アパート経営のノウハウ

不動産特有の税金「固定資産税」「都市計画税」ってなに?

2020.12.25

この税金はどんな意味? 押さえておきたい不動産投資に関わる税金の種類」の記事でもご紹介したように、不動産投資には、さまざまな種類の税金がかかります。その中でも、毎年定期的に支払わなければならいのが固定資産税です。不動産投資をしていなくても、戸建てやマンション等の物件を所有している人なら馴染みのある税金ですね。この記事では、固定資産税とそれに関連する都市計画税について、課税対象者や税額の計算方法などを詳しく解説していきます。

不動産を所有する人が必ず納める「固定資産税」とは

固定資産税とは、土地や建物などの固定資産(不動産)を所有している人に対して課税される地方税のことです。

定資産固税の納税対象者と支払い方法

固定資産税を支払う必要があるのは、その年の1月1日時点で不動産を所有している人。所有する土地と建物に対してかかる税金なので、不動産投資で収益が出ているか否かにかかわらず、不動産所有者の誰もが毎年必ず支払う必要があります。

ちなみに固定資産税の基準日は毎年1月1日なので、1月2日以降に他の誰かから不動産を購入した場合には、現所有者には通知が来ません。そのため決済日を基準として所有した期間を日割り計算し、売主(以前の所有者)と買主(現所有者)の間で税金を清算する必要があります。

固定資産税の納税通知書は、毎年4月から6月頃に各市町村から納税者の元へ封書で送付されます。市町村によっては現金や口座振替だけでなく、クレジットカードや電子マネーを利用して固定資産税を納付することができる場合もあります。なお、固定資産税は納税者が住んでいる市町村ではなく、物件の所在地がある市町村に納付するため、問い合わせをする際などは注意しましょう。

固定資産税の計算方法

固定資産税の納税額は、土地や建物などの固定資産それぞれに対して計算され、合算されます。いくらで購入したかの事実には関係なく、現在の価値に応じて税額が決まるのです。そこでキーワードとなるのが、「評価額」と「課税標準額」。税率は土地も建物も1.4%ですが、評価額や課税標準額の導き出し方、軽減措置の内容は異なります。それぞれの計算方法を見ていきましょう。

【建物の固定資産税】
建物の評価額は実際の建築費用ではなく、「今、その建物をもう一度建築したら、どの程度の費用が掛かるか?」という再建築価格を基本として計算します。しかし、再建築価格がそのまま評価額になるわけではなく、築年数に応じて減額されます。この減額される割合を「減点補正率」と言い、経年劣化による価値の減少分を補正します。

さらに建物構造の違いも「評点1点あたりの価額」という係数によって補正され、 木造の場合は0.99、それ以外は1.1を掛けることになっています。つまり建物評価額の計算方法は「評点1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×減点補正率=評価額」となります。

建物の評価額は、税額を計算する上で基準となる課税標準額と基本的に同一。よって、この数値に固定資産税率の1.4%を掛けた金額が、建物分の固定資産税額となります。
ただし、新築住宅の場合には軽減措置があり(令和4年3月31日までに新築した住宅に適用)、一般的な戸建て住宅の場合には3年間(長期優良住宅は5年間)、マンション等の耐火・準耐火建築物は5年間(長期優良住宅は7年間)、1戸あたり120㎡相当分までの固定資産税額が、2分の1に減額されます。

自分で計算するにはやや複雑な計算式ですが、新築住宅の場合は購入価格の70%程度を評価額として見積もり、およその金額を計算することができます。その年の評価額や課税標準額、軽減措置の内容は納税通知書に記載されているので確認しておきましょう。

【土地の固定資産税】
土地の固定資産税額は、国土交通省が公表している「公示価格」を基本として計算されます。公示価格の約70%が評価額となりますが、土地の場合は評価額がそのまま課税標準額になるわけではありません。土地の固定資産税には「住宅用地に係る課税標準額の特例」と、「土地に関する負担調整率」という軽減措置があるためです。

「住宅用地に係る課税標準額の特例」は、以下の内容となっています。
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分):評価額×1/6=課税標準額
・一般住宅用地(200㎡超の部分):評価額×1/3=課税標準額

「土地に関する負担調整率」は、土地の価格が上昇したときに固定資産税額が急激に跳ね上がるのを抑え、徐々に税額を上げていく(本来の税額に近づけていく)ための仕組みです。計算には、前年度課税標準額と本来の課税標準額の比率によって決まる「負担調整率」を用い、「前年度課税標準額+(本来の課税標準額×負担調整率)」が課税標準額となります。

例えば前年度の課税標準額が80万円、今年度100万円に上がった土地で負担調整率が5%だった場合、本来は100万円×1.4%=14,000円が土地分の固定資産税額となりますが、実際には80万円+5万円=85万円が課税標準額となり、85万円×1.4%=11,900円が今年度の税額となるわけです。

納税がない地域も? 固定資産税に関連した「都市計画税」とは

固定資産税に関連した税金として、都市計画税があります。これは「市街化区域」にある不動産を所有している人に対してのみ課せられる税金です。「市街化区域」とは都市計画法で「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と指定された区域のこと。税額の計算には固定資産税と同じく土地と建物、それぞれの評価額が用いられますが、税率については0.3%を上限と定めているのみで、市町村によって異なります。

市街化区域ではない場所(市街化調整区域など)にある不動産は、課税対象になりません。また、都市計画税においても、「住宅用地に係る課税標準額の特例」があり、下記の通りとなっています。
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分):評価額× 1/3=課税標準額
・一般住宅用地(200㎡超の部分): 評価額× 2/3=課税標準額

なお、都市計画税には、固定資産税のような新築住宅への軽減措置はありません。

税金を正しく理解し、効率的なアパート経営を

固定資産税は不動産投資家に限らず、不動産を所有している人なら誰しも納めなければならない税金です。都市計画税についても、収益性の高い都市部にある物件に課される税金であり、上下水道や道路、施設などの充実した公共インフラを利用するためのコストと理解すべきでしょう。

しかし固定資産税、都市計画税には、さまざまな軽減措置が用意されています。投資先を検討する段階から上手に活用すれば節税につながり、収益の効率化が図れるかもしれません。

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最終更新日:2020.12.25

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