アパート経営のノウハウ

耐久性や減価償却の期間にも関係する建物構造の違いとは?

2021.02.18

 不動産投資によって着実に資産形成するためには、物件の立地や条件といった視点だけでなく、建築全般の知識も必要です。建物がどのような材質と工法で作られているか? それによって耐久性や減価償却の期間、災害時のリスク等が変わってくるからです。今回はアパートやマンションで一般的な建物構造の種類やそれぞれの特徴を解説します。

建物構造ごとの特徴

 建物の構造にはさまざまな種類がありますが、一般的な住宅は素材の違いから、「木造」「鉄骨造」「RC造」「SRC造」の4種類に分けることができます。それぞれの特徴は以下の通りです。

・木造

 建物の主構造材に木材を使用したもので、日本の戸建やアパートなどでは最も一般的な建物構造です。木材資源が豊富な日本では、古くから屋敷や寺社仏閣などほぼ全ての建物が、この構造で作られてきました。

 木材を使う構造の中でも、いくつかの構法が存在します。日本で一般的なのは、柱や梁といった軸組(線材)で建物を支える「軸組構法」。伝統的な工法を発展させた方式であることから「在来工法」とも呼ばれています。

 一方、欧米の木造建築から世界中に広まった比較的新しい方式の建物構造が「枠組壁構法」というもの。フレーム状に組まれた木材に強度を持たせた板を壁や床として打ち込む方式で、軸組構法が線で建物を支えるのに対して、こちらは面で支えるという特徴があります。枠組壁構法は使用する木材の規格によって、「2×4(ツーバイフォー)工法」「2×6(ツーバイシックス)工法」とも呼ばれます。2×4では断面が1:2(38×89mm)、2×6では1:3 (38×235mm)の長方形となる木材が使われます。

・鉄骨造

 建物の骨格を鉄骨とした構造のことで、英語の「Steel」から頭文字をとって「S造」と言われることもあります。

 同じ鉄骨造でも鋼材の厚みが6mm未満のものは「軽量鉄骨構造」、6mm以上のものは「重量鉄骨構造」と呼ばれています。なお、不動産用語で「アパート」と言うときには、慣例的にその建物が2階建て以内の木造もしくは軽量鉄骨造であることを指します。

・RC造

 「RC」とはReinforced Concreteの略で、直訳すると「補強されたコンクリート」になります。RC造では内部に鉄筋が配置されたコンクリートを、柱など建物の骨格とします。剛性が高く、圧縮する力に強いコンクリートと、しなやかで粘り強い特性をもつ鉄筋を組み合わせ、強度を確保しています。中低層のビル、マンション等で多く使用されていますが、現在では鉄筋の構造やコンクリートの性能が進化し、高層マンションでも使われるようになりました。

・SRC造

 RC造の内部に鉄骨の支柱を追加した鉄骨鉄筋コンクリート造のことです。主に高層ビルや高層マンションで採用されます。

 それぞれの構造には特性があり、建物ごとに適した構造が採用されます。建物構造ごとの一般的なメリット・デメリットを挙げると下記の通りとなります。ただし、強度や耐震性、耐久性などの各性能は構造だけでなく、設計や施工によって大きく変わります。

■木造のメリット・デメリット

・建築コストが安い
・設計の自由度が高い
・狭小地にも建てられる
・耐火性、耐震性、防音性ではRC造、SRC造に対して一般的に不利

■鉄骨造のメリット・デメリット

・耐火性、耐震性は一般的な木造よりも高め
・建築コストが安い
・設計の自由度は木造よりも低い
・防音性ではRC造、SRC造に対して一般的に不利

■RC造のメリット・デメリット

・耐火性、耐震性、防音性、耐久性のいずれも高い
・自重が重いため、一般的に高層建築物には不利
・木造、鉄骨造に対して建築コストが高い

■SRC造のメリット・デメリット

・高層建築に対応できる
・防音、耐震性ではRC造よりも一般的に不利
・建築コストが高い

建物構造ごとの耐用年数

 建物の耐用年数は個々の設計や施工、修繕等のメンテンナンスによるところが大きいため、一概に言うことはできません。木造であっても、歴史的な神社仏閣、古民家などでは築後数百年を超えているものも存在するからです。

 ただし、税務上で建物を資産とし経費計上するには、国が便宜的に定めた「法定耐用年数」に従って減価償却しなければなりません。法定耐用年数は建物の構造や用途ごとに定められており、「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造(マンション等)」が47年、「軽量鉄骨造」が19〜34年(骨格材の肉厚による)、「木造・合成樹脂造(アパート等)」が22年となっています(2021年1月現在)。

※いずれも住宅用途の場合

 減価償却の方法には「定額法」と「定率法」がありますが、どちらの場合も木造など法定耐用年数が短い建物ほど、建築コストを短い期間で経費計上でき、固定資産としての価値を減ずることができます。こうした税法上の仕組みを上手く利用すれば、節税効果を高めることも可能でしょう。

よりよい不動産投資を行うためには

 今回ご紹介した構造は現在の日本において一般的なものであって、他にも石造りやレンガ造りなど、さまざまな建物構造が存在します。建物構造ごとの特徴についても一般的な傾向を紹介したに過ぎず、実際には設計施工によって性能は変わります。

 たとえばシノケンでは、地盤の特性にあった適切な対策工事を行い、強固な土地の底面全体に鉄筋コンクリートを打ち込む「ベタ基礎」構造を採用。建物構造をコスト面などでメリットの多い木造としながら、高い耐震性を実現しています。また壁の両面に石膏ボードを張り、壁内にグラスウールを内蔵することで防音性を高める工夫も。これから不動産投資を始めるなら、そうした本物を見極める目を養うことも大切でしょう。

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最終更新日:2021.02.18

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