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【事例で学ぶ】コロナ禍でホテルがはじめた新しい空室率低減策とは?

2021.05.06

 空室が経営上の大きな問題となるのは、アパート経営だけではありません。ホテルにおいても空室率を減らすことは大きな課題となっています。コロナ禍で客室稼働率が低下する中、福岡県のビジネスホテルがスタートアップ企業と連携し、新たな空室対策を始めました。今回は将来的にアパート経営にも導入される可能性のある、ビジネスホテルの新たな取り組みを紹介します。

空室をワークスペースに活用する新発想

 全国のビジネスホテルは今、苦境に立たされています。観光庁が発表した2020年5月のホテル・旅館客室稼働率は16.6%。新型コロナウイルスの感染拡大による外国人・国内観光客の減少が大きく影響しています。Go To トラベル施策により一時的にやや持ち直しましたが、2021年2月の最新統計は26.9%(速報値)、都道府県別では10%台のところも少なくありません。コロナ以前の客室稼働率、全国平均は70%台。また、ホテルは客室だけでなく宴会場やレストラン等の施設利用も大きく落ち込んでおり、まさに今、逼迫した状況にあります。

 そんな中、福岡県にある株式会社エフ・ジェイ ホテルズがスタートアップ企業tsumugと連携し、今年2月から新たに始めたサービスが注目を集めています。これはエフ・ジェイ ホテルズが経営する博多駅東のビジネスホテル「サンライフホテル 2・3」の客室3室を、時間利用できる個室テレワーク空間「TiNK Desk Solo」として利用するもの。利用者はtsumugがLINEで提供するサービス「TiNK Desk」を使って空いている部屋を予約、決済までスマートフォンで行うことができます。

 「TiNK Desk Solo」となる客室には、4K高解像度モニターや長時間ワークにも耐えられるワークチェア、各種充電ケーブル、電源、ホワイトボード、リモート会議に使えるWEBカメラ・マイクなどを完備。仕事に不要なベッドは撤去され、空いたスペースは作業空間に割り当てられました。ホテルならではの静粛性、快適性、駅からの良好なアクセスも魅力となっています。利用は15分単位で、料金は149円/15分。最大10時間のDAY利用(2200円/日)も可能です。仕事に集中できる環境がこの料金で手に入るなら、利用したい人は少なくないでしょう。

 新型コロナウイルスの感染拡大にともなって、テレワーク化が一挙に進みましたが、実際は「自宅で仕事をすると心身の切り替えがしにくい」「自宅にはテレワークに必要な環境が整っていない」という声も多いと言います。また、カフェやコワーキングスペースなどを新たな作業場とする場合も、「人の目が気になる」という意見があるようです。エフ・ジェイ ホテルズとtsumugによる新サービスはこうした世間からの声に応えました。空室を埋めることに固執するのではなく、コロナ禍を逆手にとって新たな需要を見込もうとする姿勢が斬新です。

アパート経営も時代にあわせた変化が必要

 「TiNK Desk Solo」のような空室対策における発想の転換、IT技術の活用はホテル業界で広がる可能性があるだけでなく、将来的にはアパート経営にも伝播するかもしれません。今のところ、新型コロナの感染拡大が賃貸不動産の資産価値に与える影響は限定的……と多くの投資家は考えていますが、空室率の低減はアパート経営における永遠のテーマです。

 シノケンはこれまで、あらゆる家電をスマートフォンで一元管理できる「シノケン インテリジェントアパート」をいち早く提供するなど、時代の変化に最適化した設計、先進技術を積極的に導入してきました。立地選定などアパート経営における基本はしっかりと押さえながら、業界内外の変化を敏感に察知。お客様の資産価値向上に日々努めています。

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最終更新日:2021.05.06

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