のニーズにあわせたアパート経営を

アパート着工件数で5年連続日本全国1位のシノケンでは、都内のアパートだけでなく、日本全国の都市圏、その周辺エリアをカバーしています。今回のような公示地価、人口移動から読み取れるニーズの変化を敏感に察知しながら、時流にあわせたアパート経営が可能です。

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最終更新日:2021.05.20

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